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第3章
39.女神見習い、神様が泊まりに来る
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【交信】
《大地神 アルネルディ》から交信されています。
[はい(許可)] [いいえ(拒否)]
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「あれ、アルさん? どうしたんだろ……」
とりあえず[はい]を選択する。
『エナちゃん、久しぶりじゃ。元気かの?』
「お久しぶりです。はい、元気にしてます!」
『そうか、それは良かった……わしもちょっと前に降臨しての……エナちゃんがなかなか連絡をくれないから会いに行こうと思っとるんじゃ』
あー、もうアルさん降臨の時期なんだ……え?……会いにくるの?アルさんが?ここに?
「えーと……さすがに距離がありますし……」
そもそも小屋の場所知らないよね?
『なんじゃ、そんなことは問題ないぞ? わし、神さまじゃからの!』
「そうですか……じゃあ夕方お待ちしてますね」
『うむ……で、どこに行けばいいかの?』
やっぱ、知らないんかーい! 移動できるけど目的地がわかってなかったのね……
「えーっと……魔の森の奥の方にある小屋なんですけど」
こんな説明でわかるわけないか……
『ふむ……わかったのじゃ! なんとなく浄化されている土地があるからそこに行ってみるかのぉ』
へー……大地神てそんなこともわかるんだ。すごい……
『じゃあまた、後での!』
「はい。お気をつけて?」
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【交信】
《大地神 アルネルディ》との交信を終了しました。
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◇ ◇ ◇
夕方……
「本当にあの説明だけで来れるのかな……」
一応、小屋の掃除もしたし、料理はこの前のブラッドベアの美味しいご飯があるし……顔見てすぐに帰るのかな?ご飯くらいは食べて行くよね?
「ふぉっふぉっふぉっ……なかなか個性的な場所に住んでおるの……」
振り返ると変わらぬ姿のアルさんが立っていた。
「アルさん、お久しぶりです……個性的な場所……確かにそうかも知れません」
だって本来なら魔物がうじゃうじゃいる危険な地域に住んでるんだもの……小屋もボロいし……
「そうじゃ、今日はエナちゃんのお家に泊めてくれい。街の宿は飽きたんじゃ。お忍びもやり尽くしたしのぉ」
「泊めてくれいって言われましても……そもそも泊められる部屋がありませんし……」
そうなのだこの小屋はキッチンやリビング、ベットなどが1部屋に全てが収まっている状況。
ベット以外に寝る場所は……床しかない。というかベットも平たい石だけども。体バキバキになるけども。
神様を床で寝かせるとか……ないな。え? お前が床で寝ろって……えー。
「そうなのか。残念じゃのう……もし、他に部屋があれば泊めてくれるのじゃな?」
うーん。まぁ、同室じゃないなら問題はないけど、まず部屋ないしな。
「まあ、そうですね」
「ちなみにエナちゃん……この小屋の狭さやボロさを気に入ってるとかあるかの?」
「いえ、特にはないです……そもそも1人の空間が欲しかったのと宿代の節約を兼ねているので」
「そうか!それなら簡単じゃ。部屋を増やしてしまおう!他に要望はあるかの?」
部屋を増やす?そんなこと簡単にできないし、リフォームするにしてもここまで大工さん来れないよ……とはいえ……もしリフォームしたら欲しいもの……
やっぱ、お風呂とトイレかな……あとベッド!体がバキバキにならないやつ。
「ふむ、そうか。ではやるかの」
あ、声に出てたみたい。やるって何をやるのかな?
アルさんに促されるまま外に出て待つこと数分……
「ほれ、完成じゃ。これでわしも心置き無く泊まれるわ」
「何が完成なんでしょうか? 泊まれるってどういうことですか」
アルさんはしたり顔で
「入ってみればわかるぞ」
「はぁ……」
とりあえず言われたまま小屋に入ると……なんということでしょう、小屋が家になっているではありませんか!
おかしい……さっきまでワンルームだったはず。外に出て確認するも外観に変化は見られない。ボロい小屋のままだ……
「これなんですか!いきなり部屋が増えてますけど!」
「ちょっとわしの魔法でやってやったわい。ちゃんとお風呂とトイレ、ベッドも付けたぞ? ついでにわしの好きなようにに色々追加したわ。これでわしもお泊まりじゃな。宿泊代は家の改築でええかの」
ホクホク顔の神さま、それを横目に家を見てまわる。
確かに狭いワンルームからリビングダイニングと台所、個室が2部屋、それにトイレとお風呂、物置まである。石のベッドは綺麗なベッドに斜めだったテーブルも水平に、座面の壊れた椅子も真新しい物に変化しており新たな家具もいくつかあるみたい……個室は両方とも寝泊まりできるよう家具が揃ってる。すごい……そして、ボロくない。外と中のギャップよ……
明らかに元の小屋の面積より家の中が広い。どういう仕組みか気になる……しかし、困った。これでイヤとは言えないよね。冗談かと思ったら神様の本気侮るべからず。……少しだけ自分が苦労して掃除したり修繕したのが馬鹿らしく感じた。
「ほんとうに大したことは出来ませんよ。それでもよければ……」
満足そうに頷いているので問題ないんだろう。
「うむ。じゃあ残りの降臨期間中よろしくの!」
え……今日だけじゃないの……そうか、今日だけならこんな本格的に部屋を綺麗にしたりしないか……ご飯のストックそんなにないけど。
とりあえず食事だけでも頑張ろう。主に肉と果物しかないけど。パンとか焼けないけど。
なんならアルさん、テイクアウトしてきてくれてもいいんですよ?……私の分も一緒に。
結局アルさんは残りの降臨期間中、私の家に泊まり、ご飯のストックが無くなった途中からは食事もテイクアウトしてきてくれた。
つまり私の料理がまずいとな……確かにテイクアウトしてきてくれてもいいって言ったけど……毎日同じようなメニュー(味の薄いor濃いスープ、買ってきた果物をカットしたもの、買ってきた肉を焼いたもの……生焼けor丸焦げ)は飽きたってことかな。これは無言の圧力かなにかですか?え、パンだけ食べてたほうがマシ?……た、確かに……反論できなくて辛い。まぁ、いいか……テイクアウトはアルさんのおごりだし節約できたと思えば……
「今度、愛の女神に自慢してやるんじゃ。あやつエナちゃんとの食事をずいぶん自慢してくれたからの! そうじゃ! 今度の降臨期間中もお泊り予約で頼むぞ」
「はぁ……」
アルさんは意気揚々と天界へ帰って行きました。
メルさんに何を自慢することがあるのでしょうか? 私の料理の腕ですか、そうですか。
……え? 好き勝手にしても怒られない空間……そんなの自慢になるかぁい!
そして、なぜか降臨期間中、定期的に神様が私の家に宿泊することが決定したようです。それまでに可及的速やかに食事と呼べるものを作れるようになろうと心に決めた。きっと無理だけど。スキルあるのに全く成長が見られないもの……そうなったらまたアルさんにテイクアウトしてきてもらうからいいもん、ぐすん。
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