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第8章
113.女神見習いとポーションパウダー
早速、冒険者ギルドへ納品に向かう……
「おはよーございます」
「おう、来たな?サブマスが待ってるぞ」
「あー、やっぱりそうですか。大丈夫ですよ!ちゃんと持って来ましたから!」
「そうか。もし持ってこなかったらここで作らされたかもしれないからな」
「えー……持ってきてよかった」
まずはいつものようにポーションを納品。
「ま、サブマスはもうすぐ来るだろうからポーションパウダーだっけか?それはその時でいいだろ」
「はーい……」
とりあえずお茶でも飲むか……と立ち上がった瞬間。
バーンッ!
ちっ、思わずビクッとしちゃったじゃないかー……見てあのサブマスの嬉しそうな顔。
「やぁ、エナくんやっと来てくれたんだね?待ちくたびれちゃったよー!あ、オークションのお金はまだだからねー」
「はぁ……」
カーラ達から聞いてまだ数日でしょ?やっとってなにさ……
「マルガス、ポーションの納品は終わった?」
「ええ」
「そう。なんかね?カーラくんに聞いてから、僕の奥さんにポーションパウダーについて聞いてみたんだけど守秘義務とか言って教えてくれなくてさー……しまいには怒っちゃうし。全然仕事が手につかなくってギルマスが大変だったんだよ」
「エナ……マジだぞ」
「えー……なんか責められてます?」
「ううん、責めてはないけど……」
いや、思っきし責めてますよね?そのジトーッとした目とか。サブマスよりもギルマスに迷惑をかけた気がする……正直、そっちの方が気になる。
「で、もちろん見せてくれるんだよね?」
「はい」
作っておいたポーションパウダーをサブマスとマルガスさんに渡す。
「薬包にしてあるんだな……」
「はい、持ち運ぶのに便利かと思って」
「そうだねー……で、マルガスどう?」
「ああ、エナのポーションと同様の品質と効果があるみたいだ。いや、それ以上か?」
「あー、煮詰める分微妙に効果が高まるっぽいんですよね」
「まじか……」
サブマスはおもむろにポーションパウダーをペロッと舐めた。
「うん、結構おいしいかも」
「そうなんですよー。ハイポーションは少し苦く抹茶のような味、マナポーションはさらに甘くなり、果実の甘さに近い味になったんですよね」
「……抹茶?」
あー、伝わらないか。
「苦いお茶って感じですかね?」
「そっか。マナポーションの薬包もくれるかな」
「はい」
2人が味見するのを見つつ今度こそお茶を入れることに成功した。
「うん、これならいいと思うけど」
「ん?何がですか?」
「これにも公認の印をつけることだよ」
おー、聞こうと思ってたやつ!
「ポーションパウダーはかけて包帯などで巻いておくか水で練って巻いておくとしばらく経つと効果を発揮するんですよ。即効性はポーションですけど、ポーションパウダーはじわじわと効いてくるのであらかじめ逆算して、体にかけて包帯で巻いておき、戦いの最中で魔力切れになる前に回復とかもできそうですよね?」
「エナ、お前また変なこと考えるなー」
「でも面白いこと考えたね。速効性のあるポーションと遅効性のパウダーか」
「いやー、そうすればポーションをかけたり飲む時間で命の危機を避けられるかなーって……ただの思いつきなので本当にそれがいいとは限りませんけど」
若干、マルガスさんが呆れ気味だけどスルー……
「うんうん、そうだね」
「でも、パウダーの方が作るのに時間かかるんですよ」
「そうか」
「液体と粉、それぞれにメリットデメリットがあって瓶の場合かさばるけどすぐ飲める。薬包はたくさん必要なときは小さいのでかさばらないけど慌てるとむせるので水などで流し込む必要があるってことですかね」
「確かに……」
「商業ギルドで製法の特許を取得してあるんですけど、全然売れてないんです」
「うーん。ポーションパウダー自体初めて聞いたからな……」
「そうだねー。公認の印つけて売り出したら結構すぐに広まると思うけど」
そうかー……でもなー。ポーションの方が簡単に作れるんだよなー。
「とりあえず今日持ってきた分は売ってね」
「あ、はい」
断ることはできない雰囲気ですね。ポーションパウダーの初級とマナポーションのパウダーの初級を渡す。
「これで全部ですね……あ、これに公認マークつけていいんですか」
「うん、かまわないよ」
やったー。早速マークをつけていく……数が少ないのですぐに終わった。
「今度からこっちも持ってきてくれると嬉しいな。あと、エナくんの従魔になったスライムも連れてきてほしいなー」
「はい、頑張ります……ん?ライムをですか」
「うん、エナくんの従魔見てみたいし」
「はぁ。機会があったら……」
だって、ライムが嫌って言ったら無理だし……
「ま、パウダーは無理はしない程度でいいぞ……従魔は管轄外だ」
マルガスさん面倒なことになりそうだから関わらない気ですね?
「わかりました。あ、そうだ。ギルドってジャム用の瓶とか売ってます?」
「売店で売ってることは売ってるが……どれくらいの量がいるんだ?」
「うーん……たくさん?」
「はぁ。だったら街中の雑貨屋で買った方がいいだろうな」
「そうですか。わかりました……マルガスさん、これを」
「なんだ?ポーションか?」
「はい。ギルマスに……」
マルガスさんはそれだけで察してくれた様ですんなりと受け取ってくれた。
「え、なになに?エナくん、ギルマスに賄賂はいけないなぁ」
「違いますよ。なんだかご迷惑かけたような気がするので迷惑料ですよ」
「それなら、俺も欲しいくらいだ」
「マルガスさんたら、またまたー」
あれ、なんかめっちゃ真顔なんだけど……冗談じゃなくて本気?まじかー……
「だったら、私も欲しいなー。奥さんに怒られちゃったのはエナくんにも関わりあるし」
「アー、ソウデスネ」
ポーションをマルガスさんとサブマスそれぞれに渡す。うん、マルガスさんには迷惑料として、サブマスは渡さなかったら後が怖そうだから……ね。
「じゃあ、帰りますね」
「ああ、気をつけてな」
「またね」
「はい」
なんだかとっても疲れた……冒険者ギルドを後にし、市場で果物を大量に購入。その後雑貨屋さんでジャム用の瓶をたくさん購入。サイズもいろいろあってよかった。リディが喜んでくれるといいなー。
「早く帰ってリディ成分補給しよーっと」
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