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シャーロットなりの復讐
しおりを挟む二人から離れしばらく歩いた後、シャーロットは歩くのを止めた。
(それにしても......)
正直、意外だった。
まさか悪役令嬢である、あのシャーロット・バーベルが二人に謝罪をするなんて思ってもいなかったから。
だからなのか今シャーロットが何を思い、何を考えているのかがまったく分からない。
俯いたまま動かないシャーロットに、俺は声をかけようと口を開く。
「シ....シャーロッ「あーあ!スッキリした!!」
シャーロットの大きな声に驚き、俺は後ずさった。
「え、えっと....シャーロット?」
(びっくりした....)
驚いている俺を見て、シャーロットは微笑む。
そして.....
「クレノ.....ありがとね。」
「え?」
なんと、シャーロットが俺に感謝の言葉を伝えてきたのだ。
(俺に感謝なんて....俺はただ、三人のやり取りを後ろから見ていただけの役立たずだったのに....
何もできずに立ち尽くして、シャーロットに助け舟も出せなかったし....)
そんな俺の感情を読み取ったかのように、シャーロットが言葉を続ける。
「昨日クレノが初対面の私を励ましてくれていなかったら、私はずっと皇太子殿下を引きずって付き纏って、カグラに対してだって嫌がらせを続けていたわ。
でも.....あの時クレノと話していて気付いたの。それは間違いだって。」
「シャーロット......」
「今まで我儘放題だったのにおかしいわよね。でもクレノに励まされた後、ずっと考えてたの。
なぜ公爵令嬢であるこの私が皇太子を追いかけて、こんな惨めで醜い事をしているのかって。こんな私の周りに、好感を持って寄ってくる人間なんて誰もいないって。
......だから私は決めたのよ。
ちゃんと二人に謝罪して皇太子殿下を諦めて、これからは皇太子殿下の為じゃなくて自分の為に生きようって!」
シャーロットは憑き物が落ちたかのように、スッキリとした表情を見せている。
「クレノがいてくれて本当に良かったわ。
私一人じゃ、二人に謝罪なんて勇気出なかったもの。
だから......ありがとう。
私に勇気をくれて、本当にありがとう。」
(いや、そこに関しては強制的に引きずられただけなんだけど....)
「......よく頑張ったね。シャーロット。」
「......ふん!!それに皇太子殿下よりも良い男なんてこの世にいくらでもいるわ!絶対に皇太子殿下より素敵な人を見つけて、あの二人より幸せになってやるんだから!!
それが私なりの、二人への復讐よ!!」
そう言い切ったシャーロットの姿は、昨日よりもずっと幸せそうに見えた。
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