異世界トリップしたら女神(見習い)でしたが一般人として自由に生きていこうと思います

瑞多美音

文字の大きさ
69 / 120
第6章

69.女神見習い、精霊に懐かれる?(2)

しおりを挟む


 さあ、商業ギルドへ行きますか。

 ちなみに精霊は見届けるつもりのようでピッタリ後ろを付いてきている。精霊魔法の使い手でも見えないと自慢げだ。
 では、なぜ私に見えたのかといえばキュリエルが姿を見せていたかららしい。それでも、テリトリー外で姿が見えるのは精霊魔法を持っているからなんだって……何にも知らないんだねって色々と教えてくれた。うん、ちょっと小馬鹿にされた気がするけど、気にしたら負けだからさ……

 でも、キュリエルが精霊魔法について教えてくれたおかげで、今まで不思議だったファルシュ草が簡単に見つけられたのは精霊が勝手に魔力を取り導いていたためだとも知った。
 魔力を勝手にとられていたのは驚いたけど、大して影響もなかったし……まぁ、いいか。どおりで他の人が見つけられなかったわけだね……
 精霊魔法とは精霊と会話や契約召喚などが行える魔法だといい、精霊が薬草の場所や魔物の気配など教えてくれるらしく、通常ならば精霊との相性などが合わないと探知範囲が狭くなったり、目的の物の場所がズレたりするらしい。
 契約する場合もあれば、その場限り魔力の提供で力を貸してくれることもあるとか。
 今となっては精霊魔法の使い手自体が非常に少なく、暇な精霊が遊びがてら薬草採取の協力してくれてたみたい……暇なって……と思うが助けられたのは事実なのでこれからも是非お願いしたい。
 
 「だからいつの間にか精霊魔法がレベルアップしてたんだね。納得だわ……」


 商業ギルドへ着くとメリンダさんが出迎えてくれた。なぜか毎回メリンダさんなんだよね……サブマスになんか言われたのかな。

 「エナさん、どうされましたか? まだ例のお茶は入荷してませんが……」
 「あぁ、違います。家を買おうと思いまして。ここで扱っていると聞いたもので」
 「……はい、取り扱っております。こちらへどうぞ」


 いつものカウンターとは別の商談スペースへ案内された。メリンダさんがこのまま対応してくれるようだ……何でもできるのね。さすがサブマスの奥さん。

 「それでは早速ですが、ご希望の場所や広さなどございますか? 公認職人のエナさんなら信用も高いので融資も可能ですよ」
 「そうなんですね……あの、実はもうほしい家が決まってるんです。街の外れにある大きな一軒家わかりますか? あの家が欲しいんです」

 告げた途端、メリンダさんはなんだか気まずそうだ……空気が緊張したというかなんというか。

 「あ、あの家ですか……それでしたら他にも好条件の物件がありますけど……」

 おっと、隣の精霊さんのご機嫌がななめに……

 「いえ、あの家がいいんです……売買価格はいかほどになりますか?」

 まあ、値切りますけどねー。

 「少々お待ちいただけますか? 上に確認してまいりますので……」

 メリンダさんは少し落ち着かない様子で奥の部屋に入っていった。
 あれってギルドマスターの部屋なんじゃ……この精霊さんよっぽど問題起こしてるな。横をじろりと見るも当の本人はどこ吹く風だった。この精霊、何気に上級なんじゃ……

 「お待たせしました。まずは確認ですがあの家がいわくつきなことはご存知でしょうか」
 「あれですよね? 買おうとした者が次々に具合が悪くなったり、よくないことが続いて不吉だと噂の空き家……で合ってますか?」
 「その通りです。失礼ですが、エナさんはそれでも購入をご希望ということでよろしいですね?」

 なんかやたらと確認してくるな。まぁいいけど。

 「はい、もちろん価格にもよりますけど……」

 メリンダさんは大きく息を吐き、少し緊張が解けたようだ。

 「本来ならば金貨7枚のところ金貨5枚でいかがでしょうか」

 金貨5枚といえば大体市民の3~4ヶ月分の生活費に相当する。
 小さな部屋や家ならひと月、銀貨5枚から借りられるらしいので、1年弱で元が取れることを考えると安いような気もするけど……うーん、悩むな……今までの稼ぎで買えないことはない……けど。ダメもとで

 「もう一声!」
 「も、もう一声ですか!?……すいません、もう1度相談してきます」

 なんかすいません……次の価格でごねずに買おう。金貨5枚でも買えないことはないんだし。買わないという選択肢は精霊さんのおかげでないものでね。

 「エナさん、大変お待たせしました。すべての手数料込み、金貨2枚でいかがでしょうか? これ以上はさすがに無理だそうです……」

 うわっ、思ったより安くなっちゃったよ。初め価格の半額以下になっちゃったけど……

 「そ、そんなに安くしても大丈夫なんですか?」

 自分で値切っておきながら、なんだか申し訳なくなってきた。

 「はい、その代わり購入後、何かトラブルが起きても自己責任という文言を契約書に入れさせていただきますがよろしいでしょうか」
 「構いません。じゃあそれでお願いします」

