20 / 29
第2章
20 精霊のお導き
しおりを挟む「えっと、メリッサちゃん……大丈夫?」
「突然どうしたんだい?マチルダの腕に何かあるのかい?」
「うん。へいき、あのね……」
あれ?どうやって伝えればいいのだろう……
食事のお祈りで神じゃなくて、つくも神に祈りましたって?
そしたら隷属の魔方陣の色が漆黒から黒に変わりましたって?……そんなこと言われても、この世界じゃ意味不明なんじゃないのか?いよいよ、おかしくなったと思われそう……ほら、自分でいうのもなんだけど、ほかのひとからみたら兆候はあるじゃない?雑草食べてみたりとか魔石を足にはさんだりとか……
「ちょっと、気づいたことがあったの。でも……もうすこしかんがえてみるね」
「そう……」
「そうかい?困ったらいつでも言いな」
「うん」
やらなくちゃ!と意気込んでみたはいいものの……まずはわたしの手首の隷属の魔方陣の色が本当に変化していくのか確かめてからにしよう。
ひとによって魔方陣の色の濃さに違いがあるだけでした!なんてオチは笑えない。
そうじゃないってわたしは確信しているけど……証拠は多い方がいい。
◇ ◇ ◇
その後……10日ほど食事の際につくも神にお祈りすることをつづけると……ハワードと同じような濃紺へと魔方陣の色が変わった。
倦怠感も薄れたような気もする……あとはどうやってみんなに伝えるかを考えないと。
うーん……あっ!たしかつくも神は前世では長い年月を経た道具などに精霊(霊魂)が宿ったものであるとされていたような……こじつけかもだけど、精霊=つくも神の仲間ってことでいけないかな?
元々、精霊信仰だったというし……つくも神よりは馴染みがあるはずだ。
なにか、精霊が宿っていそうでかつ長い年月経過しているものはないかな?
実際に精霊が宿っていなくても、説明するときにみんなにわかるものならそれでいい……うーん……
カーン、カーン……カーン、カーン……
はっ!そうだ!
この鐘!
フェアルース精霊国時代よりあるという鐘。
魔道具らしく、時間を知らせてくれるのだ。
帝国人は塔の中に入ることすらかなわず、壊すこともできなかったとかで……経年劣化はあるものの、そのままの姿で残っている数少ないものだ。
朝の6時には6回鐘がなり、1時間ごとに1回ずつ増えていき、夜の9時には21回なるんだけど……
時々、時間外にカーンと鳴ることがあって……それは精霊のいたずらだとされていたじゃないかっ!
そうだ!この搭にある鐘をつくも神の説明に利用させてもらおう!
身近にあるし想像もしやすいからね!
ふぅ、これでようやくみんなに話せる目処が立った……よかったー。
早速、自由時間にみんなに集まってもらった。
「わざわざ、集めてどうしたんだい?」
「なにか、相談かの?」
「うん……あのね。わたしがこの部屋にくることになったとき」
「おう、死にかけたときだな!」
確かにそうだけども!
「グウェン、言い方……」
「あー、わりぃ」
「うん。そのときに変な夢をみたの。そのなかにね、つくも神っていうことばがあって……ながい年月を経た道具などに精霊がやどったものであるとされていたんだって!だから、あの鐘のなる塔もそうなんだとおもうの!」
正直に転生したのだと告白する勇気はでなくて……寝込んでいたときに見た夢の話ってことにした。こっちのほうがまだ信じやすいはず……
「……雑草のことやわらじもその夢に出てきたのかい?」
「うん。雑草はまえからたべてたからちがうけどね」
あれは、わたしの本能で食べていたよね……
「そうだったね」
「通りで幼いのに色んなことを知っておったんじゃの」
引かれちゃうかな……
「そうか。精霊のお導きかね……」
「え?」
「昔はよくいたそうだよ。夢で知らない知識を得る者が……それは精霊のお導きだとされていたんだよ」
「へぇ……」
「そうなのか!メリッサ、お前すげぇな!」
「す、すごいです!」
「そうだったのね」
わたしと同じように転生者がいたのかな?それとも本当に精霊のお導きで知識だけ知っていたのかな?
「よし、私はメリッサを信じるよ。精霊はつくも神なんだね」
「うん!」
どこかにいるかもしれない精霊さん!そういうことにしてください!みんなのためなので!文句があるなら出てきてくれても構わないよ!
「だから、食事のときのお祈りでそれをおもいうかべてほしいの」
「お祈りで?」
「え、えっと……と、塔にある鐘が精霊でつくも神?」
「そりゃ、構わねぇが意味あんのか?」
ふっ、ふっ、ふっ!
意味あるんだな、これが!
「あるの!そうすると隷属のまほうじんの色がかわるの!」
「「「「「……っ!」」」」」
「い、色がかわるってな、なんですかっ?」
さぁ、みるがよいぞ!わたしの実験の成果を!
「マチルダさん、ちょっと手かしてね!」
「ええ……」
「ほら、みてー!マチルダさんとわたしのまほうじんの色が違うでしょ?」
マチルダさんの手と比べてみせる……うん、やっぱりこうした方がわかりやすいね!
「本当に色が違うわ」
「儂にはよくわからんのぉ……違うような同じような?」
「俺には結構違って見えるぞ!」
「そ、それは大丈夫なのかいっ?」
「うん。たぶんだけど……あのお祈りで魔力とられてる。つくも神に祈ったら色がかわってつかれにくくなったよ!」
「魔力?」
「うん!魔石をつくるときにちょっとつかれるなーっておもうのとおんなじかんじがお祈りにするから」
「そんなことが……」
「ほう」
「信じらんねぇ……」
たしかに、いきなりそんなこと信じられないかもなぁ……
それぞれの反応は驚いたり訝しげだったり……
「あのね、ハワードはずっとまえからお祈りしてなかったでしょう?」
「そうだね……声すら聞いたことないからね」
「ええ」
「確かに……」
「そう言われりゃそうだな」
ハワードも話し合いの輪に加わってはいる(ハワードの元にみんなを集めたともいう)が……聞いているかわからない。ただ、じっと座っているだけだ。
「たぶん、いろがかわると隷属のまほうじんの効果がきれるか、うすまるかしてるんだとおもう……」
「だから、ハワードは見張りの罰にも全然反応しなかってことかい?」
「うん、そうじゃないかなーって?あの罰、むはんのうでがまんできる?」
「「「「「無理……」」」」」
「でしょー!」
それぞれがわたしと自分の腕の隷属の魔方陣をまじまじと見比べたり、ハワードの手首の魔方陣を観察したり忙しい。
「こんなことがあるのかのぉ……」
「そうだったら、どんなにいいか」
「食事ときのお祈りは魔力をしょうひして、隷属のまほうじんとれんどうしているんじゃないかって……」
ここで、わたしがそう考えましたとか言ったら気味悪がられるかな?……よし
「夢で似たようなしくみのおはなしがあったの」
「精霊のお導きってすげぇ……」
「ほう……」
「ゆ、夢で……お、お導きですね!」
「精霊のお導きならそうなのかも知れないねぇ」
おぉ、精霊への信頼度が高い……とくにおばばさま。そしてみんなはおばばさまがそう言うならばそうなんだと素直に信じている。人徳だねぇ……
「だから……お祈りで『(つくも)神よ、日々の恵みに感謝します』ってやってみてほしい」
「俺はやるぜ!」
「私も……疲れにくくなるなら」
「まぁ、試してみるくらいならいいかの」
「よかった!あ!お祈りのときは塔の鐘のことをつよくおもいうかべてね!そのほうがこうかがあるみたいだから!」
「おう!」
「わかったよ」
「は、はい!」
こうしてみんなにも試してもらうことが決定した。ふぅ……上手く伝わってよかったー。
27
あなたにおすすめの小説
狼になっちゃった!
家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで?
色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!?
……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう?
これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
どうやら悪役令嬢のようですが、興味が無いので錬金術師を目指します(旧:公爵令嬢ですが錬金術師を兼業します)
水神瑠架
ファンタジー
――悪役令嬢だったようですが私は今、自由に楽しく生きています! ――
乙女ゲームに酷似した世界に転生? けど私、このゲームの本筋よりも寄り道のミニゲームにはまっていたんですけど? 基本的に攻略者達の顔もうろ覚えなんですけど?! けど転生してしまったら仕方無いですよね。攻略者を助けるなんて面倒い事するような性格でも無いし好きに生きてもいいですよね? 運が良いのか悪いのか好きな事出来そうな環境に産まれたようですしヒロイン役でも無いようですので。という事で私、顔もうろ覚えのキャラの救済よりも好きな事をして生きて行きます! ……極めろ【錬金術師】! 目指せ【錬金術マスター】!
★★
乙女ゲームの本筋の恋愛じゃない所にはまっていた女性の前世が蘇った公爵令嬢が自分がゲームの中での悪役令嬢だという事も知らず大好きな【錬金術】を極めるため邁進します。流石に途中で気づきますし、相手役も出てきますが、しばらく出てこないと思います。好きに生きた結果攻略者達の悲惨なフラグを折ったりするかも? 基本的に主人公は「攻略者の救済<自分が自由に生きる事」ですので薄情に見える事もあるかもしれません。そんな主人公が生きる世界をとくと御覧あれ!
★★
この話の中での【錬金術】は学問というよりも何かを「創作」する事の出来る手段の意味合いが大きいです。ですので本来の錬金術の学術的な論理は出てきません。この世界での独自の力が【錬金術】となります。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ハイエルフの幼女に転生しました。
レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは
神様に転生させてもらって新しい世界で
たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく
死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。
ゆっくり書いて行きます。
感想も待っています。
はげみになります。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
転生少女と黒猫メイスのぶらり異世界旅
うみの渚
ファンタジー
ある日、目が覚めたら異世界に転生していた主人公。
裏庭で偶然出会った黒猫に魔法を教わりながら鍛錬を重ねていく。
しかし、その平穏な時間はある日を境に一変する。
これは異世界に転生した十歳の少女と黒猫メイスの冒険譚である。
よくある異世界転生ものです。
*恋愛要素はかなり薄いです。
描写は抑えていますが戦闘シーンがありますので、Rー15にしてあります。
第一章・第二章・第三章完結しました。
お気に入り登録といいねとエールありがとうございます。
執筆の励みになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる