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第7章
85.女神見習い、ダンジョンへ行く(1)
出発当日
朝いちばんにリディやブラン、アルさん、メルさんに挨拶をして街の家に瞬間移動……
ほんの少し恥ずかしいドーラの防具を身につけ、それを外套で隠しつつ待ち合わせ場所であるギルドへ向かう。
あ、もうみんな揃ってるっ……それぞれ前にあった時とは打って変わって防具や武器を身につけている。
ルカは鎧を身につけ重たそうな盾と斧を……うん、ムキムキなわけだね。わたしそれ持てない……いや、持つ必要ないんだけどね。
カーラは普段とは雰囲気も変わり素材のよくわからない軽そうなのに丈夫そうな防具に身を包み帯剣。おおー、冒険者だぁ。魔物の素材でできてるのかな?
ジョセフは身軽な身のこなしで斥候や罠などを担当しているらしいが、それ以外にもいくつかの武器を扱うとかで剣を持ち、色々な場所に暗器を忍ばせているらしい。こちらも同様に軽そうな防具だ。
ステラは1人ローブに身を包み、魔法と弓を扱うらしい。まさに魔法使いって感じ。弓は魔法が効かない相手や魔力が底を尽きた時に使うらしくローブも特注で弓が引きやすく工夫されてるらしい。へー。
このパーティに回復役はいないらしく、ポーションの減りが早いことが悩みなんだって……
「おはようございます」
「「「「おはよう」」」」
カーラはギルドのコネや自身の人脈を最大限利用したらしい。食料などもかなり融通してきたようだ。マジックバックも容量の大きなものをギルドから借りてきたという気合いの入れよう。
4頭引きの馬車も速い馬をコネでねじ込みダンジョンまで2日弱かかる所が、1日かからないくらいまでになったらしい。やはりルカやジョセフもギルドで新人指導をしているらしいので、そういう面では融通がきいたみたい。まあ事情を考えれば一刻も早くという気持ちもわかるし。
馬車は御者はおらず、パーティメンバーが交代で行うという。
「わたし御者なんてしたことないんですけど……」
「私たちでやるので大丈夫よ、ただでさえ無理言ってダンジョンに行ってもらうのに」
すこし引け目を感じながら
「他にできることがあれば言ってね。できる限り頑張るので」
「ええ、そうするわ」
馬車に乗りこみダンジョンへ向かうーー
「いやー、まさかあの門番さんがルカのお兄さんだったとは驚きましたよ」
「あー、俺は母親似で兄貴は父親似なんだよ」
「私たちは小さい頃からずっと知ってるから慣れたものだけど、あんなにビビらないエナもすごいよね」
「うん」
ルカ、カーラ、ステラが揃って頷く。あ、ジョセフは御者をやってるよ。
「えー、そうかなぁ……顔は強面だけど親切な門番さんだと思ってたよ」
「自分の兄に言うのもなんだが、そこの境地にいたるのは普通時間がかかるんだ」
「そうそう、ミーナだって一瞬ビクッとするもんね」
「へー、あの対人スキルの高いミーナちゃんですらそうなんだ……」
「母さんなんか兄貴に嫁の貰い手がないって嘆いてるよ」
「え、でもパン屋のミリアさんが頑張ってアタックしてるじゃないですか?」
「「「えっ」」」
「ちょっ、エナそれ詳しく」
あれ、なぜみんな知らないんだろ?それより圧がすごいんですけど……なんだろう、ただでさえ狭い馬車が余計狭くなった気がする。
「えー、パン屋の常連の間では有名な話なんだけど」
……かくかくしかじか……
「「「おおー」」」
「まじかよ……」
「知らなかった……」
「ルイスさん、罪な男になってた?」
うん、ステラ……それはちょっと意味が変わってこないかな?
どうもみんな他のパン屋さんを使っているとかで知らないみたい。そっか……他にも美味しいパン屋さんあるのか……てことは黄金の羊亭で出るパンもあるってことか……今度行ってみよう。
「そっか……帰ったら兄貴を焚きつけてみるよ」
「「わたしも」」
「あー、はい」
出発してから体感2時間くらいかな?そろそろお尻が限界かも……
「そろそろ休憩しようか」
「そうね、ジョセフいつものとこで止めて」
「わかった」
「あまり長くは休めないけど……」
「いえ、身体伸ばせるだけでもありがたいです」
馬車の振動がすごかったんだよ。瞬間移動したいと思うほど馬車キツかった。主におしりと腰が……ね。
1人ならまだしも、ダンジョンの場所もわからないし、この人数は無理……無念。
少し早めのお昼休憩ではそこらへんを心眼しつつ見まわりポーションの薬草の群生地を発見し採取。
うん、カーラやステラが周囲の警戒をしてくれてたらしい……何も考えてなかったごめん。
せっかくなので簡単なスープでもご馳走しようと料理の披露したら、生暖かい目でみられましたがなんで?これでも美味しくできた方よ?
でもね、カーラが両親に頼み美味しいものをたくさんマジックバックに持ってきてくれていたんだよ。うん、これには負けるよ……
「よかったらどうぞ……冷えても美味しいはずだから」
「わー、いいの?いただきます」
うん、冷えても美味しい……でも《加熱》であっためて食べたらもっと美味しそう……もぐもぐ。うまー
「な、なぁ?エナ?それは……(じゅるり)」
「それって、ほかほか?(じゅるり)」
……ジー……
物珍しかった様子、羨ましそうな視線が……
「みんなはこうやって食べないの?」
「あー、俺はあんまり魔力が多くないから……」
どうやらステラがいちばん魔力が多いらしいが、それでも節約しているみたい……へー
それに加えてそういう発想がなかったらしい。そんなに羨ましそうに見つめないでよ……
「あっためます?」
「「お願いっ」」「「頼むっ」」
わかりましたよ魔力節約の必要がない私がやればいいんでしょう。これで御者の件はチャラってことで。
ちなみにその後食事のたびにやらされた。
だって目の前で湯気が上がってるの見たら我慢できなかったそうです。
「じゃあ、そろそろ出発しよう……昼過ぎには向こうに着きたいし」
「そうだな、ジョセフ……御者は俺がやるから休んでろ」
「ああ、すまんな」
「ジョセフ、あまり寝てないでしょ?膝枕しようか?」
「……ステラ……すごく心惹かれるがやめておく」
「そう、ざんねん」
ジョセフは馬車の隅で仮眠をとるようだ……なんかこの2人いい雰囲気なのか?ステラが読めないからわからないな……
「カーラ、あれって……」
「うーん。いつもあんな感じなのよね……ステラも積極的なのかどうなのかよくわからないし」
「へー……じゃあスルーしときますね」
「うん、ジョセフはわたしのだから狙っちゃダメ」
「うぉっ、びっくりした」
あれ、そんな大きな声で言ったらジョセフが……あれ?
「へいきだよ、ジョセフは1回寝たらなかなか起きない。もちろん警戒しなくていいときだけ」
「へー……あ、安心してください狙わないので」
「もちろん、ルカもダメだからねー?」
「カーラ……わかってますから」
お尻や腰は痛いけどその分、少しだけ2人との距離が縮まった気がする……うん、その大半が惚気だったけどね。
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