59 / 120
第5章
59.女神見習い、ギルド公認になる(4)
しおりを挟む「えーと、年会費は受け取ったし、口座も既に開設済み、紹介状もある……」
メリンダさんは真剣に確認している。
「はい。大丈夫そうですね。では、商業ギルドについて説明していきますね」
「はい」
「まず、ギルドカードについてですが……先程お預かりしたカードのこの部分に商業ギルドのマークがついたことでどちらのギルドでも使用可能になりました」
おぉー。確かにさっきまでなかったマークがある。
「これにより商業ギルドでも口座を使用できます」
「はい」
「商業ギルドの年会費は金貨1枚とかなり高額ですが、その分ギルド会員は手数料無料で素材の収集依頼を出すことも可能になったり特許などの申請も通常はかかる手数料が無料で申請することができます。そして融資の相談なども受け付けています……かなり審査はシビアですけど」
「へえー……」
ちなみに申請だけで手数料が銀貨1枚かかるらしい……申請が通らなくても返ってこないとのこと。
特許の申請が10個以上通れば年会費の元が取れるってことか……まぁ、ギルド会員はタダみたいだし、ダメ元で出すのもありかな?
「既にエナさんはロウトの特許を共同で取得しているようなので既にご承知でしょうが、特許の申請は同じようなものが既に無いかなど細かな審査がありますが、あまり使えそうになくても誰かに真似される前に登録するということが多いですね」
ロウトの特許を共同で取得してるって今、初めて知ったんですけど。きっとサブサスの仕業だな……はあ。
「そして、商業ギルドのランクは☆で表示され、だいたい☆~☆☆☆☆☆の間でランクが分けられ星の数が多いほど上位ランクとなります」
つまりは星が多いほど冒険者ギルドでいう上位ランカーってことだね……
「あー、さっきの人も星4つがどうのこうのって言ってました……そういう意味なんですね」
いつのまにかいなくなったぽっちゃりおじさん……意外とランク上の人だったんだな。
するとメリンダさんは苦虫を噛み潰したように顔をしかめて
「ああいう輩は大体、親のランクを受け継いだお坊っちゃんが多いんです……星をかさにきて数年後にはランクが下がって惨めな思いをするんですよね」
「そうですか」
冒険者ギルドは実力がなくちゃ上位ランカーになれないけど、商業ギルドは一概にそうだとは言えないんだね。
「ランク分けとしては評価や評判はもちろんのこと規模や事業内容により変化しますし、星1つより下はなくそれ以下と判断されれば商業ギルドの会員登録が解除されることも多々あります。その際は年会費は返却いたしませんのでご了承ください。ですが、ランクが上がれば年会費も安くなることもございます……年会費は保証金の役割も担っておりまして、何か問題が起きた時にそこから補填することができるような仕組みとなります」
「星の多い人は信用も厚いから安くなることもあるということですね」
「はい。ですが、ランクが高いからといってすべての人が対象になるわけではなく、ギルドで評判や業績をチェックし条件をクリアした人のみとなります」
「へえ……」
つまり、親の七光りはダメってことですね……分かります。
「エナさんは現在星1つですが、商業ギルドに時々公認ポーションを卸していただければランクが下がるなどの問題は特に起きないと思います」
「……ポーションを卸すだけで、評価になるんですか?」
メリンダさんは少し乗り出し気味に……
「はい! もちろんです。うちには冒険者ギルドとは違うルートがありますし、薬草なども依頼していただければ手配できることもありますので……」
是非、売ってくれと顔に書いてありますね……
「へえ、そうなんですね……じゃあ、時々売りに来ることにします」
「お願いします。あとは施設についてですが……商談スペースなどは受付で使用時間を伝えお金を払えば借りることもできますし、ギルド内であれば契約などに職員が証人として立ち会うことも可能です。その他の依頼などもこちらの受付で行えますのでお気軽にどうぞ」
「ありがとうございます」
