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第3章
36.女神見習い、中堅冒険者になる(2)
翌日ーー
久々のミーナちゃんや美味しい食事に癒されリフレッシュできた。そして、小屋よりもベッドが心地よい……
「どうしようかな……とりあえず持っていくか」
試しに背負い袋にストレージから出したポーションを詰めてみる……うーん、ガチャガチャ音が鳴ってるし、すぐに割れそう……さすがに無理があるかな。
マルガスさんはきっとこのショルダーバッグがマジックバッグ(小)だと鑑定して知ってるだろうからここに入りそうな分だけ持っていこうかな……
朝食を済ませ、ミーナちゃんに挨拶をしてから冒険者ギルドへーー
マルガスさんの姿が見えないので……しばらく掲示板でも見て待ってよう。
ヒュージアントの素材とか依頼にあればいいのに……無いな。やっぱ、人気ないのかな……何に使うかわかんないし。
おっ、マルガスさん戻ってきた!早速受付へ行き……
「おはようございます、マルガスさん……ポーションですが」
「お、なんだ?」
「今までより多めに持ってきたんですけど……」
「そうか……ついてこい」
このパターン何回目なんだか……今では慣れた様子で部屋へ行き、ちゃっかりお茶まで勝手に飲めるほどですが……何か?
「で、どれだけ持ってきたんだ?」
「あ、その前に……マルガスさんこれは何でしょうかっ?」
ショルダーバッグをマルガスさんの前に掲げる。
「うん? そりゃあ、マジックバッグだわな」
「……やっぱり、知ってたんですね?」
「おお、悪りぃ……気になったら鑑定する癖がついちまってな」
「まぁ、いいです。それでですね……ポーションをたくさん作ったものの、持ち運びに困ってこれに入れてきたんです。もちろんマルガスさんならマジッグのことを内密にしてくれますよね?」
「そうか……そりゃ、勝手にペラペラ喋ってちゃギルドの受付なんてつとまらないからな……つってもマジックバッグ(小)じゃポーション数十本が限界だろ」
マジックバッグのことも釘を刺したし大丈夫だよね……うん、マルガスさんを信じる。
「……ええ、まぁ。持ち運ぶときに割れないだけマシかと」
「そうだな」
ふふっ、ここで重要な情報をゲットした!
マジックバッグ(小)は数十本が限界……ってことはそこから出しても怪しまれない数が数十本てことだよね?
「えーっと、ハイポーションとマナポーションの初級が15本ずつと中級が5本ずつあるんですけど……」
「そうだな……それだけあるなら職人不明で売り出すかな」
おおっ、この数はセーフってことだね? メモメモ……
早速マジックバッグから出しているように見せつつ、ストレージから品質:良のポーションを取り出して机の上に置いていく。
「エナ……鑑定にしばらくかかるから茶でも……ってもう飲んでたな」
「すいません、もう頂いてます。あ、そうだ……以前サブマスさんから渡された紙に書いてあった素材も持って来ましたけど……」
「はぁ、なんでお前はそんな簡単に持ってこれるんだよ……先にポーション鑑定するから待っとけ」
「はーい」
しばらく大人しく待ち、さらに勝手にお代わりした2杯目のお茶を飲んでいると……
「うむ。全て問題ないな……」
「ありがとうございます」
「初級1本につき銅貨4枚で、中級1本につき銅貨7枚だ。初級ポーションが30本と中級ポーションが10本、計40本……全部で銀貨1枚と小銀貨9枚の買い取りになるがいいか」
「はい、大丈夫です」
ちなみにマルガスさんはギルド職員特権で優先的に購入できるらしい……ちょっと心配してたけどそれなら良かった。
「さて、サブマスの紙って言ったな?ちょっと見せてくれ」
「はい」
サブマスリストをマルガスさんに手渡す。
「おいおい、まじかよ……いくらなんでも……」
ん? そんなに採取しにくいものばかりなの、これ?
