57 / 120
第5章
57.女神見習い、ギルド公認になる(2)
しおりを挟む「んー……他の人と同じマークは登録できないんですよね?」
「まぁ、そうだな」
マークは当初はただの葉っぱにしようと思ったら既に登録済みで、次は羽にしようと思ったらそれも登録済み。
聞いたところ鷹とかフクロウ、馬などほとんどの動物は既に登録済みであまりに似た模様も却下されるらしい。
一瞬、キラーバードも思い浮かんだけどやっぱりそれも登録済みだったよね……
やっぱみんな思うことは一緒なんだな……
「全然思いつかないんですけど……」
「やっぱり、僕の描いた似顔絵にするかい?」
いや、それは避けたい……うーん……
さんざん悩んだ挙句、四つ葉のクローバーに名前を入れた物にした。渡された紙に配置などを少しずつ変えたものを何度か書いてしっくりきたものを2人に見せる。
「へぇ、こんなモチーフはじめて見たな。これなら大丈夫だろ」
「うーん、まあ仕方ないからこれでいいんじゃない」
「無事に決まって良かったです」
「じゃあ、これがエナの魔道具な?今このマークを登録したからあとはエナの本人登録だな」
「はい」
「その魔道具が光るまで持っててくれ……光ったら登録が完了だから」
「わかりました」
私が支給された魔道具は大きな石のついた手のひらほどの杖だった……なんか魔法使いっぽいやつ。
しばらく持っていると石の部分がピカーッと光った。
「よし、これでエナ専用の魔道具になったぞ」
「へえー」
使い方は簡単で魔道具で瓶に触れて撫でるとマークが浮かび上がるというものだった。その度にほんのわずか自身の魔力を消費しているらしい……1度瓶を開封するとマークは消えて無くなるとのこと。
ちなみに何を扱う職人かによって支給される魔道具は様々だとか。
それ以外にも時には工房や道具を支給されることもあるらしい。
「あとはねー……商業ギルドにも同時にマークを登録しておくと特許的な扱いになるから、のちにこのモチーフがその人の作った正式なものの証明として利用できるよ。それを勝手にまねて使用した場合処罰もあり得る。ただし、そのマークの使用料を払えば他の人が使うことができる。その場合はたいてい神に誓う契約書で契約を交わして悪いことはできない仕組みかな」
「へえー」
「つまり、できれば早めに商業ギルドに登録しろってことだな。ほら、紹介状だ。これがあればなんとかなるだろ」
えー、これ登録しないっていう選択肢がなくなったんですけど……まぁ、いいや。
「そうだ、念のためお願いしておきます。目立ちたくないのでこれ以上はランク上げないでくださいね」
「お前の行動次第だと思うぞ……まぁ、公認ならほぼBランクと同等の扱いだしな」
「えっ……聞いてないですよ」
「あれ、エナくんに言ってなかったかな? 公認は指名依頼扱いだからほぼBランクなんだよ」
「だから、時にはギルドから指名依頼をされることもある……もちろん拒否権はない。ま、よっぽどの理由以外で拒否したら降格もあり得るな」
うん、マルガスさんの言葉は聞かなかったことにする。
「まあまあ、エナくんならなんとかなるって」
「……はぁ」
「それと、エナくんには荷車と木箱を進呈しよう。ポーションを運ぶのが楽になるはずだよ……必要ないかもしれないけどね」
「あー、それはありがたいです」
「うん、だから毎回木箱にいっぱい詰めたポーションを持ってきてね……荷車は使うも使わないのもエナくん次第だけど」
それって……木箱いっぱいの荷車が一定量納品とかいうんじゃないですよね……
「エナ、安心しろ。流石に毎日とは言わねぇよ」
「うん、そうだね。その辺もしっかり話し合わないといけないね」
「そうですね」
頼みますよ、マルガスさんっ。
話し合った結果、10日に1度荷車がいっぱいになる量のポーションを持ち込むということになった。もちろん、それ以外に持ち込んでも大歓迎だって。これでもかなり譲歩した方らしい……ギルド的には5日に1度くらいが望ましいとか。
どこから荷車を引っ張っていこう……やっぱ、街に入ってからどこかで出すしかないよね……だっていちいち門でチェックされるのは大変だし。
街中で部屋でも借りるしかないかな……はぁ。
「あとは……口座についてか」
「口座ですか?」
「うん、僕が開設しておいたやつだねー」
え、なんのこと?
