59 / 61
魔力特性値の概念。
しおりを挟むあたしとノワは同時に飛び上がり、レヒトに迫った。
あたしの白いふわふわな天使の羽と、ノワの黒いやっぱりふわふわな毛で覆われた羽が重なるように開いて。
レヒトは右手に黒い剣、左手に黒い棍棒のようなものを掴んで振り回す。そこからやはり黒い霧のようなものが広がり、あたしたちに襲い掛かった。
「マギア・ウォール!!」
あたしはその霧を阻む次元の壁を展開。
右手を伸ばしてあたしとノワを覆うよう、球状に張り巡らせた。
バリバリと弾けるように襲い掛かるその霧。ううん、細かい砂の礫みたい?
「紫香蓬莱《ライラック・ミラージュ》!!」
あたしは左手の盾のうち、黄竜の権能を解放!
マナをも砕く、その咆哮《ブレス》を放つ!
あたしの左目のドラゴンズアイが黄金に輝きその権能を完全にコントロールする。
砂の礫のように見えるその黒い霧、一粒一粒を砕き、昇華させていった。
鬼のような形相のそのレヒトにノワが迫り、聖剣を振り下ろす。
レヒトは黒い剣と棍棒で相対しているけれど。
うん。ちょっと変。
レヒトの魔力量が桁外れなのはわかる。
感じるプレッシャーが半端ない。それはもう激昂してからはもっと顕著になっている。
だけど?
レヒトが放つ圧をノワに影響しないようあたしが受け流す。
その分、ノワの攻撃が押している感じで。
あたしはノワが攻撃をする隙にライラック・ミラージュを連射する。
あの大きい魂《レイス》を削りながら、少しずつダメージを与えていく。
それにしても。
もしかして。
レヒトの魔法は、力まかせ?
大量の魔、マナ頼り?
あれだけの魔力量、もっとちゃんとした魔法陣を展開し、しっかりと聖霊ギアと連携しさえすればあたしたちなんか圧倒する力を発揮できるだろうに。
まさか。
魔力特性値《マギアスキル》の概念が彼には無い?
ああ。
可能性、あるかもだ。
元々のレヒトは魔法にはあまり縁がなかった。だとしたら。
やっぱり歪なのだ。
力だけを追い求めた結果の歪。
あたしの紫香蓬莱《ライラック・ミラージュ》が効いているようで、だんだんと肩で息をするような仕草にかわるレヒト。
疲れている?
うん。
顔色もずいぶんと青くなって。
精神生命体であるレヒト。
そんな人間臭い疲れとかとは無縁な気がしていたけど、ううん、これは。
イメージなのか。
ダメージを受け、だんだんとその存在値が薄くなってきたそんなイメージがこういう姿になって現れているのかも。
「ノワ! 離れて!」
もう、いいだろう。
彼を楽にしてあげなくちゃ。
レヒトを浄化する。
ううん、彼を、本当のレヒトの心を何とか円環に返してあげる。
でなければ、悲しい。
このまま悲しいままは嫌だ。
ここはマギアクエストの世界だった。
でも。
人が悲しみと幸福に生きる現実の世界だ。
ゲームなんかじゃない。
お遊びなんかじゃない。
だから。
あたしは両手を組んで前に突き出すようにして唱えた。
「円環の昇華!!!」
サークレットリンカネーション
円環に、レヒトの魂を還すのだ。
0
あなたにおすすめの小説
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
没落領地の転生令嬢ですが、領地を立て直していたら序列一位の騎士に婿入りされました
藤原遊
ファンタジー
魔力不足、財政難、人手不足。
逃げ場のない没落領地を託された転生令嬢は、
“立て直す”以外の選択肢を持たなかった。
領地経営、改革、そして予想外の縁。
没落から始まる再建の先で、彼女が選ぶ未来とは──。
※完結まで予約投稿しました。安心してお読みください。
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる