8 / 9
命懸けの自宅警備
2-5
しおりを挟む
「あまり浮世を離れた自覚は無かったんですけど、さすがに秦広王にお会いした時は違いました」
こちら側の世界には、十人の主要な裁判官がいる。その中でも四十九日までに会うのが七人。さらに最初に対峙することになるのが秦広王である。
「三途の川のどこを渡るか気になって仕方なくなってきてたので、裁判官についてもツアーの案内の方に聞いてたんです。意外にも教えてくれて……。秦広王の名は肩書きであって、実際は八代目不動明王だって。名前は聞いたことがあるなって思いはするんですけど、具体的には強面のイメージしかなくて」
当の私もお見かけしたことはない。しかも八代目とは初耳だ。古典芸能のように世襲制なのか?
「強面だけど過去の記録を書きとめる閻魔帳を作成する係だから、間近で色々質問されるって、怖くて失禁しちゃったおじいちゃんがいるから、あなたも楽しみにしてねって」
楽しみ? さっきから話に出てくるその案内役も個性が強そうである。
「実際にお会いした感想を聞かせてもらえますか」
ササヤマさんは良い返事が聞けるだろうと予測できているのか、最後まで言い終わらないうちに問いかけた。
「それがもう! 美形で驚きました。どんなお堅そうなおじさんが出てくるのかと思っていたら、見た目は……もしかして私より若いのかな? ある意味怖くて聞けませんでしたけど」
「そうでしょう。不動くんは僕の親友なんです。八代目になる前から知り合ってて仲良くしてもらってるので、彼の容姿が褒められる度に、僕自身が認められてるみたいな気分になるんです」
何その話! とっても詳しく聞きたい!!
冬月さんの口からも、今にも質問が飛びてできそうである。だが、忘れてはいけない。時間が無いのだ。
「いや、ハウスダンスとかテコンドーをしていてほしい脚の長さでしたね。顔も美しすぎて怖く見えるのかな。若者が少ない田舎に住むお年寄りだったら、確かにおっかないジャンルの人かなとは思いました」
あれ? 止めないのを良いことにイケメン裁判官の魅力語りになってしまっている。
真横にいる彼も深く頷きながら、至極満足げである。
「冬月さんの話ももっと聞きたいな……なんて」
強引に会話を本筋に戻したつもりだけど、勝手なことをしたって推しに嫌われないか不安である。そんな不純なことを考えながら仕事をしてはいけないかもしれないけれど、今後のモチベーションに関わってくるのだ。
こちら側の世界には、十人の主要な裁判官がいる。その中でも四十九日までに会うのが七人。さらに最初に対峙することになるのが秦広王である。
「三途の川のどこを渡るか気になって仕方なくなってきてたので、裁判官についてもツアーの案内の方に聞いてたんです。意外にも教えてくれて……。秦広王の名は肩書きであって、実際は八代目不動明王だって。名前は聞いたことがあるなって思いはするんですけど、具体的には強面のイメージしかなくて」
当の私もお見かけしたことはない。しかも八代目とは初耳だ。古典芸能のように世襲制なのか?
「強面だけど過去の記録を書きとめる閻魔帳を作成する係だから、間近で色々質問されるって、怖くて失禁しちゃったおじいちゃんがいるから、あなたも楽しみにしてねって」
楽しみ? さっきから話に出てくるその案内役も個性が強そうである。
「実際にお会いした感想を聞かせてもらえますか」
ササヤマさんは良い返事が聞けるだろうと予測できているのか、最後まで言い終わらないうちに問いかけた。
「それがもう! 美形で驚きました。どんなお堅そうなおじさんが出てくるのかと思っていたら、見た目は……もしかして私より若いのかな? ある意味怖くて聞けませんでしたけど」
「そうでしょう。不動くんは僕の親友なんです。八代目になる前から知り合ってて仲良くしてもらってるので、彼の容姿が褒められる度に、僕自身が認められてるみたいな気分になるんです」
何その話! とっても詳しく聞きたい!!
冬月さんの口からも、今にも質問が飛びてできそうである。だが、忘れてはいけない。時間が無いのだ。
「いや、ハウスダンスとかテコンドーをしていてほしい脚の長さでしたね。顔も美しすぎて怖く見えるのかな。若者が少ない田舎に住むお年寄りだったら、確かにおっかないジャンルの人かなとは思いました」
あれ? 止めないのを良いことにイケメン裁判官の魅力語りになってしまっている。
真横にいる彼も深く頷きながら、至極満足げである。
「冬月さんの話ももっと聞きたいな……なんて」
強引に会話を本筋に戻したつもりだけど、勝手なことをしたって推しに嫌われないか不安である。そんな不純なことを考えながら仕事をしてはいけないかもしれないけれど、今後のモチベーションに関わってくるのだ。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
付喪神狩
やまだごんた
キャラ文芸
古い道具には年月と共に人の情念が蓄積され、それが意思を持ったものが付喪神と呼ばれる。
容姿端麗だが口も性格も女癖も悪い大和御門は日本で唯一の付喪神狩として、付喪神を祓う能力者。
自分に取り憑いた大口真神を引き連れ、同居中の相方・棚橋亨と繰り広げる現代異能バトル
ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!
オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ランの父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリーだった。
ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。
学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。
当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。
同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。
ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。
そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。
まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。
その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。
こうしてジュリーとの同居が決まった。
しかもジュリーの母親、エリカも現われ、ランの家は賑やかになった。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる