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いつか王子様が。
あの人と知り合ったのは十六歳の時だった。
仕事にも、ちょっとなれたかなってころ。わたしは「ハナ」って名前でお店に出ていた。
なんだかわたしの身の上話みたいになって、色々お話していた時だった。
いきなり、「なあ。ハナ。私がプロポーズしたとしたら、君は受けてくれるかい?」っておっしゃったあの人。
流石に、ちょっと固まって。
だって、その会話の直前に、「金は出すから嫁に来い」って言い寄ってきた人の話もしたところだったのに。伯爵の第二夫人にしてくれるってそんな話をお断りしたって。
知らない人と結婚するなんてまっぴら。嫌だってそんな感じのことも話してたと思ったのににって。
「え、だって。わたし、あなたのこと、何もしらない、のよ……」
動揺して、声はうわずってた。
もちろん、彼はとてもハンサムで、冗談だとしても喜んでOKする子は多いだろう。
そうして冗談だって明かされ笑い飛ばす。
普通だったら、こんな夜のお店だもの、そんな会話の応酬で楽しむものだろうという、それくらいの分別はあった。
でも、彼の顔は冗談を言っているようには見えなかったのだ。わたしには。
真剣なお顔を少し崩して、彼は続けた。
「そうだよね、困るよね。だったらこういうのどうだろう? 三年だけでいい、私と夫婦を演じてはくれないか? 白い結婚を約束しよう。三年後には君を解放してあげる。そのあとは、君の恋を応援するよ」
「え?」
「実は私も、望まない結婚を強制されて困っているんだ。人助けだと思って受けてくれないか? もちろん報酬ははずむ。君の家の借金くらいなら肩代わりしてあげられるとおもうよ。これでも私の家は侯爵家だからね」
「え? 侯爵様!!? だって、そんな」
「はは。まだ爵位は継いでないけどね。爵位を継ぐにも独り身だといろいろ周囲がうるさいのさ」
「……」
黙り込んで、しまったわたし。
身の上話の最中に、借金があるならわたしならパトロンとかいくらでも捕まえられるだろうだなんて言われて、ちょっと悲しくなって。
好きじゃない人との身体の関係なんて、絶対に嫌だって。そうも言ったっけ。
もしかしたら……。
この人は、そこまで考えてこんな提案をしてくれたの?
パトロンとかそういうのではなく。
お互いに人助け、だなんて言ってるけど、絶対にわたしの方が貰いすぎることになる。
それなのに。
彼は、それでもいいと、そう言ってくれているの?
わたしを、この地獄から、救ってくれるの??
そう思ったら……。
断ることなんてできなかった……。
「どうだろう? 私は約束を守れない人にみえる?」
「いえ、そんなこと、ないです……」
「私は君の恋を妨げることはしない。君に好きな人ができたなら三年後には白い結婚だったと証明し、応援だってする。君は自由になれるんだ。だめ、かな?」
「それが本当なら……」
静かに頷く。わたしの顔は、真っ赤になっていたことだろう。
「本当だ、約束する」
彼はわたしの手をとって。
「この結婚は3年間の期限付き、契約婚だ。お互いに恋愛感情などなしに偽装夫婦を演じよう」
そう宣言した。
いつか王子様が、わたしを救ってくれる。
幼い頃はそんな夢を見たこともあった。
御伽話のような恋。
そんなものに夢を見たことも、あった。
今更、わたしの前にそんな王子様が現れるだなんて、思っても見なかった。
けど。
嬉しかった。
黄金の髪の王子様。
わたしの心は完全に彼に掴まれてしまっていた。
仕事にも、ちょっとなれたかなってころ。わたしは「ハナ」って名前でお店に出ていた。
なんだかわたしの身の上話みたいになって、色々お話していた時だった。
いきなり、「なあ。ハナ。私がプロポーズしたとしたら、君は受けてくれるかい?」っておっしゃったあの人。
流石に、ちょっと固まって。
だって、その会話の直前に、「金は出すから嫁に来い」って言い寄ってきた人の話もしたところだったのに。伯爵の第二夫人にしてくれるってそんな話をお断りしたって。
知らない人と結婚するなんてまっぴら。嫌だってそんな感じのことも話してたと思ったのににって。
「え、だって。わたし、あなたのこと、何もしらない、のよ……」
動揺して、声はうわずってた。
もちろん、彼はとてもハンサムで、冗談だとしても喜んでOKする子は多いだろう。
そうして冗談だって明かされ笑い飛ばす。
普通だったら、こんな夜のお店だもの、そんな会話の応酬で楽しむものだろうという、それくらいの分別はあった。
でも、彼の顔は冗談を言っているようには見えなかったのだ。わたしには。
真剣なお顔を少し崩して、彼は続けた。
「そうだよね、困るよね。だったらこういうのどうだろう? 三年だけでいい、私と夫婦を演じてはくれないか? 白い結婚を約束しよう。三年後には君を解放してあげる。そのあとは、君の恋を応援するよ」
「え?」
「実は私も、望まない結婚を強制されて困っているんだ。人助けだと思って受けてくれないか? もちろん報酬ははずむ。君の家の借金くらいなら肩代わりしてあげられるとおもうよ。これでも私の家は侯爵家だからね」
「え? 侯爵様!!? だって、そんな」
「はは。まだ爵位は継いでないけどね。爵位を継ぐにも独り身だといろいろ周囲がうるさいのさ」
「……」
黙り込んで、しまったわたし。
身の上話の最中に、借金があるならわたしならパトロンとかいくらでも捕まえられるだろうだなんて言われて、ちょっと悲しくなって。
好きじゃない人との身体の関係なんて、絶対に嫌だって。そうも言ったっけ。
もしかしたら……。
この人は、そこまで考えてこんな提案をしてくれたの?
パトロンとかそういうのではなく。
お互いに人助け、だなんて言ってるけど、絶対にわたしの方が貰いすぎることになる。
それなのに。
彼は、それでもいいと、そう言ってくれているの?
わたしを、この地獄から、救ってくれるの??
そう思ったら……。
断ることなんてできなかった……。
「どうだろう? 私は約束を守れない人にみえる?」
「いえ、そんなこと、ないです……」
「私は君の恋を妨げることはしない。君に好きな人ができたなら三年後には白い結婚だったと証明し、応援だってする。君は自由になれるんだ。だめ、かな?」
「それが本当なら……」
静かに頷く。わたしの顔は、真っ赤になっていたことだろう。
「本当だ、約束する」
彼はわたしの手をとって。
「この結婚は3年間の期限付き、契約婚だ。お互いに恋愛感情などなしに偽装夫婦を演じよう」
そう宣言した。
いつか王子様が、わたしを救ってくれる。
幼い頃はそんな夢を見たこともあった。
御伽話のような恋。
そんなものに夢を見たことも、あった。
今更、わたしの前にそんな王子様が現れるだなんて、思っても見なかった。
けど。
嬉しかった。
黄金の髪の王子様。
わたしの心は完全に彼に掴まれてしまっていた。
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