どうも、この街では商業ギルドで依頼した場合、至急をのぞいて1日に2度冒険者ギルドへ依頼をまとめて持って行ってくれるらしい……他の街では冒険者ギルドと商業ギルドの仲によるみたい。
つまり、しっかり連携が取れているから出来ることなんだとか……例えば商業ギルドで護衛依頼を受け付けた場合、次の日には冒険者ギルドの掲示板に張り出されるんだって。といっても商業ギルドで依頼できるのは護衛募集、素材採取など……さすがに至急の場合は自分で直接冒険者ギルドへ行かなきゃいけないみたいだけどね。
「ほかに何か気になることはございますか?」
そうだ……一応薬包のこと聞いてみようかな。
「ちなみに、ポーションを粉状にしたものって特許ありますか?」
「少々、お待ちください」
メリンダさんが調べている間、少し冷えてしまったお茶をいただく……あ、これ冒険者ギルドと同じやつだ。うまー。
「お待たせいたしました。現在、そのような特許は申請されていませんね。ポーションは一般的に出回っているレシピのものは特許から除外されますが……自身が素材などを工夫して新たに作り出し、効果のあるものは特許申請ができます」
「そうですか……じゃあダメ元で申請してもいいですか?」
「はい……こちらが申請用紙となります」
メリンダさんに渡された紙には特許名や作り方など細かく書き込む欄があった。
ふむ、まずは特許名か……〈ポーションパウダー〉でいっか。
次は作り方ねぇ……
-----
~ポーションパウダーの作り方~
1.ポーションを作るときと同じように材料を鍋に入れ煮込んでいく。
2.色が変化してきたら火からおろして調合を使う。
3.さらに焦げないよう慎重に煮詰めていき水分がなくなったら日に当てずに乾燥させ、すりつぶして粉にする。
4.出来上がった粉を紙で包み薬包が完成。
-----
ま、こんなもんかな……もちろん女神の浄化とか加護は飛ばしたけど、粉にする方法は同じだから大丈夫。
あとは製法を売るか、売上の1部をもらうかだけど……パウダーにする方法を売ることにした。その方が面倒くさくなさそうだったから……
「エナさん、製法を売るならばその際の相手方との契約は法と契約の神の加護を受けた契約書を使用することをお勧めします」
「法と契約の神の加護を受けた契約書って何ですか?」
そういえばサブマスも神に誓う契約書とかなんとか言ってたような気が……
「はい、契約にその用紙を使用すると法と契約の神に誓ったことになります。破った場合、違約金を払うか、違約金の支払いを拒否すると罰が下ります」
罰は文字通りの天誅らしい……命は取られないけど結構すごいとか。その為、ほとんどの場合違約金で済ますらしい。
「へえ、じゃあそうします」
「製法はいくらで売りますか?」
「うーん……」
「そのうち、皆さん試行錯誤して自分の製法を生み出すでしょうから稼げるうちにふっかけるつもりでいいと思いますが……」
結局、メリンダさんのアドバイスもあり銀貨3枚で製法を売り、契約書には他人に製法を漏らさないことが明記されるようにした。
うん、そんな高いと売れないと思うけど……そもそも需要があるかわからないし、まあいいや。ダメ元だし……
メリンダさんが備考欄に書き込んでいく。これで特許使用の際の契約書が法と契約の神の用紙を使うことを義務付けられたらしい。ただ、その用紙は高いので製法を売った時の1割がギルドに入ることになった。
つまり、ポーションパウダーの製法が1回売れるごとに、わたしに銀貨2枚と小銀貨7枚入るってことだね。
「こちらの特許料はすべて口座に入金するということでよろしいでしょうか?」
「はい、お願いします」
そわそわ……
「あの……このお茶はどこで買えるんでしょうか?」
「これですか……実はこれ、わたしの私物なんです。王都にいる妹が送ってくれたものなんですけど、いつのまにか主人がどこかに持って行くのでとられないよう職場に置いてるんです……」
あ、その行方知ってます……
「へ、へえ……美味しかったので気になってしまいました」
「そうですよね。今、王都で人気のお茶なんだそうです。商業ギルドで掛け合って、もうすぐ少量ですが仕入れられるようになりそうなんです」
