《くるみちゃんに貢ぎたい!同志求む!》~配信の理由?もちもちのくるみちゃんの可愛い瞬間を全て記録できるようにですがなにか?~

瑞多美音

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8 探索者 その2

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 「ふたりって、近くにお酒ダンジョンがあればもっと早く探索者になっていたと思うわー」
 「「ん?お酒ダンジョン?……なにそれ!」」

 ふたりはお酒ダンジョンがあることを知らなかったらしい。意外すぎる……酒好きなのに!私でも知ってるくらい有名なのに!

 「九州にあるのが有名らしいよ?初心者でも行けるから大人気なんだってー」
 「へぇ!」
 「近いとこにもあるみたいだけど、こっちは初心者には難易度高いみたいだね」

 お酒ダンジョンとは、魔物からのドロップにお酒が多いのが特徴だ。ネット情報なのでどこまで真実かは知らないけど……

 「ちょっと、調べてみよぉ~」
 「だな!」

 ふたりはスマホでお酒がドロップするダンジョンを探し始めた。お酒にかける情熱がすごいね……

 「やっぱり、初心者でも行けるのはここしかないみたい」
 「まじかー」
 「うわぁ!ここのお酒はほとんど出回ってないみたいだぁ……」
 「そりゃ、酒好きは全部自分で消費するだろうしなー」
 「しかもドロップの持ち帰りに制限あるみたいだねぇ」

 初心者向けダンジョンでも酒好きの高ランク探索者が入ることは可能なので全て取り尽くさないように持ち帰り制限があるようだ。どうやら、一部の人気ダンジョンではドロップの持ち帰り制限があって制限以上ドロップした場合は問答無用でギルドが買い取るみたい。
 ダンジョンから魔物が溢れ出すような事態は避けたいがダンジョンの恩恵を潰したくもない……ってとこかな?

 ただ、お酒ダンジョンのある九州にそう簡単に行けないと思う。ましてやうちは農家である。先々の予定がきっちり決まっているので家族の協力が必要不可欠だろう。

 「早く、資格取って行きたいな~」
 「旅行がてら行きたいねぇ!」
 「お土産次第で協力してあげますよ」
 「ばぁちゃん!」

 おばあちゃんを味方に付けられれば勝率高そうだね……他の家族が賛成しててもおばあちゃんが反対だと難しくなることも多いし。影の実力者だ。

 そして、ふたりのモチベーションが異常に高くなってしまった。

 「で、父さん。どうすれば探索者になれるかは知っているの?」
 「おう。試験と講習を受けるらしいぞ?あとは知らんな」

 ちょっと調べてみるか……ふむふむ。ダンジョン法などの試験……運転免許試験のような感じ……に合格することでダンジョンに入れるようになると。
 探索者になるためにはその資格が必須ってことだね。

 「どうも、講習を受けて試験に合格しなければならないみたいだね」
 「講習と試験は平日に1日、休日に1日、週に2回やっているって書いてあるぞ!」
 「じゃあ、みんなの予定を合わせないといけないかな?」
 「あ、こっちではテキストがインストールできるみたいです!印刷しときますねぇ」

 みんなの予定を合わせ、講習を申し込んだ。

 「念のため言っておくが、わしが費用をだすのは今回限りだからな!」
 「ふふ。そういうあなたが落ちてしまうのでは?」
 「なっ……一緒に勉強するか……老眼が……はぁ」

 試験日に講習があり、それをちゃんと受けていれば受かる内容らしいけど……

 「あ、こっち、拡大コピーしておきました~」
 「あら、助かりますね」
 「晴夏ちゃん、こっちも頼むよ」
 「はーい!」

 1週間ほど各自テキストなどを勉強した後に講習と試験を受けにいくことが決定した。

 試験料も交通費も食事代もすべておじいちゃん持ちである。わーい。

 「あ、ここに必要書類が書いてあるよ!身分証と住民票だってー」
 「じゃあ、明日にでも役場でもらってこないといけないわね」
 「うわぁ……じいちゃん!受かった場合には登録料やら、デバイス代とか結構かかるみたいだそ。大丈夫?」

 おじいちゃんのポケットマネーは足りるのかな?

