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第二章 Gambling with the Devil
2-14-2 Pandemonium
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静寂に包まれた住宅街の街灯の下に一台のタクシーが止まり、扉の閉められる音が響く。
明かりの落とされた住宅街には似つかわしくない男達が向かうのは、締め切られたカーテンの向こうに高校と明かりを湛えた住宅だった。
呼び鈴が鳴らされると、ランとリンは立ち上がる。
「じゃ、俺達仕事部屋借りるねー」
「あ、俺出ますから、聆さんは待ってて下さい」
小鳥遊は到着した一行がケリーらである事を確かめるべく立ち上がり、玄関へと向かったが、レインもまた立ち上がる。
「ユウキ君?」
「コーヒー、淹れて来る」
レインは渋々といった様子で立ち上がると台所へ向かった。
隙間だらけの食器棚の足元に押し込まれていたティーセットの洗われる水音とコーヒーメーカーから立ち上る芳香が今にも流れる中、一同は低い机を囲んで腰を下ろした。
居間に通された側からすると話の主役が不在の間は奇妙な物だったが、この屋内においてレインは客をもてなす家主でもある。
「あ」
コーヒーの注がれたティーカップが並ぶトレーを手にしたレインと、居間に通されたケリーの目が合った。
レインはその視線を低い机に向けると、そのままティーカップを並べる。
陶器の表面に水滴を残したティーカップに注がれた一人分には少し少ないコーヒーを前にして、一同は暫くの間黙り込んでいた。
コーヒーが少し冷めたところでケリーが口を開いた。
「詳しい事はさ、ルーシーから、聞いたかもだけど……レイン、やっぱり俺はレインと一緒にアルバムが作りたいんだ」
顔を上げたケリーは俯くレインを見る。
「コリーが出て行って、一緒にやっていける人が誰も居なくて、挙句に、ルーシーと、新しいギタリストを選ばなきゃならなくなって……考えれば考えるほど、ルーシーの居ないバンドは、新しいギタリストを入れたバンド以上に想像出来なくて……訳が分からなくなる内に、最後に思い至るのが、一度でいい、レインとアルバムを作ってみたかったっていう事で……」
その先に続く言葉が見つからなくなったケリーに代わり、ハリーが口を開いた。
「俺達もさ、分かっちゃいるんだ。ツアーで地獄見せられて、もううんざりだって事はよ。けどよ、今のご時世、あんな過密スケジュールでライブする事は無いだろうし、あの時と違って、俺達も事務所とレーベルの言うままに動かされるほどの素人じゃねえんだ。もうあんな思いはさせねえよ。だからよ、もう一度……いや、今度こそ、本当の意味で一緒にやってくれねえか? な?」
明かりの落とされた住宅街には似つかわしくない男達が向かうのは、締め切られたカーテンの向こうに高校と明かりを湛えた住宅だった。
呼び鈴が鳴らされると、ランとリンは立ち上がる。
「じゃ、俺達仕事部屋借りるねー」
「あ、俺出ますから、聆さんは待ってて下さい」
小鳥遊は到着した一行がケリーらである事を確かめるべく立ち上がり、玄関へと向かったが、レインもまた立ち上がる。
「ユウキ君?」
「コーヒー、淹れて来る」
レインは渋々といった様子で立ち上がると台所へ向かった。
隙間だらけの食器棚の足元に押し込まれていたティーセットの洗われる水音とコーヒーメーカーから立ち上る芳香が今にも流れる中、一同は低い机を囲んで腰を下ろした。
居間に通された側からすると話の主役が不在の間は奇妙な物だったが、この屋内においてレインは客をもてなす家主でもある。
「あ」
コーヒーの注がれたティーカップが並ぶトレーを手にしたレインと、居間に通されたケリーの目が合った。
レインはその視線を低い机に向けると、そのままティーカップを並べる。
陶器の表面に水滴を残したティーカップに注がれた一人分には少し少ないコーヒーを前にして、一同は暫くの間黙り込んでいた。
コーヒーが少し冷めたところでケリーが口を開いた。
「詳しい事はさ、ルーシーから、聞いたかもだけど……レイン、やっぱり俺はレインと一緒にアルバムが作りたいんだ」
顔を上げたケリーは俯くレインを見る。
「コリーが出て行って、一緒にやっていける人が誰も居なくて、挙句に、ルーシーと、新しいギタリストを選ばなきゃならなくなって……考えれば考えるほど、ルーシーの居ないバンドは、新しいギタリストを入れたバンド以上に想像出来なくて……訳が分からなくなる内に、最後に思い至るのが、一度でいい、レインとアルバムを作ってみたかったっていう事で……」
その先に続く言葉が見つからなくなったケリーに代わり、ハリーが口を開いた。
「俺達もさ、分かっちゃいるんだ。ツアーで地獄見せられて、もううんざりだって事はよ。けどよ、今のご時世、あんな過密スケジュールでライブする事は無いだろうし、あの時と違って、俺達も事務所とレーベルの言うままに動かされるほどの素人じゃねえんだ。もうあんな思いはさせねえよ。だからよ、もう一度……いや、今度こそ、本当の意味で一緒にやってくれねえか? な?」
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