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光の壁の向こうへ。
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暗い、ただただ暗い空間の中に見つけた光。
だんだんと近付くとその光は壁になった。
乗り越える?
ああ、何故かわかる、それが無理だって。
だから。
思い切って飛び込んだのだ。その、光の壁の向こうに行くために……。
人のインナースペースっていうものと、この世界の空間そのものとが元はおんなじものだなんて、最初は信じられなかった。
メーティスの書庫で読んで知識としてはあった。でも。
転移の最中に世界の事象の果てを垣間見て。
身体から離れたあたしって存在が、あたしっていうインナースペースの存在が、他の世界と同列に並んでいるのを自覚して。
驚いたけど、ああ、そういうことなんだなってなんとなく理解した。
泡のように産まれる世界。
泡のように産まれる心。
これって全く一緒のものだった。
産まれて、そして弾けて消える。
事象の果てでそれがコトワリに回収され、そしてまた円環を巡る。
それはあのとき感じた魔界の魔達となんら変わりがなくて。
あの時の魔の主、自らを神と呼んだその存在があたしを欲したのも、あたしの身体ではなくあたしのこの心なのだろう、ってことも。
もう少しであれに取り込まれる所だったのだと想像するだけで身震いする。って、身震いする身体はもうないんだけどね?
あのとき手を伸ばすように広がって来た魔を感じたとき、気持ちが悪くてどうしようもなくて思い切って身体を捨てた。
まあ、やっぱり猫の身体だと限界があったし。
たぶんあの身体だとあたしの全開の魔力には耐えられなかただろうしね。ちょっと本気で魔力使おうと思っただけで身体の方が焼けちゃいそうになっちゃってたし。
しょうがなかったのかもしれない。
で、思い切って転移したのはよかったけど、身体もなしに魔・ギアも無しにだとちょっと何処に跳んで行くのかわからないような状態になって慌てて留まったら、そこが事象の果てだった。
泡のような世界が現れ消えるその様子が俯瞰して見えるそんな場所。
しばらくそこで漂っていた。
もしかしたら、無限の時を、ただただ漂って。
意識が保てなくて。
もうこのまま他の世界のようになっちゃってもいいのかな。
そんな諦観に支配されかけた時に思い出した。
ダメ。
あたし、レイアと約束した。
すぐもどってくるからね、って。
時間とか時空とかそういうものさえ曖昧になっていたそんな状態のあたし。
とにかく戻らなきゃ。
レイアの元に帰らなきゃ。
それだけを考えて。
跳んだのだ。
ただ一つの拠り所に向けて。
そこに、光が現れた。
それは、希望の光だとそう感じた。
それは段々と壁のようにあたしの前一面を埋めつくして。
あたしは、思い切って飛び込んで、その壁を突き抜ける。
そして──
だんだんと近付くとその光は壁になった。
乗り越える?
ああ、何故かわかる、それが無理だって。
だから。
思い切って飛び込んだのだ。その、光の壁の向こうに行くために……。
人のインナースペースっていうものと、この世界の空間そのものとが元はおんなじものだなんて、最初は信じられなかった。
メーティスの書庫で読んで知識としてはあった。でも。
転移の最中に世界の事象の果てを垣間見て。
身体から離れたあたしって存在が、あたしっていうインナースペースの存在が、他の世界と同列に並んでいるのを自覚して。
驚いたけど、ああ、そういうことなんだなってなんとなく理解した。
泡のように産まれる世界。
泡のように産まれる心。
これって全く一緒のものだった。
産まれて、そして弾けて消える。
事象の果てでそれがコトワリに回収され、そしてまた円環を巡る。
それはあのとき感じた魔界の魔達となんら変わりがなくて。
あの時の魔の主、自らを神と呼んだその存在があたしを欲したのも、あたしの身体ではなくあたしのこの心なのだろう、ってことも。
もう少しであれに取り込まれる所だったのだと想像するだけで身震いする。って、身震いする身体はもうないんだけどね?
あのとき手を伸ばすように広がって来た魔を感じたとき、気持ちが悪くてどうしようもなくて思い切って身体を捨てた。
まあ、やっぱり猫の身体だと限界があったし。
たぶんあの身体だとあたしの全開の魔力には耐えられなかただろうしね。ちょっと本気で魔力使おうと思っただけで身体の方が焼けちゃいそうになっちゃってたし。
しょうがなかったのかもしれない。
で、思い切って転移したのはよかったけど、身体もなしに魔・ギアも無しにだとちょっと何処に跳んで行くのかわからないような状態になって慌てて留まったら、そこが事象の果てだった。
泡のような世界が現れ消えるその様子が俯瞰して見えるそんな場所。
しばらくそこで漂っていた。
もしかしたら、無限の時を、ただただ漂って。
意識が保てなくて。
もうこのまま他の世界のようになっちゃってもいいのかな。
そんな諦観に支配されかけた時に思い出した。
ダメ。
あたし、レイアと約束した。
すぐもどってくるからね、って。
時間とか時空とかそういうものさえ曖昧になっていたそんな状態のあたし。
とにかく戻らなきゃ。
レイアの元に帰らなきゃ。
それだけを考えて。
跳んだのだ。
ただ一つの拠り所に向けて。
そこに、光が現れた。
それは、希望の光だとそう感じた。
それは段々と壁のようにあたしの前一面を埋めつくして。
あたしは、思い切って飛び込んで、その壁を突き抜ける。
そして──
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