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クレノ見守り応援隊
しおりを挟む説得が終わり、ようやく令嬢達が顔を上げてくれた。
(周りからの目線も痛いし、早くこの場から退散しよう....)
とにかくこの場から逃げ出したかった俺は、彼女達にもう帰る事を伝えるべく口を開いた。
「それじゃあ、皆さんからの感謝の言葉は受け取りましたし、俺はこれで「ちょっと待ってください。まだあります。」
「.....何でしょうか.....」
(一緒にカグラへ復讐しに行こう。だなんて言わないよな?)
そんな事を考え疑うような目で令嬢達を見つめていると、令嬢が深く深呼吸をしてから驚きの言葉を口にした。
「シア令息本人には、事後報告となってしまって申し訳ないのですが......
私達はこの度、『クレノ見守り応援隊』なるものを勝手に発足させて頂きました。」
「...........はい?」
(え....?何それ、どういう事....?)
「みんな、男前なシア令息.....いいえ!クレノ様のファンになってしまいまして、今回このような隊を作らせて頂きました!」
「え、何それ絶対やめて。」
「ちなみに隊長はバーベル公爵令嬢です。」
「シャーロットが!?嘘でしょ?!」
「これからはシャーロット様を筆頭にクレノ様を見守り、応援していきたいと思います!」
「いや、見守るとか別に大丈夫だから、今すぐその隊解散して。」
見たところ被害者の中には位の高い家柄の人もいるようだし、ただでさえシャーロットと第二皇子の傍にいて注目の的だというにこれ以上悪目立ちしたくない。
(とにかく、即刻解散してもらわないと!)
「大丈夫です!目立たないよう、ひっそりとみんなで見守りますので!」
「ひっそりできる人数でも容姿でもないから言ってるんですが!」
「クレノ様になんと言われても解散はしません!」
「だから...恥ずかしいし目立つから嫌なんですよ!!!」
それに、そんな隊を発足されたらその事を知ったカグラや皇太子がこれから何をしてくるか分からないし、とにかく俺はこれ以上カグラにも皇太子にもできるだけ関わりたくないんだ。
だがそんな俺の思いも虚しく、応援隊に押しに押され解散させる事はついに叶わなかった。
そしてその隊になぜか入隊しようとする第二皇子を必死で止めた結果、疲労困憊のまま寮に帰る羽目になった。
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