 若干、値切りすぎたかな……一瞬罪悪感が頭をよぎったけど無視無視。

 トラブル防止のためご確認願います。と差し出された契約書にしっかり目を通し、手続きや支払いを終え、予定外だった2軒目の家ゲットしました。
 売買契約を済ませると精霊は嬉しそうだった。よかったね。また、ポーション売って稼がないとなぁ……

 ところで……商業ギルドで売買契約後、家の門のカギは魔道具になっていて登録しないと開かないなかなかの優れモノなんですよと使い方を説明されたんですが……あれ、さっき私普通に家の中に入れたけど……どうやら精霊さんが勝手に開けていたようですね。
 キュリエルはこの家を守り続け、私はこの家を瞬間移動に利用できるし、結果的にはお互いによかったんじゃないかな。

 
 さっそく自分の家になった家の中を見て回る……これかなりのお得物件だったわ!
 精霊を除けばだけど……なんかギルドの皆さん値切ってすいません。

 玄関を開けるとそこには広めの玄関ホールがあり奥まで廊下が続いていた。その途中に2階へと続く階段がある。
 1階は右手の部屋に行く扉を開けるとそこにはリビングやキッチン、左手の部屋には物置と客間、廊下の突き当りには水場がある。お風呂っていうものはなかった。こんなに大きなお家にもお風呂ないんだなぁ。湯船は格別なんだけど……やっぱり難しいんだろうな。
 家具などもついているので新たに買う必要がなくて良かった。トイレとかお風呂はとりあえず簡易シリーズを使おうかな……感謝ポイントを交換して置いておくか、毎回出して使うか、どうしようかな……

 2階は個室のみで左右対称の作りの部屋が2つずつと奥に大きめの寝室が1つ。こちらも家具などはあったのでそのまま使用できるね。ただ、私1人には広すぎるけど……

 そして庭にある物置だと思っていた小屋は前の住人のおじいさんの工房だった。かつてはこの街で名の知れた鍛冶職人で武器や農具など幅広く作っていたらしい。ドワーフからも腕を認められていたほどなんだとか……あ、これは精霊のキュリエルからの情報ね。


 やはり、家自体の作りはかなりはいいものだった。こだわって造られていたようだ。こんなお家なかなか手にはいらないからラッキーだったよ。キュリエルが綺麗にしてくれてるおかげて傷みも少ない。
 今でも誰も近寄らないので結界は必要ないだろう……いざとなればキュリエルが追い払ってくれるはず。
 
 アルさん曰く、女神の聖域がレベル4になると森の家と繋げることも可能らしく……聖域指定するとなんちゃらかんちゃら……消費魔力が半端ないらしい。アルさんはいとも簡単に使ってましたけどね。
 はっ、話が逸れてしまった。

 多少傷みのある部分ば今日のところは直す時間もないので今後ゆっくり修繕していけばいいかな……だって森の家のボロさと比べればなんてことないんだもの。

 「じゃあ、キュリエル。近いうちにまた来るね」
 「うん! ありがとう、エナ」



 瞬間移動でエナが森の家へ戻った後ーー

 「うわぁ……本当に消えちゃった……ふふっ、ねぇマリー……あの子ならこの家を大事にしてくれそうだよ」

 かつての主人を思いながら新たな出会いにワクワクしていた……契約はしないけど時々なら力を貸してあげようかなと思うほどには……
 

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

神託が下りまして、今日から神の愛し子です! 最強チート承りました。では、我慢はいたしません!

しののめ あき
ファンタジー
旧題:最強チート承りました。では、我慢はいたしません! 神託が下りまして、今日から神の愛し子です!〜最強チート承りました!では、我慢はいたしません!〜 と、いうタイトルで12月8日にアルファポリス様より書籍発売されます! 3万字程の加筆と修正をさせて頂いております。 ぜひ、読んで頂ければ嬉しいです! ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 非常に申し訳ない… と、言ったのは、立派な白髭の仙人みたいな人だろうか? 色々手違いがあって… と、目を逸らしたのは、そちらのピンク色の髪の女の人だっけ? 代わりにといってはなんだけど… と、眉を下げながら申し訳なさそうな顔をしたのは、手前の黒髪イケメン? 私の周りをぐるっと8人に囲まれて、謝罪を受けている事は分かった。 なんの謝罪だっけ? そして、最後に言われた言葉 どうか、幸せになって(くれ) んん? 弩級最強チート公爵令嬢が爆誕致します。 ※同タイトルの掲載不可との事で、1.2.番外編をまとめる作業をします 完了後、更新開始致しますのでよろしくお願いします

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

処理中です...