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聖剣。
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え?
パチン、と。
彼のその差し出された手をはたいたのはあたしではなくノワだった。
「さっきも言ったろう? 断る、と」
そう言ってノワ、あたしをそっと抱き抱えると背後に飛び、レヒトと距離を取る。
「な、なぜだノワール! なぜお前までもがこの高みにこれる!?」
初めて。
悪魔レヒトの顔に驚愕の表情が浮かぶ。
この高次空間、精神世界。
神の住まう場所に近い、真那《マナ》の地だと。
そうレヒトが断言したこの高み。
そこにノワが現れたことがそこまで意外だったのか? レヒトの顔は驚きに歪んでいる。
「さあ、どうしてだろうな? でも俺はマキナと一緒ならどこまでも行ける。彼女と一緒ならどんな場所でも、だ」
そういうとノワ、あたしの方を見て。
「言っただろ? 君は俺が絶対に守る、って」
そう言ってウインクして。
はは。あはは。
もう、ノワ。
あなたには叶わないわ。
「あたしも、絶対にノワを助けるんだから」
あたしはそう言って両手に二つの召喚魔法陣を起動した。
「サモン!」
顕現する二体の竜。
白銀の聖竜エレメンタルクリスタル。
そして。
あたしのとっておき、竜たちのまとめ役、七色竜である神竜、オーバーザレインボウ。
「お願いドラコたち、ノワを護って!」
ここは精神世界。
物理的なドラゴンの力ではなくて、きっと精霊ギアとしての竜種の力が必要だから!
まずエレメンタルクリスタルがその巨体を白銀の粒子に変え、ノワールの体に纏わりつく。
顕現したのは聖魔具《アーティファクト》白銀の竜鎧《ドラゴメイル》。
そして。
神竜オーバーザレインボウはその体を一本の剣へと変化させる!
聖剣七支刀《レーヴァテイン》。
七色に輝くその聖剣はススっとノワの右手に収まった。
ちょっと驚いた顔のノワ。
でもすぐに笑顔になって。
「ありがとうマキナ」
そういうとそのまま真っ黒なふさふさの羽を広げ、レヒトに向かって飛びかかった。
ガキン!!
聖剣を振り翳しレヒトに迫るノワ。
レヒトもその手に漆黒に塗りつぶされたような黒い剣を持ち、相対した。
鋭くぶつかる剣。
驚愕の表情のままのレヒト。
「なぜだノワールー!!」
とそう叫ぶ。
「なぜお前は、ワタシがやっとの思いで手に入れたものをそういともかんたんに手にすることができるというんだ! なぜだ!」
ガン!
レヒトの剣が真横に滑る。
ノワールはそれを受けつつジャンプ。
レヒトの背後から聖剣を振り下ろした。
「なぜって、意味がわからないよ! 兄さん!」
「お前はワタシが欲しいものをみんな持っていたじゃないか! 憎かった、だから!」
振り返りノワールの剣を受けそう叫ぶレヒト。
って、あれ!?
どうして?
レヒトは本物のレヒトを食べちゃった悪魔、でしょ!?
そうしてそんな、本物のレヒトみたいなこと言うの!?
パチン、と。
彼のその差し出された手をはたいたのはあたしではなくノワだった。
「さっきも言ったろう? 断る、と」
そう言ってノワ、あたしをそっと抱き抱えると背後に飛び、レヒトと距離を取る。
「な、なぜだノワール! なぜお前までもがこの高みにこれる!?」
初めて。
悪魔レヒトの顔に驚愕の表情が浮かぶ。
この高次空間、精神世界。
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そうレヒトが断言したこの高み。
そこにノワが現れたことがそこまで意外だったのか? レヒトの顔は驚きに歪んでいる。
「さあ、どうしてだろうな? でも俺はマキナと一緒ならどこまでも行ける。彼女と一緒ならどんな場所でも、だ」
そういうとノワ、あたしの方を見て。
「言っただろ? 君は俺が絶対に守る、って」
そう言ってウインクして。
はは。あはは。
もう、ノワ。
あなたには叶わないわ。
「あたしも、絶対にノワを助けるんだから」
あたしはそう言って両手に二つの召喚魔法陣を起動した。
「サモン!」
顕現する二体の竜。
白銀の聖竜エレメンタルクリスタル。
そして。
あたしのとっておき、竜たちのまとめ役、七色竜である神竜、オーバーザレインボウ。
「お願いドラコたち、ノワを護って!」
ここは精神世界。
物理的なドラゴンの力ではなくて、きっと精霊ギアとしての竜種の力が必要だから!
まずエレメンタルクリスタルがその巨体を白銀の粒子に変え、ノワールの体に纏わりつく。
顕現したのは聖魔具《アーティファクト》白銀の竜鎧《ドラゴメイル》。
そして。
神竜オーバーザレインボウはその体を一本の剣へと変化させる!
聖剣七支刀《レーヴァテイン》。
七色に輝くその聖剣はススっとノワの右手に収まった。
ちょっと驚いた顔のノワ。
でもすぐに笑顔になって。
「ありがとうマキナ」
そういうとそのまま真っ黒なふさふさの羽を広げ、レヒトに向かって飛びかかった。
ガキン!!
聖剣を振り翳しレヒトに迫るノワ。
レヒトもその手に漆黒に塗りつぶされたような黒い剣を持ち、相対した。
鋭くぶつかる剣。
驚愕の表情のままのレヒト。
「なぜだノワールー!!」
とそう叫ぶ。
「なぜお前は、ワタシがやっとの思いで手に入れたものをそういともかんたんに手にすることができるというんだ! なぜだ!」
ガン!
レヒトの剣が真横に滑る。
ノワールはそれを受けつつジャンプ。
レヒトの背後から聖剣を振り下ろした。
「なぜって、意味がわからないよ! 兄さん!」
「お前はワタシが欲しいものをみんな持っていたじゃないか! 憎かった、だから!」
振り返りノワールの剣を受けそう叫ぶレヒト。
って、あれ!?
どうして?
レヒトは本物のレヒトを食べちゃった悪魔、でしょ!?
そうしてそんな、本物のレヒトみたいなこと言うの!?
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