「まぁ、いい……で、どれを持ってきたんだ?」
「えーっと……アジュラムの花の蜜です」
比較的採取が簡単だってサブマスリストにあったから……
「まぁ、確かに他に比べりゃ比較的容易か……はぁ」
ポーションの瓶に詰めた蜜を取り出し、机に置く。
「これがアジュラムの花の蜜です」
……あれ、おかしいな? マルガスさんの眉間のシワが深くなった気がするんだけど。
「はぁ……つーか、これ量多すぎだろ? ポーションに1本作るのに必要な量、小さじ半分程度だぞ?」
「えー、それは知らなかったです……」
こんなことなら調合セットの上級レシピをちゃんとチェックしとけばよかった。
「まぁいい、これはサブマスに確認してからだな……ちょっと呼んでくるわ」
「はい」
マルガスさんが出て行こうとしたらバーンと扉が開いた……あとちょっと遅かったらマルガスさんの顔面に直撃するところだったよ……
「エナくんが来てるって聞いたんだけど……」
「サブマス……マジでその扉の開け方やめてくれ……」
「お、いたいた! で、今日は何持ってきたの?」
持ってくること前提なんですね……
「えーと……アジュラムの花の蜜を持ってきました」
「おお、早いねー」
「サブマス……鑑定はもう済ませた。あのひと瓶丸々蜜だった。これだけありゃ、銀貨3枚かな……」
「そうか、さすがだね。やっぱり早くランクあげてほしいよなぁ」
「なんか強い魔物とか討伐してくれてりゃすぐだけどな……」
「そうですよねー。わたし魔物と対峙したのなんて数回しかないですし……最近だとヒュージアントくらいですかねー」
サブマスさんは満面の笑み、マルガスさんは渋面で対照的な反応だった。
「えっ、ほんとにー?じゃあちょっとギルマス説得してくるからマルガス確認しといてね」
「お前、またかよ……」
「えーなんですかー」
ヒュージアントってそんなに強い魔物なのかな……サブマスさん意気揚々と出て行ったけど大丈夫かな……ギルマスさん。
「まぁいい。ギルドカード見せてみろ」
「はい、どうぞ」
マルガスさんは何やらギルドカードを奥の棚から持ってきた魔道具に通し確認している。
「うむ。確かに討伐記録があるな……素材もあるのか」
「ええ、ありますけど……なんかよくわからないものばっかりで……」
なんか盾になりそうな硬い胴体部分とギザギザした大きな牙、触覚、羽、足(複数)、ヒュージアントの魔核を今度は背負い袋から出しているように見せて机の上に置く……あと少しでも胴体部分が大きかったらバレてた自信があるね。
「はぁ……いいか、ヒュージアントはCランク以上推奨の魔物だ。決してエナのようなEランクの冒険者が簡単に倒せる魔物じゃない」
「へー」
「全部売るのか?」
「うーん……魔核は何かに使えそうなのでそれ以外ですかね」
足とか触覚とかちょっと気持ち悪いし……
「はーい、ただいまー! ギルマスから許可もぎ取ってきたよー」
「だそうだ……」
「エナくん、おめでとー! 今から君はDランクだよー」
「えっ……」
そんな簡単に昇格していいのかな?
「あー、実はなDランクに上がるには1回でも魔物を討伐してないと、いくら評価が良くても依頼を受けていてもダメなんだわ……で、さっき確認したら随分前にワームも討伐してんじゃねーかっ。そういうことは早く言ってくれよ……」
「へぇ……あー、ワームは討伐というより事故?だったので……素材もわからなかったので魔核以外埋めましたけど」
「まじかよ……もったいねぇ」
「だってあのねちょねちょしたの持って歩きたくなかったんですもん」
「……そーかよ」
「うん、じゃあ僕はもう行くねー……ギルマスに仕事押し付けられちゃったからさ……あっ、マルガス説明と精算よろしく。エナくんあの紙の素材また期待してるねー」
「はぁ」
嵐のようにきて嵐のように去っていった……ちなみに最後まで扉バーンは変わらなかった……
「じゃ、昇格したから説明な……まずはおめでとう」
「ありがとうございます」
さっきの魔道具にまたギルドカードを通して何やら操作している。
「これからは少しずつ難しい依頼や、失敗するとペナルティが付くものあるから十分気を付けて依頼を受けるように……まぁ、お前にいっても無駄な気はするが。以上」
「分かりました……注意事項短いですね」
「ん? こんなもんだろ?」
「はあ」
冒険者はDランクからがようやく1人前って聞いてたしそういうことなんだろう。
返されたギルドカードの隅には〔D〕と透かしが入っていた。おおー。
「あとは……精算か……」
「はい!」
全て合わせて銀貨6枚になった……うん、なんかこのままいけばお金持ちになれそうだわ……
「あ、ポーションは今まで通り俺かサブマス……いや、カーラも巻き込むか……よし、カーラにも話を通しておくから、俺かカーラに持ってきてくれ」
あーあ、カーラさん巻き込まれちゃったよ……そしてサブマスさんは除外……うん、カーラさんの方が安心できるかも。
「わかりました」
「ポーションはたくさん量が作れるなら、頻繁に持ってきてくれると助かる」
「うーん……わかりました」
まだたくさんストレージに残ってるから近いうちに売りに来ようかな……やっぱ誤魔化すために荷車とか買うべき?
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