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二人だけで話したい
しおりを挟む「どうして.....」
「目が覚めたら学園じゃない見覚えのある天井が目に映って、一緒にいたはずのクレノがいないから探したまでだ。」
第二皇子は話しながら俺の隣に腰掛ける。
「もう動いて大丈夫なんですか?まだ体調が.....」
「大丈夫だ。クレノに会ったら元気が出た。」
一見、第二皇子はいつも通りにも見えるが、額には汗をかき、息も少し荒い。
どう見ても、まだ熱が下がっていない様子だった。
「....そんなに心配そうに私を見つめるな。可愛すぎてこの場で襲いたくなる。」
そう言って俺の額にキスを落とす第二皇子を見つめていると、前から熱い視線が送られている事に気付く。
「あっ!!」
第二皇子の登場で忘れていたが、今は両陛下との話し合いの途中だった。
「こんなにデレデレで嬉しそうなレイ、初めて見たわぁ....」
「あのいつも仏頂面で他人に一切興味がないレイが、好きな子の前ではこうなるのか......
お前、本当に私の息子か?中身だけ誰かと入れ替わった別人じゃないだろうな?」
疑うような目で第二皇子を見る皇帝陛下を、不機嫌そうに第二皇子は睨みつける。
「相変わらず人を揶揄うのがお好きなようで。私がいない間、クレノに余計な事を言っていませんよね?」
「ははっ、お前が不利になるような事を言ったつもりはないよ。そうやって父親を疑うとは、なんて親不孝な息子だ。
それに私のおかげで、クレノくんの気持ちが分かったのだろう?感謝してもらいたいくらいなのだが?」
「......そこに関してだけは、感謝しますよ。」
皇帝陛下と第二皇子の話を聞くに、どうやら第二皇子は俺の話をすべて聞いていたようだ。
(全部聞かれてたなんて.....)
恥ずかしい。穴があるなら入りたい気分だ。
「クレノくん。」
「は、はい!?」
突然皇帝陛下に名前を呼ばれ、緊張で声が裏返ってしまった。
「そう緊張しないでくれ。取って食いやしないよ。」
「す....すみません......」
「謝る必要はない。
それより、すまないがしばらく息子と二人きりで話をさせてもらえないだろうか。」
「え?で、ですか....」
俺は第二皇子を見た。
まだ体調が万全ではない第二皇子を、置いて行ってしまっていいのだろうかと不安になる。
そんな俺の様子に気が付いた第二皇子が、頭を優しく撫でてくれた。
「私は大丈夫だ。体調も歩けるようになるまで回復したんだ。今は少し熱があるだけで、薬だって飲んだのだから問題ない。」
確かに倒れた時よりは体調も良さそうだ。
それに皇帝陛下の命令じゃ、第二皇子も断れないのだろう。
「......分かりました。」
「それじゃあクレノくんは、二人の話が終わるまで私が皇宮内を案内してあげるわね。
こちらにいらっしゃい。」
「はい。」
こうして俺は第二皇子をこの場に置いていくのを不安に思いながらも、皇后陛下に連れられ部屋を出たのだった。
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