「エナ、お前ギルドカード確認したことあるか」
「ギルドでですよね? ないです」
「ほら、これにカード置いてみろ」
言われた通りプレートに先程返してもらったギルドカード置くと
-----
氏名:エナ
種族:人族
【ギルド公認ポーション職人】
冒険者ランク:C
口座:金貨3枚、銀貨6枚
討伐履歴:ワーム、ヒュージアント……
-----
などなど……
「なんか口座にお金入ってるんですけどっ」
「そう、それロウトの特許料ね」
「何ですか、それ……」
「そりゃあ、エナの言ってたロウトを商品化したんだよ。ちなみにエナへの特許料は売り上げの2割でロウトを製作するのは公認瓶職人のドネル、販売は冒険者ギルドのみで独占市場……かなり儲からせてもらったぞ。今は他の街でも売り出してるしな」
「あ、ちなみにこの口座はどこのギルドでもギルドカードがあれば受付で出し入れできるから安心してね」
「口座なんてあったんですね……知りませんでしたよ」
口座はギルド公認や上位ランカーなど大金を持つ可能性のある人、もしくは自身で申請し、ギルドの評価が一定以上あり借金などがなければ開くことができるんだって。
伝説の魔道具師、カーティス・マールが最後の大仕事として仕上げたこの仕組みは弟子たちのメンテナンスによって保たれているらしい。
自動的に口座が開かれるわけではないので知らない人も多いとか。
「冒険者ギルドに置いてある魔道具で確認すればすぐにわかったはずだし、いつ気付くかニヤニヤして待ってたのに……なかなか気付いてくれないから自分でバラしたようだぞ」
「どおりでさっきまでキリッとしてたサブサスさんがいつのまにかニヤニヤしてるはずですね……」
うん、今度リディの分も開設してもらおう。でも、もう少しブランの羽を売らないと評価が足りないかな?
ギルド公認はちょっとだけサブマスに振り回されそうで躊躇したけど……あれはドネルさんと幼馴染だからこそのやりとりだと聞いて安心したとともに、ドネルさんにちょっと同情した。
「あの、ちなみに今持ってるポーションもその魔道具使えるんですか?」
「あー、それは……エナが作ったものなら問題ないぞ」
「じゃあ、早速ここで魔道具使って売っていってもいいですか」
だって、そうしたら今回から手数料分買い取り価格上がるんでしょう?
「ああ、しばらくしたらまた来るから好きに使ってくれ」
2人が部屋を出ていった後も意気揚々と作りためておいたポーションやついでに今まで売れなかった品質:優のポーションに魔道具でマークをつけていく。おお、簡単ですね。
ひたすら魔道具を使っていたら、いつのまにか2人が戻ってきていた。結果、かなりの量を放出した。
特にマナポーションは結構な量があったのでマルガスさんに、呆れられたのは言うまでもない……
ハイポーションやマナポーションの初級や中級に加え以前ギルドで買ったレシピの特殊ポーションを数本ずつ、宝珠の花で作ったポーションを1本だけ売ることにした。
全部合わせて公認として納品する一定量の2回分あったので、これで次の納品は20日後となった……ていうか、荷車要らなくない?
でも……サブマスやマルガスさん、カーラさんはもうたくさん入るマジックバッグだと知ってるけど、他の冒険者に悟られるのはまずいからカモフラージュのために使うべきかな……
「そっか、空の木箱と荷車を引いて門をくぐって、売るときに数を数えるついでに部屋で木箱に詰めればいいのか……うーん」
どうも公認だと裏口から荷車で直接買い取りへ持ち込めるらしいのでなんとかなりそうかな?
うん、全部で金貨2枚、銀貨9枚、小銀貨8枚、銅貨1枚になったよ……一般的な家庭がひと月銀貨15枚から20枚で生活するっていってたからこれだけでふた月分……すごいお金持ちだね。ちょっとギルド公認をなめてたかもしれない……
ちなみに金貨2枚は口座に入れてもらいました……
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
神託が下りまして、今日から神の愛し子です! 最強チート承りました。では、我慢はいたしません!
しののめ あき
ファンタジー
旧題:最強チート承りました。では、我慢はいたしません!
神託が下りまして、今日から神の愛し子です!〜最強チート承りました!では、我慢はいたしません!〜
と、いうタイトルで12月8日にアルファポリス様より書籍発売されます!
3万字程の加筆と修正をさせて頂いております。
ぜひ、読んで頂ければ嬉しいです!
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
非常に申し訳ない…
と、言ったのは、立派な白髭の仙人みたいな人だろうか?
色々手違いがあって…
と、目を逸らしたのは、そちらのピンク色の髪の女の人だっけ?
代わりにといってはなんだけど…
と、眉を下げながら申し訳なさそうな顔をしたのは、手前の黒髪イケメン?
私の周りをぐるっと8人に囲まれて、謝罪を受けている事は分かった。
なんの謝罪だっけ?
そして、最後に言われた言葉
どうか、幸せになって(くれ)
んん?
弩級最強チート公爵令嬢が爆誕致します。
※同タイトルの掲載不可との事で、1.2.番外編をまとめる作業をします
完了後、更新開始致しますのでよろしくお願いします
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
狼になっちゃった!
家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで?
色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!?
……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう?
これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる