異世界で猫になった公爵令嬢は王子様から婚約破棄されましたが、実は聖女だったのでまったりもふもふ優しく騎士様に愛されます。

友坂 悠

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転生したら悪役令嬢だったから黒猫と一緒にドラゴンと戦います! ほんとは聖女で主人公でした? そんなの今更遅いです。

森の入り口で。

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「ほら、これがファイヤ。でもってこれがウォーター」

 右手にファイヤボール。左手に水の球を顕現させたカリナ。

「すごいねカリナ。ううん、カリナ先生!」

「えっへへー」

 森の入り口付近の草むらでお弁当を広げて、あたしに魔法を教えてくれようと実演しているカリナ。

 すごいなって思ったのはほんと。こんなまだ小さい子がいろんな魔法が使えるなんてびっくりだ。

「アーク!」

「ウインド!」

「ほら、こういう風に光魔法や風魔法もできるの!」

 短時間に何度も、ここまでとはね。ほんとすごいよカリナ。


 わたし自身は今まで魔法の勉強は全くしてこなかった。だから自分の魔力は感じることが出来ても、それを制御する方法がいまいちわからなかったんだけど……。

 彼女の身体を取り巻くマナと魔力の流れを感じることで、自分にも出来るようなきもしてきたよ?

「ありがとうねカリナ先生。じゃぁわたしも真似してみるよ。ウォーター!」

 両手を掲げて水の呪文を唱えてみる。

 手のひらから少し離れた場所に、水の球が浮き。

 そしてそれはすぐにバレーボール大にまで大きくなって。

「あは。出来たよ」

「すごいマリア。あなた筋がいいわ」

 そう言って褒めてくれるカリナ。あは。なんだかすごく嬉しい。

 二人で笑顔になってきゃぁきゃぁ言いながらこうして一通り魔法の練習をして。

 お昼ご飯を食べてちょっと休んでから森に踏み込んだのだった。



 たぶん。

 前世の記憶が蘇ってからだと思う。

 わたし、マナの流れ、魔力の流れが眼に見えるようになってたの。

 それまでは他人のマナや魔力を測るなんて真似できなかったし、そもそも魔力を見るなんてこと考えたこともなかった。

 いろんな人とすれ違うたび相手の強さがなんとなくわかる? そんな事があるなんて、ね?

 魔法の術式とかマナを力に変換する方法なんかは具体的には知らなくても、他の人がこうして魔法を使って見せてくれれば。

 わたしはたぶんそれを真似する事ができる。

 マナの流れ魔力の流れを再現すればいいのだもの。そこまで難しくはないかもだ。

 これはもしかしてわたし特有の能力? まさかね? 

 なかなか便利だし他人に言うつもりは無いけど。

 言ったらなんか面倒なことに巻き込まれそうで嫌、かな。



 そんなこと考えながら道端に生えている薬草を摘んでいく。

 カリナが見つけるほうが多いかな? 二人でそんな風に楽しく薬草摘みをしている時だった。

 前方に急速に大きくなる魔の気配。

 え?

 もしかして危険な魔物?

 わたしはとっさにカリナの手を取って庇うように前に出た。



 ガサガサっと草叢を揺らし出てきたのはベビーハウンドだった。

 姿をあらわすなりガルルとこちらに向かって威嚇するベビーハウンド。

 ベビーと言っても赤ん坊っていうわけじゃない。身体が小柄なだけでもうしっかり成獣なウルフ型の魔物だ。危険度はスライムの比じゃないよ。

 これはたぶん……。

 わたしやカリナがファイヤーボールを飛ばしたとしても、かわされておしまい、だろう。

 一撃目をかわされたら、こちらも無傷じゃいられない。

 ガウガウと威嚇するベビーハウンドを睨み、なんとかカリナだけでも助けなくちゃ。そう考えて。
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