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第6話お爺さんとの出会い

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アルバートは2年間毎日欠かさず魔力操作のトレーニングをして、自由自在に体内の魔力を動かす事ができるようになった。

ちなみにこの世界の平均は15歳で大体操作できる感じ。

まあ、早く出来ることに越した事はないでしょ、異世界だし。


明日から魔法を教えてくれる先生が来るらしい。ジャック曰く

「お金結構払ってやっと引き受けてくれた」

だそうだ。

プレッシャーがかかってしまう。


5歳になってからは外出許可をジャックにもらって、この世界の経済がどのように回っているのかを自分の目で確かめていた。本で学んでも実際見てみないと分からないからである。

貴族の服装と平民の服装は違っていて一目見るだけでわかる。貴族として街に出るのもいいが、平民に紛れて街に出た方が本音を聞けると思い、平民の服を着て街に出た。

ちなみにブラコンのジェシカはついて行くとごねていたが、弟であるアルバートよりも頭が良くなく、毎日勉強をさせられているため同行の許可が下りなかった。

残念、ジェシカまたの機会に。




そんな事があった後、アルバートは今、護衛を数名連れて街の大通りを散策している。

10メートルくらい離れて歩いているが、問題ないだろう。

ハワード侯爵家が王国から預かっている領地は王国有数の商業都市で人と物、そしてなんといってもお金が忙しなく動いている。


ここでお金の価値について説明しよう。

この世界のほとんどの国は銅貨や銀貨などの金属の硬貨を使っている。偽造防止のために、魔法刻印が彫られており、魔力を流すと誰でもわかるらしい。

銅貨1枚   100円

銀貨1枚   1000円

金貨1枚   10000円

大金貨1枚  100000円

光金貨1枚  1000000円

とこんな感じ。

どうやらこの世界に駄菓子という概念は無さそうだ。

大金貨や光金貨は商人や貴族、冒険者ギルドの報酬支払いに出てくる貨幣でほとんどの人はお目にかかれないらしい。




商業都市という事で物が動くという事は都市の内部に運ばなければならない。そのためには大きな道がなければならない。

そんな事があり、まるで日本の京都のような整備区画になっている。

街並みは全然違うけどね。まさしくラノベあるあるの中世ヨーロッパの街並み。

アルバートが歩いている最も大きい大通りでは屋台が沢山出ており、美味しそうな香りが鼻孔をくすぐる。

「ちょっと寄ってみるか」

そうして寄ったのはお肉の香りがする屋台で、そこには20歳くらいの爽やかな青年がいた。

「いらっしゃーい。君1人できたの?」

そう言われてアルバートは口を開く。

「うん!いい匂いがするー!」

ふっ、自分でも思うが子供の演技は子役並みだな。

「おっ、そうか!今日は結構いい肉を仕入れてきたんだよー。どう、食べてみる?」

「うん!」

「はいよ、銅貨1枚ねー」

そうして、予めポケットに入れていた巾着袋から銅貨1枚を取り出して渡した。

「レッドボアの串焼きだよー、熱いから気をつけて食べてくれ!」

青年はアルバートにレッドボアの串焼きを渡した。

「ありがと!また来るね!」

そうして青年と別れて、何処か座って食べる場所があるか探していると、人気がない裏路地まで来てしまった。護衛の気配がない。

はぐれてしまったか?これはまずい。引き返すか。

と、そう思った瞬間

「キャー!!!」

と大きな声が聞こえた。

聞こえた方向に目を向けると、走り去って行く女の人と、頭の毛が可哀想なお爺さんが座り込んでいた。

すぐさまアルバートはお爺さんのところへ駆けつけ声をかける。

「どうしたの?」

するとお爺さんは口を開く。

「ああ、若い女の子に道を聞いただけなのに、なんか勘違いされてしまっての。蹴られた挙句、わしのカツラを取られてしまったんじゃ。」

え?そりゃ、こんな裏路地で声かけられたら誰でも勘違いするし、しかもお爺さんとか恐怖度MAXでしょ。でも何で女の人カツラ取ったんだろ。謎だね。

「そ、そうなんだね」

「わ、わしのカツラがーーー!!!
あのカツラがないと新しい仕事に行けないんじゃーーー!!!」

え?お爺さん仕事するの?大丈夫なのかな?
でも異世界だし、大丈夫なのだろう。

何でもあり、それが異世界。

「そっか、買わないとダメだね」

「そ、そうじゃ!買えばいいんじゃな!ありがとう小僧、そいじゃさらばだ!」

そうしてお爺さんは全速力で走りアルバートの視界から消えた。

お爺さん、あんなに走れるんだ。

もう一度言いたい。

何でもあり、それが異世界。

なんか疲れた。

「帰るか。」

そう言って屋敷に向かって帰っていった。



帰った後、護衛はかなり叱られたらしい。

ごめんなさい……。


部屋に入ってベットに仰向けになって呟く。

「あんなお爺さん見たことなかったな。何者なんだろ。」

そうした後、目を閉じて意識を闇に沈めた。



これからの人生を左右する出会いとも知らずに。
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