うわー、それ欲しいなぁ……でも高いんだろなぁ。
「エナさん、ここはひとつご提案なんですが……公認ポーションを月に1度10本程度こちらのギルドで売っていただけたらこのお茶を格安でお売りしますけど」
「ぜひ、お願いしますっ」
メリンダさんにまんまとはめられた気もするけど……月にポーション10本でいいなら安いものだよ。いやー、楽しみだなぁ。
こうして1日にしてエナの存在が商業ギルドで有名になった。それが良い意味かは別として。
ちなみに後日バッタリぽっちゃりおじさんに会ったらぷるぷるしてた。どうも、サブマスに何かしらのトラウマがあるらしい……うん、スルーしとくね。
◆ ◆ ◆
【ステータス】
種族:女神(見習い)/人族
氏名:エナ・ハヅキ
状態:通常
体力:320/350
魔力:51600/55300
運:75
冒険者ランク:C
商業ランク:☆
スキル
・火属性魔法レベル2
・水属性魔法レベル3
・風属性魔法レベル3
・地属性魔法レベル3
・光属性魔法レベル3
・回復魔法レベル3
・状態異常無効レベル4
・接触防衛レベル2
・火属性耐性レベル2
・水属性耐性レベル2
・風属性耐性レベル2
・地属性耐性レベル2
・光属性耐性レベル2
・闇属性耐性レベル2
・体力自動回復(中)
・魔力自動回復(大)
・成長経験値上昇(大)
・精霊魔法 レベル2
・瞬間移動 レベル2
・料理レベル2
・栽培レベル3
・解体レベル1
・修繕レベル3
・世界地図レベル3
特殊スキル
・女神の祝福レベル3
・女神の浄化レベル2
・女神の調合レベル2
・女神の心眼レベル3
・女神の聖域レベル3
・言語翻訳
・感謝ポイント〈25263ポイント〉累計〈28293ポイント〉
ー称号ー
巻き込まれし者・当選者・女神見習い・中堅冒険者・ギルド公認ポーション職人
ー加護ー
慈悲の女神フィラの加護・慈悲の女神の部下コルドの憐憫・大地神アルネルディの加護・愛の女神メルディーナの加護
その他機能【交信】【履歴】
◆ ◆ ◆
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
神託が下りまして、今日から神の愛し子です! 最強チート承りました。では、我慢はいたしません!
しののめ あき
ファンタジー
旧題:最強チート承りました。では、我慢はいたしません!
神託が下りまして、今日から神の愛し子です!〜最強チート承りました!では、我慢はいたしません!〜
と、いうタイトルで12月8日にアルファポリス様より書籍発売されます!
3万字程の加筆と修正をさせて頂いております。
ぜひ、読んで頂ければ嬉しいです!
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
非常に申し訳ない…
と、言ったのは、立派な白髭の仙人みたいな人だろうか?
色々手違いがあって…
と、目を逸らしたのは、そちらのピンク色の髪の女の人だっけ?
代わりにといってはなんだけど…
と、眉を下げながら申し訳なさそうな顔をしたのは、手前の黒髪イケメン?
私の周りをぐるっと8人に囲まれて、謝罪を受けている事は分かった。
なんの謝罪だっけ?
そして、最後に言われた言葉
どうか、幸せになって(くれ)
んん?
弩級最強チート公爵令嬢が爆誕致します。
※同タイトルの掲載不可との事で、1.2.番外編をまとめる作業をします
完了後、更新開始致しますのでよろしくお願いします
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
狼になっちゃった!
家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで?
色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!?
……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう?
これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる