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衝撃的な舞踏会の婚約破棄騒ぎの後。
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衝撃的な舞踏会の婚約破棄騒ぎの後。
過去の前世の記憶を取り戻したわたくしでしたが、その日は何事も無かったふうに装って待機していた公爵家の馬車に飛び乗りそのまま寮ではなしに自宅の公爵邸へと向かいました。
舞踏会の後はこのまま学院は休みに入ります。後一年の学生生活。そう、休みが開ければ最後の学院生活が始まるのです。
館に着いたところでもしかしたらお母様から今夜の出来事を咎められるかと心配しましたがなんとかそういうこともなく。
アンを伴って自室に戻り着替えを終えると、そのまま湯浴みもせずにベッドに潜り込んで。
「お嬢様、こうしてお館に戻られてリラックスされるのはわかりますが、ちょっとはしたないですよ?」
もう子供の頃からわたくしに仕えてくれて、姉様にも等しいとそう慕っている侍女のアン。
子供のようにベッドに潜り込むその姿に、笑顔で苦言をくれます。
「ふふ。ごめんなさいアン。大好きですよ」
ベッドの中から猫のようにちょこんと顔を出して、わたくしはそう甘えたような声を出します。
「もうしょうがないですね。今夜はお疲れでしょうからこのままお休みになりますか? もし必要なら後からホットミルクでもお持ちしましょうか?」
「ありがとうアン。今夜はいいわ。ふふ、そういうところがほんとに大好きなのですよ」
そう笑顔を向けるとアンもにこりと微笑んで。
「では、おやすみなさいませ。ミルクは明日の朝にしましょうか」
そう言って退出する。
シャンデリアの魔石を小さな明かりに変えて行ってくれたアン。
ちょっと薄暗くなったところで。
「ああ、これからどうしましょうか」
わたくしはそう、ぼそっとつぶやくのだった。
⭐︎⭐︎⭐︎
——ねえ、もう寝ちゃったの?
はう!
「いいえ、まだ起きてますわカペラさん」
——力がみなぎっているのがわかるわ。あたしとあんたは魂《レイス》を共有してるのね。貴女の中にあった卵のような聖女様のカケラが弾けた後、あたしたちのナカにあるマナがものすごく膨れ上がってる。わかる?
「そう、ですわね。わたくしも、アマリリスであった時期のこと、少し思い出しましたし」
——ふふ。よかった。あんなに内気だったディアが見違えるように明るくなった感じ。
「ああ、でも。わたくしはクラウディア。それは何にも変わってはいないと思うのですよ」
——そうよね。うん。あんたはそれでいいんだと思うわ。
「そう、ですか?」
——ええ。あたしが保証してあげる。まあでも、ねえわかってる? 力も戻ってるってこと。
「え?」
——実はあたしもちゃんと魔法が使えるの。あんたの身体でね。だから、マナのゲートはもう充分開発してあるって話。
「はう」
——あたしが表に出た時にはあたしの術式の魔法が使えるってことは、あんたの状態の時にはアマリリスの聖魔法が使えるってことよね。ねえ、今から試してみない?
「でも……」
——大丈夫だって、ちょこっとだけ。試してみようよー
「うーん。なら、少しだけですよ?」
——やった。あんた前より話がわかるようになったね。
はうう。
そういうつもりはないんですけど、わたくしの心の中にもずいぶんとカペラさんの心が染み込んできているのかも。
なんだかすごく、心が軽くなった気がするのです。
過去の前世の記憶を取り戻したわたくしでしたが、その日は何事も無かったふうに装って待機していた公爵家の馬車に飛び乗りそのまま寮ではなしに自宅の公爵邸へと向かいました。
舞踏会の後はこのまま学院は休みに入ります。後一年の学生生活。そう、休みが開ければ最後の学院生活が始まるのです。
館に着いたところでもしかしたらお母様から今夜の出来事を咎められるかと心配しましたがなんとかそういうこともなく。
アンを伴って自室に戻り着替えを終えると、そのまま湯浴みもせずにベッドに潜り込んで。
「お嬢様、こうしてお館に戻られてリラックスされるのはわかりますが、ちょっとはしたないですよ?」
もう子供の頃からわたくしに仕えてくれて、姉様にも等しいとそう慕っている侍女のアン。
子供のようにベッドに潜り込むその姿に、笑顔で苦言をくれます。
「ふふ。ごめんなさいアン。大好きですよ」
ベッドの中から猫のようにちょこんと顔を出して、わたくしはそう甘えたような声を出します。
「もうしょうがないですね。今夜はお疲れでしょうからこのままお休みになりますか? もし必要なら後からホットミルクでもお持ちしましょうか?」
「ありがとうアン。今夜はいいわ。ふふ、そういうところがほんとに大好きなのですよ」
そう笑顔を向けるとアンもにこりと微笑んで。
「では、おやすみなさいませ。ミルクは明日の朝にしましょうか」
そう言って退出する。
シャンデリアの魔石を小さな明かりに変えて行ってくれたアン。
ちょっと薄暗くなったところで。
「ああ、これからどうしましょうか」
わたくしはそう、ぼそっとつぶやくのだった。
⭐︎⭐︎⭐︎
——ねえ、もう寝ちゃったの?
はう!
「いいえ、まだ起きてますわカペラさん」
——力がみなぎっているのがわかるわ。あたしとあんたは魂《レイス》を共有してるのね。貴女の中にあった卵のような聖女様のカケラが弾けた後、あたしたちのナカにあるマナがものすごく膨れ上がってる。わかる?
「そう、ですわね。わたくしも、アマリリスであった時期のこと、少し思い出しましたし」
——ふふ。よかった。あんなに内気だったディアが見違えるように明るくなった感じ。
「ああ、でも。わたくしはクラウディア。それは何にも変わってはいないと思うのですよ」
——そうよね。うん。あんたはそれでいいんだと思うわ。
「そう、ですか?」
——ええ。あたしが保証してあげる。まあでも、ねえわかってる? 力も戻ってるってこと。
「え?」
——実はあたしもちゃんと魔法が使えるの。あんたの身体でね。だから、マナのゲートはもう充分開発してあるって話。
「はう」
——あたしが表に出た時にはあたしの術式の魔法が使えるってことは、あんたの状態の時にはアマリリスの聖魔法が使えるってことよね。ねえ、今から試してみない?
「でも……」
——大丈夫だって、ちょこっとだけ。試してみようよー
「うーん。なら、少しだけですよ?」
——やった。あんた前より話がわかるようになったね。
はうう。
そういうつもりはないんですけど、わたくしの心の中にもずいぶんとカペラさんの心が染み込んできているのかも。
なんだかすごく、心が軽くなった気がするのです。
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