48 / 120
第4章
48.女神見習い、服を買う(2)
しおりを挟む屋台でスープや果物を買い、近くの雑貨屋でリディ用のコップやブランのお皿など必要そうなものを諸々購入した。
パンを買って、看板娘さんと強面お兄さんの進展具合をニマニマしながら聞き、黄金の羊亭へ戻る。
「あっ、エナお姉ちゃんおかえりー」
「ミーナちゃん」
「お父さんがもうお持ち帰り出来てるって言ってるよー」
「そっか、ありがとう」
テーブルに置かれたお持ち帰りを受け取りミーナちゃんに支払う。
「また来てねー! ばいばーい」
「うん、またね」
笑顔で手を振るミーナちゃんに後ろ髪を引かれるけど……家で待ってるリディの元へ早足に戻る。
「ただいまー」
家の扉を開けると……
うおっ……びっくりしたー。リディが扉の真ん前で膝を抱えて待っていた。
「……おかえり」
「ただいま……いつから待ってたの?」
「……ん、さっき」
いや、リディさん……後ろのブランが違うって言ってませんか?
「……ほんとはちょっと前から」
ちょっと前でもなさそうだけど、まぁいい。
「そっか……待たせてごめんね? 何もなかった?」
「……ん、大丈夫」
とりあえず中に入り……あったかいお茶でも飲もう……雑貨屋さんで買ってみたんだよね。
あ、ちなみにお湯はアルさんの造り付けの台所の魔道具? から出てくるよ。
不思議だよね……お茶は失敗せず入れられるんだから……料理と何が違うのさ(全然違う)
「はい、これリディのコップね……ブランにはこのお皿ね」
「……ありがと」
お茶を飲みつつ……んー、ギルドの方が美味しいな。
ひと息ついたところで
「今日はリディの服も買ってきたから。サイズは合うと思うんだけどちょっと着てみてくれる?」
「……ん」
ストンとしたライトブルーのワンピースと寝巻き、生成りの上着とこげ茶の7分丈のパンツはちょうどいいみたい。
黄色のワンピースは胸の下で切り替えがありスカートふんわり膨らんでいる物で可愛らしい。ほんの少しサイズが大きかったけどすぐに成長するから大丈夫。
おお、何を着ても似合う……美少女ですね……
「おー、リディ似合ってるね」
「……こんなにたくさん?」
「え、これでも厳選した方なんだけど……」
「だってエナより多いよ?」
あー、そういえばそうかな? いや、リディの前で着てないだけで女神の服とかもあるし……
「うーん……じゃあ、いつかリディが選んでくれると嬉しいな」
「……ん、いつか……」
おっ、選んでくれるって……そうなれば街に行かなくちゃいけないから嫌だって言われるかと思ったけど……嬉しいな。
「あ、そうだ」
んー、髪は触ったら嫌がりそうだから……
「リディ、手を出してくれるかな」
「……ん」
リディの右手首に奥さんにおまけしてもらった紐と幸運リボンをまとめて結ぶ。
「この紐は今日、服を買ったお店でおまけとしてもらったやつなの。ほら私とお揃い。で、こっちのは私のお下がりで悪いけど運の値がほんの少し上がるリボンなんだよ」
「……お揃い」
なんか嬉しそうかな? そうだといいな……
外套は元々少し大きめを買ったので問題なかった……フードもついてるし。
ブーツもブランの言うとおりのサイズを買ったのでピッタリだ。これで穴の開いた靴を履かずに済む……今まで気になってはいたんだけどなかなか、ね。
「そうそう……リディって帝国から来たんだよね?」
「……ん」
ブラン、そんなに警戒しなくても平気だから。
「あのね、この森や家は帝国にあるんじゃなくてリタール王国っていう帝国の隣の国にあるの」
「……帝国じゃ、ない?」
「うん。今日ギルドで聞いてきたんだけど……この国では髪や瞳の色で差別しないそうだよ……黒髪は少ないけどこの国にもいるらしいし、似たような色の人もいるんだって……」
あ、やばい……リディから瘴気が出そう……
「でもね、それでもリディが気になるなら瞳の色変えてみない?」
「……変える?」
あ、元に戻った。よかった。
「うん、変容のネックレスっていう魔道具があってね……魔力を注ぐことによって瞳の色を自由に変えられるの……魔力は私が込めるから問題ないよ」
「……変えたい」
今日、カーラさんの話を聞いてから考えたんだよ……それで変容のネックレスの存在を思い出したんだけど……それまですっかり忘れてマジックバッグの肥やしになってたよ。
街を移動する間しか使ってなかったからね……
マジックバッグから変容のネックレスを取り出し……
「瞳の色は何色がいい?」
リディはしばらく考えた後
「……ん、これと同じ色」
自身の指輪に付いている石と同じうす紫を選んだ。ブランがものすごい喜んでるけどなんでだろ……ま、いっか。
「わかった……じゃあこれかけてね」
「……ん」
リディがネックレスを付けたら、瞳がうす紫になるように魔力を込めていく……
「よし、これでいいはず……うん、リディの瞳がうす紫になってる」
「……ほんと?」
信じられないようなのでマジックバッグから手鏡を出してリディに渡す。
「ほら、変わってるでしょ?」
「……ほんとだ」
「まあ、毎朝魔力を込めないといけないけど……」
「……エナ、ありがと」
黄色のワンピースの上に、外套を着せフードをかぶせる。
「ほら髪は外套のフードで隠せば、どこにでもいる普通の子だよ」
「……街を歩いても目立たない?」
「ブランが外套の中に隠れてくれれば……」
「……ブランが?」
「あのね、街なかでは魔物はギルドで従魔登録していないといけないんだって……だから不用意にブランが外套の外に出ると危ないの」
冒険者に討伐されちゃうかもしれないから……
ブランはちょっと不満そう……でもリディの為ならそれ受け入れるだろうな。
あ、でも美少女だと目立つのか? ……フードを深くかぶれは平気だよね?
「……従魔登録したら、ブランも好きに飛び回れるの?」
「うん……でもそれにはリディが冒険者ギルドに行って登録しないといけないから……」
すごい、葛藤してるみたい……ブランはリディが心配みたいで周囲を飛び回ってる。
「リディ、焦らなくていいんだよ」
「……ん」
リディが街へ行くのもそう遠くない……はず。
瘴気が心配なら、透明にするのは魔力消費がやばいけどリディの周りに結界を張ってもいいし……
「さて、おなかも空いてきたし……ご飯にしようか」
「……エナが作るの?」
うっ、ダメージが……
リディ、安心して……買ってきたやつだから、ぐすん。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
神託が下りまして、今日から神の愛し子です! 最強チート承りました。では、我慢はいたしません!
しののめ あき
ファンタジー
旧題:最強チート承りました。では、我慢はいたしません!
神託が下りまして、今日から神の愛し子です!〜最強チート承りました!では、我慢はいたしません!〜
と、いうタイトルで12月8日にアルファポリス様より書籍発売されます!
3万字程の加筆と修正をさせて頂いております。
ぜひ、読んで頂ければ嬉しいです!
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
非常に申し訳ない…
と、言ったのは、立派な白髭の仙人みたいな人だろうか?
色々手違いがあって…
と、目を逸らしたのは、そちらのピンク色の髪の女の人だっけ?
代わりにといってはなんだけど…
と、眉を下げながら申し訳なさそうな顔をしたのは、手前の黒髪イケメン?
私の周りをぐるっと8人に囲まれて、謝罪を受けている事は分かった。
なんの謝罪だっけ?
そして、最後に言われた言葉
どうか、幸せになって(くれ)
んん?
弩級最強チート公爵令嬢が爆誕致します。
※同タイトルの掲載不可との事で、1.2.番外編をまとめる作業をします
完了後、更新開始致しますのでよろしくお願いします
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
狼になっちゃった!
家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで?
色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!?
……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう?
これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる