102 / 102
転生したら悪役令嬢だったから黒猫と一緒にドラゴンと戦います! ほんとは聖女で主人公でした? そんなの今更遅いです。
もう遅いのです。
しおりを挟む
「そんな、だって、あれでしょ? 悪役令嬢って言ったら主人公を虐めたりするあれよね? だったらもしそんな主人公が現れたって虐めなきゃ良いだけじゃないです? 以前のお姉様ならともかく、今のクローディアお姉様ならそんな虐めなんてしそうにないじゃないですか?」
そう言うマリアンヌ。
うん、確かに理屈はそうだよね。
「確かにね。そんな断罪されるようなことはもうしないって言い切れるわ。でも」
わたしは頭を振って。
「もう十五年もクローディアとして生きてきたのよ。わたくしにも自分が他人からどう見られているか。マクシミリアンがわたくしの性格をどう把握しているのかくらい、理解しているつもりです……」
そう。どうせならもっと幼い頃に前世の記憶が戻って欲しかった。そうしたらこんなイジワル令嬢なんて思われないよう頑張ったのに……。
「この先、もしもそういう虐め事件が起きた時。周りがクローディアならやりかねないってそう思うだろう事がわかるから。主人公が現れて、虐められましたって言ったらわたくしの言い分なんか信じて貰えないんじゃないかって、そう思ってしまうのですよ。もう遅いのです。今更性格変わりましたって言っても信じてなんか貰えない……」
マリアンヌも言葉を亡くしてる。同情する様にこちらを見て。
「混乱して、悩んで。魔力が暴走してお部屋が爆発してしまったとき、わたくしの心の何処かで此処から逃げ出したいって思ったんでしょうね。気がついたらアストリンジェンの修道院の前で倒れていたのです……」
「お姉様……」
「ねえ、マリアンヌ。わたくしが、このあたらしいわたしとしてもう少し自信が持てるまで。このままにしておいて貰えないかしら」
「おじさまやおばさまは? 黙っているのですか?」
「生きている、ということだけはなんとか伝えたいと思ってはいるのですよ……」
マリアンヌ、ちょっと思案するような顔になって。
「ねえ、それなら。うちのお母様と大聖女レティーナ様にだけは事情をお話しても良いです? あの二人ならお姉様の境遇にも理解をしてくれると思うのです。わたくしの前例がありますし。でもってきっと、良いアイデアを考えてくれると思うのですよ」
はう。
「特にレティーナ様はいろんな経験をしてきているし博識なのです。レティーナ様とうちのお母様に協力してもらえば、きっとおじさまやおばさまを納得させることもできますわ」
「よろしいの、ですか?」
「わたくし、クローディアお姉様をこのままほっておくなんて出来ません。協力させてください」
「ああ、マリアンヌ……。わたくし、貴女にも結構イジワルなこと言ったりしてましたでしょう? それなのに……。ごめんなさいね……」
「いえいえ、良いんです。それに、わたくし今のお姉様の事けっこう好きですわ。なんだか親しみが持てて」
「ごめんねマリアンヌ……。そうそう、今のわたしはマリアって呼ばれてるの。記憶喪失のふりをしてるから修道院の人にそう名前をつけて貰って」
「あは。じゃぁ、マリア姉様。あたしの事はマリカって呼んで。これからもちょくちょく会いに来てもいいですか?」
「ええ、嬉しいわ」
マリアンヌ、ううん、マリカは腕に中に収まって静かにしていたドラこをこちらに差し出して、言った。
「ねえマリア姉様? この子、あたしの魂《レイス》の中にいるエレメンタルドラゴンの分身なの。竜の子だと目立つので黒猫のマトリクスを被ってるんだけどね。この子、姉様に預けていくから。何かあったらこのドラこに話しかけて? あたしにも通じるから」
お姉様をおねがいね、ドラこ。マリカがそうドラこの耳元で話すと、にゃぁとかわいく鳴いたドラこがこちらに向き直って。
びょんとマリカの腕から離れわたしの胸に飛び込んできた。
「はうう、もふもふしてる」
抱きしめてそのもふもふを味わって。
「マリカ、ありがとう」
わたしは素直に彼女にお礼が言えたのだった。
そう言うマリアンヌ。
うん、確かに理屈はそうだよね。
「確かにね。そんな断罪されるようなことはもうしないって言い切れるわ。でも」
わたしは頭を振って。
「もう十五年もクローディアとして生きてきたのよ。わたくしにも自分が他人からどう見られているか。マクシミリアンがわたくしの性格をどう把握しているのかくらい、理解しているつもりです……」
そう。どうせならもっと幼い頃に前世の記憶が戻って欲しかった。そうしたらこんなイジワル令嬢なんて思われないよう頑張ったのに……。
「この先、もしもそういう虐め事件が起きた時。周りがクローディアならやりかねないってそう思うだろう事がわかるから。主人公が現れて、虐められましたって言ったらわたくしの言い分なんか信じて貰えないんじゃないかって、そう思ってしまうのですよ。もう遅いのです。今更性格変わりましたって言っても信じてなんか貰えない……」
マリアンヌも言葉を亡くしてる。同情する様にこちらを見て。
「混乱して、悩んで。魔力が暴走してお部屋が爆発してしまったとき、わたくしの心の何処かで此処から逃げ出したいって思ったんでしょうね。気がついたらアストリンジェンの修道院の前で倒れていたのです……」
「お姉様……」
「ねえ、マリアンヌ。わたくしが、このあたらしいわたしとしてもう少し自信が持てるまで。このままにしておいて貰えないかしら」
「おじさまやおばさまは? 黙っているのですか?」
「生きている、ということだけはなんとか伝えたいと思ってはいるのですよ……」
マリアンヌ、ちょっと思案するような顔になって。
「ねえ、それなら。うちのお母様と大聖女レティーナ様にだけは事情をお話しても良いです? あの二人ならお姉様の境遇にも理解をしてくれると思うのです。わたくしの前例がありますし。でもってきっと、良いアイデアを考えてくれると思うのですよ」
はう。
「特にレティーナ様はいろんな経験をしてきているし博識なのです。レティーナ様とうちのお母様に協力してもらえば、きっとおじさまやおばさまを納得させることもできますわ」
「よろしいの、ですか?」
「わたくし、クローディアお姉様をこのままほっておくなんて出来ません。協力させてください」
「ああ、マリアンヌ……。わたくし、貴女にも結構イジワルなこと言ったりしてましたでしょう? それなのに……。ごめんなさいね……」
「いえいえ、良いんです。それに、わたくし今のお姉様の事けっこう好きですわ。なんだか親しみが持てて」
「ごめんねマリアンヌ……。そうそう、今のわたしはマリアって呼ばれてるの。記憶喪失のふりをしてるから修道院の人にそう名前をつけて貰って」
「あは。じゃぁ、マリア姉様。あたしの事はマリカって呼んで。これからもちょくちょく会いに来てもいいですか?」
「ええ、嬉しいわ」
マリアンヌ、ううん、マリカは腕に中に収まって静かにしていたドラこをこちらに差し出して、言った。
「ねえマリア姉様? この子、あたしの魂《レイス》の中にいるエレメンタルドラゴンの分身なの。竜の子だと目立つので黒猫のマトリクスを被ってるんだけどね。この子、姉様に預けていくから。何かあったらこのドラこに話しかけて? あたしにも通じるから」
お姉様をおねがいね、ドラこ。マリカがそうドラこの耳元で話すと、にゃぁとかわいく鳴いたドラこがこちらに向き直って。
びょんとマリカの腕から離れわたしの胸に飛び込んできた。
「はうう、もふもふしてる」
抱きしめてそのもふもふを味わって。
「マリカ、ありがとう」
わたしは素直に彼女にお礼が言えたのだった。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
聖女の力を妹に奪われ魔獣の森に捨てられたけど、何故か懐いてきた白狼(実は呪われた皇帝陛下)のブラッシング係に任命されました
AK
恋愛
「--リリアナ、貴様との婚約は破棄する! そして妹の功績を盗んだ罪で、この国からの追放を命じる!」
公爵令嬢リリアナは、腹違いの妹・ミナの嘘によって「偽聖女」の汚名を着せられ、婚約者の第二王子からも、実の父からも絶縁されてしまう。 身一つで放り出されたのは、凶暴な魔獣が跋扈する北の禁足地『帰らずの魔の森』。
死を覚悟したリリアナが出会ったのは、伝説の魔獣フェンリル——ではなく、呪いによって巨大な白狼の姿になった隣国の皇帝・アジュラ四世だった!
人間には効果が薄いが、動物に対しては絶大な癒やし効果を発揮するリリアナの「聖女の力」。 彼女が何気なく白狼をブラッシングすると、苦しんでいた皇帝の呪いが解け始め……?
「余の呪いを解くどころか、極上の手触りで撫でてくるとは……。貴様、責任を取って余の専属ブラッシング係になれ」
こうしてリリアナは、冷徹と恐れられる氷の皇帝(中身はツンデレもふもふ)に拾われ、帝国で溺愛されることに。 豪華な離宮で美味しい食事に、最高のもふもふタイム。虐げられていた日々が嘘のような幸せスローライフが始まる。
一方、本物の聖女を追放してしまった祖国では、妹のミナが聖女の力を発揮できず、大地が枯れ、疫病が蔓延し始めていた。 元婚約者や父が慌ててミレイユを連れ戻そうとするが、時すでに遅し。 「私の主人は、この可愛い狼様(皇帝陛下)だけですので」 これは、すべてを奪われた令嬢が、最強のパートナーを得て幸せになり、自分を捨てた者たちを見返す逆転の物語。
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
「女のくせに強すぎて可愛げがない」と言われ婚約破棄された追放聖女は薬師にジョブチェンジします
紅城えりす☆VTuber
恋愛
*毎日投稿・完結保証・ハッピーエンド
どこにでも居る普通の令嬢レージュ。
冷気を放つ魔法を使えば、部屋一帯がや雪山に。
風魔法を使えば、山が吹っ飛び。
水魔法を使えば大洪水。
レージュの正体は無尽蔵の魔力を持つ、チート令嬢であり、力の強さゆえに聖女となったのだ。
聖女として国のために魔力を捧げてきたレージュ。しかし、義妹イゼルマの策略により、国からは追放され、婚約者からは「お前みたいな可愛げがないやつと結婚するつもりはない」と婚約者破棄されてしまう。
一人で泥道を歩くレージュの前に一人の男が現れた。
「その命。要らないなら俺にくれないか?」
彼はダーレン。理不尽な理由で魔界から追放された皇子であった。
もうこれ以上、どんな苦難が訪れようとも私はめげない!
ダーレンの助けもあって、自信を取り戻したレージュは、聖女としての最強魔力を駆使しながら薬師としてのセカンドライフを始める。
レージュの噂は隣国までも伝わり、評判はうなぎ登り。
一方、レージュを追放した帝国は……。
聖女の力は「美味しいご飯」です!~追放されたお人好し令嬢、辺境でイケメン騎士団長ともふもふ達の胃袋掴み(物理)スローライフ始めます~
夏見ナイ
恋愛
侯爵令嬢リリアーナは、王太子に「地味で役立たず」と婚約破棄され、食糧難と魔物に脅かされる最果ての辺境へ追放される。しかし彼女には秘密があった。それは前世日本の記憶と、食べた者を癒し強化する【奇跡の料理】を作る力!
絶望的な状況でもお人好しなリリアーナは、得意の料理で人々を助け始める。温かいスープは病人を癒し、栄養満点のシチューは騎士を強くする。その噂は「氷の辺境伯」兼騎士団長アレクシスの耳にも届き…。
最初は警戒していた彼も、彼女の料理とひたむきな人柄に胃袋も心も掴まれ、不器用ながらも溺愛するように!? さらに、美味しい匂いに誘われたもふもふ聖獣たちも仲間入り!
追放令嬢が料理で辺境を豊かにし、冷徹騎士団長にもふもふ達にも愛され幸せを掴む、異世界クッキング&溺愛スローライフ! 王都への爽快ざまぁも?
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
二度目の召喚なんて、聞いてません!
みん
恋愛
私─神咲志乃は4年前の夏、たまたま学校の図書室に居た3人と共に異世界へと召喚されてしまった。
その異世界で淡い恋をした。それでも、志乃は義務を果たすと居残ると言う他の3人とは別れ、1人日本へと還った。
それから4年が経ったある日。何故かまた、異世界へと召喚されてしまう。「何で!?」
❋相変わらずのゆるふわ設定と、メンタルは豆腐並みなので、軽い気持ちで読んでいただけると助かります。
❋気を付けてはいますが、誤字が多いかもしれません。
❋他視点の話があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
アーサー様!!マリカちゃんが人間に戻っても、シレッともっとモフりたかったという言動に、女性慣れしていて愕然。(笑)
更新ありがとうございます。
これはアーサー様にこれから翻弄されますね〜。
にゃぁ♪
ありがとうございます。
実はアーサー様にも秘密があるのです💕
この先もお付き合いくださいますと嬉しいデス。
ありがとうございました。
更新ありがとうございます。
本日読み始めましたが、続きも楽しみにしています。
ありがとうございます♪
感想ありがとうございます。
ここからまだまだおはなしは動いていきます。
お付き合いくださるとありがたいです。
ありがとうございました。
ふむふむ…人間だった猫とは、今回はこうした形での物語ですね!
ありがとうございます。
感想に気がつくの遅くなってごめんなさい。
今回はこんな感じの猫デス♪
このあともいろいろあります。
よろしくお願いします♪
ありがとうございました。