 「おう。村のダンジョンのお陰で臨時収入があったろ?それで十分賄えるだろ」
 「そうかぁ。父さん、あれは幸運だったよね」
 「おう。ダンジョンで得たからな!ダンジョンに返してもいいだろう」
 「そうですね」
 「あぁ、そんなこともあったわね」
 「ん?どういうこと?」
 「そうか、ユズは知らなかったか……」
 

 どうやら、川畑村にダンジョンが出来たことで買い取られた土地の一部は我が家のものだったらしい。
 我が家としては管理が大変な上、お金が出ていくばかりの土地だったため喜んで売り払ったんだって。
 しかも、この土地はもともとは別の人ものだったんだけど、借金があるとかで頼み込まれておじいちゃんが買い取った土地だったそう。
 昔、世話になった人だったらしく断れなかったんだってさ。

 「ほら、昔よく竹とりに行ってたろ?」
 「あー、竹林整備がめちゃくちゃ面倒なとこかぁ」
 「そうそう」

 子どもの頃はあれで竹とんぼとか竹馬作ってもらったりしたなー。その代わりに竹を切ったり運ぶの手伝わされたっけ……子どもってなんでか無限のように体力があるじゃない?そこら辺走り回ったり木に登ってるなら利用したくなる気持ちもわかる。私たちもお駄賃目当てだったしウィンウィンだったなー。

 「あれ?おばあちゃんが竹で籠とか作ってなかった?ご近所さんにも好評だった気がするけど……」
 「あれも、結構手間ですし……それに国のせいにしておけば私は悪くありませんから」
 「そっかー」

 確かに……おばあちゃんって時々すごく腹黒い。

 なので、とくに先祖代々とか大事にしてるとかではなかったらしく話が来て即答で売ったらしい……むしろ範囲外の土地も売り込んだそう。
 流石にそっちはダメだったらしいが厄介な部分は国の管轄となったし、本来ならなかなか買い手がつかないので国に買い取られてラッキーって喜んだそう……ダンジョンができると周囲の土地が買い取られることは知っていたけど、まさかうちもだったとは驚いた。
 もし、人気ダンジョンとかになってたら駐車場にしてウハウハだったのに不人気ダンジョンなばかりに……残念。

 今回、そのお金をダンジョン登録費用として使うってことだね。
 
 「あとは、向こうでいくつか書類にサインする必要があるみたいだけど……」
 「へえー……そんなのもあんだな!」
 「まあ、仕方ないでしょうね」

 『ダンジョンの性質上、負傷・死亡・後遺症などの危険があることを認識しています。責任は~』……とか細かく書いてあるいわゆる誓約書だね。自己責任ってやつだ。

 それを聞いても、みんなの意思に変わりはなかった……まー、初心者ダンジョンに行くつもりだし、そこまでの危険はないと思って深く考えてないだけとも言う。

 覚悟を問われているような気もするけど、主には何かあったときの責任問題のための書類だろう。それに文句があるなら、探索者になるなってことでしょう。

 ◇ ◇ ◇ 

 1週間後……

 テキストとノート、筆記用具や必要な書類を揃え、車2台にわかれ試験会場へ向かう。
 車で1時間半ほどの予定……そのほとんどが山道だ。酔わないといいな……

 「じゃ、俺が先導するからついてきてなー!」
 「うん。安全運転で頼むよ」
 「そうよ、まだ時間は十分にあるんだからね!」
 「はーい」
 
 今日、向かうのは川畑村のダンションセンターではなく、山川市にある初心者ダンジョンにある探索者支援センター。通称ダンションセンターだ。

 「はぁ……運転したかったですね」
 「まだ、冬だからねぇ……」


 川畑村のダンションセンターではなく、山川市まで時間をかけて行くのは資格を取得後、すぐにダンションへ入ってスキルを手に入れるためだ。
 
 資格取得後すぐは見習いみたいなものらしく初心者ダンジョンにしか入れない。
 川畑村のダンジョンは初心者ダンジョンではないので試験や講義は受けることができないのだ。

 基本的に初心者ダンジョンに併設されたダンションセンターで試験を受けるが、県によっては初心者ダンジョンがないところもある。
 その場合は、一番難易度の低いダンジョンにあるダンションセンターで試験や講義が定期的に開催されるらしい。その際は、探索者にも護衛クエストがあるとか。
 万全の態勢でスキルをゲットできるそうだ。ただ、立地によっては隣県のダンションセンターまで足を運ぶひとも多いらしい。

 「わざわざ時間かけて行くんだから合格しないとやばいね」
 「よほどじゃなければ、なんとかなるわよ!」

 ひとりだけ落ちるのは嫌だってみんな作業の合間を縫って頑張っていたので大丈夫だといいな。

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