目覚めたら7歳児でしたが、過酷な境遇なので改善したいと思います

瑞多美音

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第2章

20 精霊のお導き

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 「えっと、メリッサちゃん……大丈夫?」
 「突然どうしたんだい?マチルダの腕に何かあるのかい?」
 「うん。へいき、あのね……」

 あれ?どうやって伝えればいいのだろう……
 食事のお祈りで神じゃなくて、つくも神に祈りましたって?
 そしたら隷属の魔方陣の色が漆黒から黒に変わりましたって?……そんなこと言われても、この世界じゃ意味不明なんじゃないのか?いよいよ、おかしくなったと思われそう……ほら、自分でいうのもなんだけど、ほかのひとからみたら兆候はあるじゃない?雑草食べてみたりとか魔石を足にはさんだりとか……


 「ちょっと、気づいたことがあったの。でも……もうすこしかんがえてみるね」
 「そう……」
 「そうかい?困ったらいつでも言いな」
 「うん」

 やらなくちゃ!と意気込んでみたはいいものの……まずはわたしの手首の隷属の魔方陣の色が本当に変化していくのか確かめてからにしよう。
 ひとによって魔方陣の色の濃さに違いがあるだけでした!なんてオチは笑えない。
 そうじゃないってわたしは確信しているけど……証拠は多い方がいい。

 ◇ ◇ ◇

 その後……10日ほど食事の際につくも神にお祈りすることをつづけると……ハワードと同じような濃紺へと魔方陣の色が変わった。
 倦怠感も薄れたような気もする……あとはどうやってみんなに伝えるかを考えないと。

 うーん……あっ!たしかつくも神は前世では長い年月を経た道具などに精霊(霊魂)が宿ったものであるとされていたような……こじつけかもだけど、精霊=つくも神の仲間ってことでいけないかな?
 元々、精霊信仰だったというし……つくも神よりは馴染みがあるはずだ。

 なにか、精霊が宿っていそうでかつ長い年月経過しているものはないかな?
 実際に精霊が宿っていなくても、説明するときにみんなにわかるものならそれでいい……うーん……

 カーン、カーン……カーン、カーン……

 はっ!そうだ!
 この鐘!

 フェアルース精霊国時代よりあるという鐘。
 魔道具らしく、時間を知らせてくれるのだ。
 帝国人は塔の中に入ることすらかなわず、壊すこともできなかったとかで……経年劣化はあるものの、そのままの姿で残っている数少ないものだ。

 朝の6時には6回鐘がなり、1時間ごとに1回ずつ増えていき、夜の9時には21回なるんだけど……
 時々、時間外にカーンと鳴ることがあって……それは精霊のいたずらだとされていたじゃないかっ!

 そうだ!この搭にある鐘をつくも神の説明に利用させてもらおう!
 身近にあるし想像もしやすいからね!

 ふぅ、これでようやくみんなに話せる目処が立った……よかったー。

 早速、自由時間にみんなに集まってもらった。
 
 「わざわざ、集めてどうしたんだい?」
 「なにか、相談かの?」
 「うん……あのね。わたしがこの部屋にくることになったとき」
 「おう、死にかけたときだな!」

 確かにそうだけども!

 「グウェン、言い方……」
 「あー、わりぃ」
 「うん。そのときに変な夢をみたの。そのなかにね、つくも神っていうことばがあって……ながい年月を経た道具などに精霊がやどったものであるとされていたんだって!だから、あの鐘のなる塔もそうなんだとおもうの!」

 正直に転生したのだと告白する勇気はでなくて……寝込んでいたときに見た夢の話ってことにした。こっちのほうがまだ信じやすいはず……

 「……雑草のことやわらじもその夢に出てきたのかい?」
 「うん。雑草はまえからたべてたからちがうけどね」

 あれは、わたしの本能で食べていたよね……

 「そうだったね」
 「通りで幼いのに色んなことを知っておったんじゃの」

 引かれちゃうかな……

 「そうか。精霊のお導きかね……」
 「え?」
 「昔はよくいたそうだよ。夢で知らない知識を得る者が……それは精霊のお導きだとされていたんだよ」
 「へぇ……」
 「そうなのか!メリッサ、お前すげぇな!」
 「す、すごいです!」
 「そうだったのね」

 わたしと同じように転生者がいたのかな?それとも本当に精霊のお導きで知識だけ知っていたのかな?

 「よし、私はメリッサを信じるよ。精霊はつくも神なんだね」
 「うん!」
 
 どこかにいるかもしれない精霊さん!そういうことにしてください!みんなのためなので!文句があるなら出てきてくれても構わないよ!

 「だから、食事のときのお祈りでそれをおもいうかべてほしいの」
 「お祈りで?」
 「え、えっと……と、塔にある鐘が精霊でつくも神?」
 「そりゃ、構わねぇが意味あんのか?」

 ふっ、ふっ、ふっ!
 意味あるんだな、これが!

 「あるの!そうすると隷属のまほうじんの色がかわるの!」

 「「「「「……っ!」」」」」

 「い、色がかわるってな、なんですかっ?」

 さぁ、みるがよいぞ!わたしの実験の成果を!

 「マチルダさん、ちょっと手かしてね!」
 「ええ……」
 「ほら、みてー!マチルダさんとわたしのまほうじんの色が違うでしょ?」

 マチルダさんの手と比べてみせる……うん、やっぱりこうした方がわかりやすいね!

 「本当に色が違うわ」
 「儂にはよくわからんのぉ……違うような同じような?」
 「俺には結構違って見えるぞ!」
 「そ、それは大丈夫なのかいっ?」
 「うん。たぶんだけど……あのお祈りで魔力とられてる。つくも神に祈ったら色がかわってつかれにくくなったよ!」
 「魔力?」
 「うん!魔石をつくるときにちょっとつかれるなーっておもうのとおんなじかんじがお祈りにするから」
 「そんなことが……」
 「ほう」
 「信じらんねぇ……」

 たしかに、いきなりそんなこと信じられないかもなぁ……
 それぞれの反応は驚いたり訝しげだったり……

 「あのね、ハワードはずっとまえからお祈りしてなかったでしょう?」
 「そうだね……声すら聞いたことないからね」
 「ええ」
 「確かに……」
 「そう言われりゃそうだな」

 ハワードも話し合いの輪に加わってはいる(ハワードの元にみんなを集めたともいう)が……聞いているかわからない。ただ、じっと座っているだけだ。

 「たぶん、いろがかわると隷属のまほうじんの効果がきれるか、うすまるかしてるんだとおもう……」
 「だから、ハワードは見張りの罰にも全然反応しなかってことかい?」
 「うん、そうじゃないかなーって?あの罰、むはんのうでがまんできる?」

 「「「「「無理……」」」」」

 「でしょー!」

 それぞれがわたしと自分の腕の隷属の魔方陣をまじまじと見比べたり、ハワードの手首の魔方陣を観察したり忙しい。

 「こんなことがあるのかのぉ……」
 「そうだったら、どんなにいいか」
 「食事ときのお祈りは魔力をしょうひして、隷属のまほうじんとれんどうしているんじゃないかって……」

 ここで、わたしがそう考えましたとか言ったら気味悪がられるかな?……よし

 「夢で似たようなしくみのおはなしがあったの」
 「精霊のお導きってすげぇ……」
 「ほう……」
 「ゆ、夢で……お、お導きですね!」
 「精霊のお導きならそうなのかも知れないねぇ」

 おぉ、精霊への信頼度が高い……とくにおばばさま。そしてみんなはおばばさまがそう言うならばそうなんだと素直に信じている。人徳だねぇ……

 「だから……お祈りで『(つくも)神よ、日々の恵みに感謝します』ってやってみてほしい」
 「俺はやるぜ!」
 「私も……疲れにくくなるなら」
 「まぁ、試してみるくらいならいいかの」
 「よかった!あ!お祈りのときは塔の鐘のことをつよくおもいうかべてね!そのほうがこうかがあるみたいだから!」
 「おう!」
 「わかったよ」
 「は、はい!」

 こうしてみんなにも試してもらうことが決定した。ふぅ……上手く伝わってよかったー。
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