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螺旋階段。
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漆黒に塗り固められたような魔王城。
まるで日本の戦国時代の城の天守閣かと思うような屋根には大きな二本のツノが鯱鉾のように伸びている。
結局前回はこの中に入ることなく戦いが終わり、あたしもそのまま死んじゃったからどんな様子なのかも知らなかったりする。
ってそれよりも。
これ、一体どうやって作ったんだろう?
付近には岩しかないし、やっぱり魔法かな?
創造魔法っていうジャンルだってあるしね。あたしは使えないけど。
物質そのものを創造するオプス。
そんな創造神の権能を使うことができたなら可能なのかなあ。
そんな事をつらつらと考えながら歩き。
辿り着いた先、その漆黒の門扉はきっちり閉まってた。
「うーん。壊すのは無粋だし」
あたしはそっとその扉を押してみた。うん。硬いね。
「引くのかもしれませんよ?」
と、ノワ。扉のほんのちょっとのくぼみを右手の指で掴む。
ギイっと引っ張るとそのまま扉が開く。
「ありがとう。ノワ」
さすがノワール。もう大人のその右手はすっごく頼もしくて。
指も大きくて太い。
ね。
あの頃とは違うんだな。
そんな事がふっと頭に浮かぶ。
「さあ。行きましょう」
扉を開け放ったノワール。あたしの方に手を伸ばしてそう言う。
あたしもその手をそっととって。
ノワのその温かい手の感触を楽しみながら。
「ありがとね」
そう。笑顔になって。
あたしたちはそのまま魔王城の中に一歩踏み込んだのだった。
中に見えたのは壁。その中央を隠すように覆われた壁の周りにある螺旋階段をひたすら登る。
ノワと手を繋いで歩くのはやっぱり嬉しい。
階段を最上階まで上がった所で、今度は中央に向けてくだりの階段が続いていた。
「今度はくだりかぁ」
「そう言わないで。まあここまで上がってきた所で、こんな事だとは予想もついていましたけどね」
「まぁ、それはそうなんだけどさ」
実はここまで上がってくる間にもう随分疲れてて。
「ねえさん、疲れた? ちょっと休憩する?」
「うう。ごめん。なんだか随分体力なくなってるよねあたし」
「しかたないです。まだ生まれ変わって間もないのですしね。本来の身体、あんなに小さいのですから」
ああ。ねこの身体はほんとままならない。あ、でも、人間だったとしても赤ちゃんだし、これ、ほんとしょうがないのかなぁ?
そんなこんなでちょっとバテ気味に内側の壁に張り付いたくだりの螺旋階段を降りていくあたしとノワ。
ノワが手を繋いでくれているのが、救い、かな。
あたしだけだったらきっと途中で諦めていたかもだし。
まるで日本の戦国時代の城の天守閣かと思うような屋根には大きな二本のツノが鯱鉾のように伸びている。
結局前回はこの中に入ることなく戦いが終わり、あたしもそのまま死んじゃったからどんな様子なのかも知らなかったりする。
ってそれよりも。
これ、一体どうやって作ったんだろう?
付近には岩しかないし、やっぱり魔法かな?
創造魔法っていうジャンルだってあるしね。あたしは使えないけど。
物質そのものを創造するオプス。
そんな創造神の権能を使うことができたなら可能なのかなあ。
そんな事をつらつらと考えながら歩き。
辿り着いた先、その漆黒の門扉はきっちり閉まってた。
「うーん。壊すのは無粋だし」
あたしはそっとその扉を押してみた。うん。硬いね。
「引くのかもしれませんよ?」
と、ノワ。扉のほんのちょっとのくぼみを右手の指で掴む。
ギイっと引っ張るとそのまま扉が開く。
「ありがとう。ノワ」
さすがノワール。もう大人のその右手はすっごく頼もしくて。
指も大きくて太い。
ね。
あの頃とは違うんだな。
そんな事がふっと頭に浮かぶ。
「さあ。行きましょう」
扉を開け放ったノワール。あたしの方に手を伸ばしてそう言う。
あたしもその手をそっととって。
ノワのその温かい手の感触を楽しみながら。
「ありがとね」
そう。笑顔になって。
あたしたちはそのまま魔王城の中に一歩踏み込んだのだった。
中に見えたのは壁。その中央を隠すように覆われた壁の周りにある螺旋階段をひたすら登る。
ノワと手を繋いで歩くのはやっぱり嬉しい。
階段を最上階まで上がった所で、今度は中央に向けてくだりの階段が続いていた。
「今度はくだりかぁ」
「そう言わないで。まあここまで上がってきた所で、こんな事だとは予想もついていましたけどね」
「まぁ、それはそうなんだけどさ」
実はここまで上がってくる間にもう随分疲れてて。
「ねえさん、疲れた? ちょっと休憩する?」
「うう。ごめん。なんだか随分体力なくなってるよねあたし」
「しかたないです。まだ生まれ変わって間もないのですしね。本来の身体、あんなに小さいのですから」
ああ。ねこの身体はほんとままならない。あ、でも、人間だったとしても赤ちゃんだし、これ、ほんとしょうがないのかなぁ?
そんなこんなでちょっとバテ気味に内側の壁に張り付いたくだりの螺旋階段を降りていくあたしとノワ。
ノワが手を繋いでくれているのが、救い、かな。
あたしだけだったらきっと途中で諦めていたかもだし。
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