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第10章 アマビリスの乙女
10 好機
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パーティーが始まると参加している人々は話に花を咲かせ、用意された食事を堪能する。
そんな中、件の人物――ベラ先輩を見つけた。それにジェシカ先輩、マーリン先輩までも傍におり、更にベラ先輩の傍らにはフランさんの姿も。
やはり今回もそうだ。
フランさんは嫌がる素振りも見せず、ベラ先輩にされるがまま。その様子に私の頭の中にあの日の情景が思い浮かぶ。
それはレヴィ君が誘拐され、魔族の魔法で操られていた時の事。
その時の状態と今回のこれは状況が似通っているのだ。
まさか……。
そう思った時、ふと彼女達に近づく女性が一人。
あれは確か、ベラ先輩の――。
「お母様!」
ここからでも聞こえる音量でベラ先輩が声を上げ、その女性の方へと駆け寄る。
カミラ・クーバー子爵夫人。ベラ先輩の母親。
保護者同伴可という事もあり、周りの参加者にも親同伴の生徒は多いが彼女も同じらしい。
でもこれはまだ想定内。しかも親同伴はどうやらベラ先輩のみで、ジェシカ先輩やマーリン先輩、それにフランさんにもご両親の姿はなく、個人で参加しているようだった。
これはこれで好都合。
「母様」
そろそろ行動に移ろうと、まず手始めに母様に小声で耳打ちする。
「では手筈通りにお願いします」
「ええ、任せて。エルも無茶はしないようにね」
「はい。任せて下さい!」
短い会話の後、母様は一度私達とは離れ、ベラ先輩達がいる方へと向かった。
正確にはベラ先輩ではなくその母親、クーバー夫人になんだけど。
今回母様にはベラ先輩達が保護者、両親と一緒だった場合、そちらのお相手をお願いしようと思っていたのだ。
社交界でも顔の広い母様の事だ。向こうも母様の事をそれなりに知っているだろうし、更に言えば言葉も巧みで、貴族間のいざこざなんてお手の物――と言うより華麗に避けてしまうだろう。
なので今回その役は母様が一番適任。と言うか「その役目、私がやるわ」と母様自ら手を上げたのだけど。
となればあちらは母様に任せておけば問題ないと思う。
その間に私達は情報を引き出さないといけないので、私達の方こそ気を引き締めなくてはならなかった。
「レヴィ君、アリンちゃん。ではこちらも動きます」
「ああ、何かあれば知らせる」
こちらはこちらでメンバーに最終確認を取り、それぞれの行動に出てもらう。
レヴィ君とアリンちゃんの二人には、この広い会場で変な行動をしている人物がいないか、見張っていてもらう役をお願いしている。
二人にお願いしますね、と言えばレヴィ君はまだ若干面倒と顔に書いてありながらも了承をし、アリンちゃんはこくりと静かに頷くとその場を離れていった。
この状況きっとルカがいたら怒っただろうな…。
なんて今日この場にはいない、自身の従者の事を思い軽く肩を落とす。
余談だが本日ルカは屋敷でお留守番。
理由は今回のパーティーが学院で開催されるからと、保護者同伴可だが今回は母様もいるし、あまり人数が多くても動きにくいからと言った理由だ。
まあルカの事だから参加していても失敗なんてないだろうけど、偶には私の事を忘れてゆっくりしていてほしいとも思っていたところだ。
今頃ゆっくり出来ていれば良いけど。
暫くして状況が動いた。
様子を見守っていると、手筈通り母様がクーバー夫人との接触に成功。少し会話をした後、二人がベラ先輩達から離れていくのが見える。
流石母様!よし、動くなら今だ。
「姉様、ユキ、そろそろ行きましょう」
「そうね」
「ええ」
私がそう言うと姉様とユキがそれに頷く。
頃合いを見計い、ついに私達も行動を開始したのだった。
そんな中、件の人物――ベラ先輩を見つけた。それにジェシカ先輩、マーリン先輩までも傍におり、更にベラ先輩の傍らにはフランさんの姿も。
やはり今回もそうだ。
フランさんは嫌がる素振りも見せず、ベラ先輩にされるがまま。その様子に私の頭の中にあの日の情景が思い浮かぶ。
それはレヴィ君が誘拐され、魔族の魔法で操られていた時の事。
その時の状態と今回のこれは状況が似通っているのだ。
まさか……。
そう思った時、ふと彼女達に近づく女性が一人。
あれは確か、ベラ先輩の――。
「お母様!」
ここからでも聞こえる音量でベラ先輩が声を上げ、その女性の方へと駆け寄る。
カミラ・クーバー子爵夫人。ベラ先輩の母親。
保護者同伴可という事もあり、周りの参加者にも親同伴の生徒は多いが彼女も同じらしい。
でもこれはまだ想定内。しかも親同伴はどうやらベラ先輩のみで、ジェシカ先輩やマーリン先輩、それにフランさんにもご両親の姿はなく、個人で参加しているようだった。
これはこれで好都合。
「母様」
そろそろ行動に移ろうと、まず手始めに母様に小声で耳打ちする。
「では手筈通りにお願いします」
「ええ、任せて。エルも無茶はしないようにね」
「はい。任せて下さい!」
短い会話の後、母様は一度私達とは離れ、ベラ先輩達がいる方へと向かった。
正確にはベラ先輩ではなくその母親、クーバー夫人になんだけど。
今回母様にはベラ先輩達が保護者、両親と一緒だった場合、そちらのお相手をお願いしようと思っていたのだ。
社交界でも顔の広い母様の事だ。向こうも母様の事をそれなりに知っているだろうし、更に言えば言葉も巧みで、貴族間のいざこざなんてお手の物――と言うより華麗に避けてしまうだろう。
なので今回その役は母様が一番適任。と言うか「その役目、私がやるわ」と母様自ら手を上げたのだけど。
となればあちらは母様に任せておけば問題ないと思う。
その間に私達は情報を引き出さないといけないので、私達の方こそ気を引き締めなくてはならなかった。
「レヴィ君、アリンちゃん。ではこちらも動きます」
「ああ、何かあれば知らせる」
こちらはこちらでメンバーに最終確認を取り、それぞれの行動に出てもらう。
レヴィ君とアリンちゃんの二人には、この広い会場で変な行動をしている人物がいないか、見張っていてもらう役をお願いしている。
二人にお願いしますね、と言えばレヴィ君はまだ若干面倒と顔に書いてありながらも了承をし、アリンちゃんはこくりと静かに頷くとその場を離れていった。
この状況きっとルカがいたら怒っただろうな…。
なんて今日この場にはいない、自身の従者の事を思い軽く肩を落とす。
余談だが本日ルカは屋敷でお留守番。
理由は今回のパーティーが学院で開催されるからと、保護者同伴可だが今回は母様もいるし、あまり人数が多くても動きにくいからと言った理由だ。
まあルカの事だから参加していても失敗なんてないだろうけど、偶には私の事を忘れてゆっくりしていてほしいとも思っていたところだ。
今頃ゆっくり出来ていれば良いけど。
暫くして状況が動いた。
様子を見守っていると、手筈通り母様がクーバー夫人との接触に成功。少し会話をした後、二人がベラ先輩達から離れていくのが見える。
流石母様!よし、動くなら今だ。
「姉様、ユキ、そろそろ行きましょう」
「そうね」
「ええ」
私がそう言うと姉様とユキがそれに頷く。
頃合いを見計い、ついに私達も行動を開始したのだった。
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