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孝文とサクラコのプチ旅行(車検)③
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SAの施設は、入ると目の前には土産が売っている売店が広がっていた。その地域の特産物で作った菓子類や食材、食べ物以外にもご当地ストラップなども取り揃えられている。
そんな目の前に広がる光景をサクラコは目を爛々と輝かせながら見つめていた。若干口が半開きになってるぞ。
「ふおぉっ、凄い! 人いっぱいだし、なんかいっぱい売ってる!」
「人多いなぁ。日曜日だからって、こんなに混むもんなのか? 大型連休でもあるまいし」
まるでGWなのかと錯覚するほど施設内は人がひしめき合っていた。とはいえ、この込み合いは土産屋付近のみだ。飲食店の並ぶ場所は比較的人が少なく見える。まだ昼前だからだろうか。
「孝文みてみて! これ鷺ノ宮先生が好きそう!」
「そ、それは……っ!」
サクラコが手に持っていた物は、よく土産屋で目にする金属製の剣を模したストラップだ。龍が巻き付いているデザインは、年頃の男の子を奮い立たせる造形をしていた。かくいう俺も、小、中学生くらいの頃は修学旅行で買ったものだ。いやはや、お恥ずかしい限りです。
「……確かに、あの先生ならめっちゃ好きそうだな」
「でしょ! お土産に買っていこうかなぁ。他にもいろんな人にお土産買いたい!」
「まぁいいとは思うが……買うのは帰りにしような。これから車預けるんだし、荷物あっても邪魔になっちゃうからな」
「じゃあ今は下見だっ!」
そう言うとサクラコははやく見て回りたいのか足踏みをしだした。
「おー、じゃあ好きに見て回っていいぞー。俺はトイレ行ってくるわ」
「やったー! じゃあ見て回る!」
「走り回るなよー」
「はーい!」
サクラコは走りはしないものの、だいぶ速足で食材の売っているコーナーへと歩き出した。
さて、俺はトイレに行きましょか。
トイレから戻ると、この人混みの中にも関わらずすぐにサクラコを見つける事が出来た。
一体何をしてるんだ……?
サクラコはスムージーをその場で作って売っている店の前で、商品が作られる様子を眺めていた。
「サクラコ、何してるんだ?」
「あっ、孝文おかえりー。あのね、ガーってやったら飲み物ができるの!」
サクラコの言うガーっとはミキサーの事だろう。
スムージーは食物繊維たっぷりで栄養満点とは聞くが、俺は飲んだことがなかった。よく海外セレブが愛飲しているらしいが、どうなんだろうか。
「気になるのか?」
「なんかね、作ってるの見てて楽しいんだぁ」
「そうかぁ、楽しいかぁ」
俺もつられて作っている過程を見てみるが、食材をそのままミキサーに突っ込んで細かくしているだけに見える。野菜そのものに含まれる水分が多いからか、水やら牛乳やらも入れているようだが入れている量は少なく見えた。
「おひとつ、如何ですか?」
俺達が熱心に見ているからか、店員のお姉さんが声をかけてきた。
「そうですね、オススメを二つお願いします」
「買ってくれるの? やったー!」
「オススメはさつまいもスムージーになります。美味しいですよ」
わぉ、思っていたのより異彩を放つものをオススメされてしまった。
むむむ……人生初スムージーが、さつまいも……どうせなら野菜のがよかったのだが、オススメなんだからしょうがないか。ミキサーさえあれば家でも比較的簡単に作れそうだし、野菜のスムージーは今度作り方を調べて家で作るか。
「じゃあ、それでお願いします」
「はい、では少々お待ち下さい」
俺が注文すると、店員のお姉さんは手際よくスムージーを作り出した。
蒸されたさつまいもと牛乳、はちみつ、氷をミキサーに入れ、攪拌させる。材料も少なく作業自体もそれだけだが、攪拌される具材がどんどんと滑らかになっていくのが見ていて楽しかった。
攪拌が終われば、容器に移して出来上がり。俺は支払いをしてスムージーを二つ受け取り、片方をサクラコに渡す。
「美味しそうっ!」
「せっかくだし、外にベンチあったからそこで飲むか」
「あいっ!」
俺達はまだスムージーには口をつけず、ひとまずは人の多い屋内から出て陽当たりの良いベンチがある場所まで移動した。
運の良い事にちょうど空いてるベンチがあったので俺達はそこに腰をおろし、十一月末の肌寒い風を感じさせないような心地良い太陽の光を浴びながらスムージーを飲み出した。
一口飲むと、さつまいもの甘さとはちみつの甘さをほのかに感じ、しつこい甘さでは無くとても飲みやすかった。美味しい。美味しいのだが、これは……
「スムージーってか、シェイクだな……」
さつまいものスムージーは、ただの甘さ控えめさつまいもシェイクだった。
いやね、うん。美味いのよ。俺さつまいも好きだし。
「すっごく美味しいねっ!」
「そうだなぁ……まぁ、サクラコが嬉しそうならそれでいいか」
それから、俺達はさつまいもシェイクもとい、さつまいもスムージーを談笑しながら飲み切り、再び車に乗り込むのだった。
●あとがき
クロエ「スムージーとシェイクの違いって何なのかしらね」
烏骨隊長「スムージーは凍らせた果物、又は野菜等を使ったシャーベット状の飲み物である。クラッシュドアイスを使用したフローズンドリンクやフローズンカクテル、アイスクリームと牛乳で作るシェイクなどにも似ている」
クロエ「それどこから引用してきたのよ」
烏骨隊長「wikiだ」
クロエ「あんたネット使えるのね……」
そんな目の前に広がる光景をサクラコは目を爛々と輝かせながら見つめていた。若干口が半開きになってるぞ。
「ふおぉっ、凄い! 人いっぱいだし、なんかいっぱい売ってる!」
「人多いなぁ。日曜日だからって、こんなに混むもんなのか? 大型連休でもあるまいし」
まるでGWなのかと錯覚するほど施設内は人がひしめき合っていた。とはいえ、この込み合いは土産屋付近のみだ。飲食店の並ぶ場所は比較的人が少なく見える。まだ昼前だからだろうか。
「孝文みてみて! これ鷺ノ宮先生が好きそう!」
「そ、それは……っ!」
サクラコが手に持っていた物は、よく土産屋で目にする金属製の剣を模したストラップだ。龍が巻き付いているデザインは、年頃の男の子を奮い立たせる造形をしていた。かくいう俺も、小、中学生くらいの頃は修学旅行で買ったものだ。いやはや、お恥ずかしい限りです。
「……確かに、あの先生ならめっちゃ好きそうだな」
「でしょ! お土産に買っていこうかなぁ。他にもいろんな人にお土産買いたい!」
「まぁいいとは思うが……買うのは帰りにしような。これから車預けるんだし、荷物あっても邪魔になっちゃうからな」
「じゃあ今は下見だっ!」
そう言うとサクラコははやく見て回りたいのか足踏みをしだした。
「おー、じゃあ好きに見て回っていいぞー。俺はトイレ行ってくるわ」
「やったー! じゃあ見て回る!」
「走り回るなよー」
「はーい!」
サクラコは走りはしないものの、だいぶ速足で食材の売っているコーナーへと歩き出した。
さて、俺はトイレに行きましょか。
トイレから戻ると、この人混みの中にも関わらずすぐにサクラコを見つける事が出来た。
一体何をしてるんだ……?
サクラコはスムージーをその場で作って売っている店の前で、商品が作られる様子を眺めていた。
「サクラコ、何してるんだ?」
「あっ、孝文おかえりー。あのね、ガーってやったら飲み物ができるの!」
サクラコの言うガーっとはミキサーの事だろう。
スムージーは食物繊維たっぷりで栄養満点とは聞くが、俺は飲んだことがなかった。よく海外セレブが愛飲しているらしいが、どうなんだろうか。
「気になるのか?」
「なんかね、作ってるの見てて楽しいんだぁ」
「そうかぁ、楽しいかぁ」
俺もつられて作っている過程を見てみるが、食材をそのままミキサーに突っ込んで細かくしているだけに見える。野菜そのものに含まれる水分が多いからか、水やら牛乳やらも入れているようだが入れている量は少なく見えた。
「おひとつ、如何ですか?」
俺達が熱心に見ているからか、店員のお姉さんが声をかけてきた。
「そうですね、オススメを二つお願いします」
「買ってくれるの? やったー!」
「オススメはさつまいもスムージーになります。美味しいですよ」
わぉ、思っていたのより異彩を放つものをオススメされてしまった。
むむむ……人生初スムージーが、さつまいも……どうせなら野菜のがよかったのだが、オススメなんだからしょうがないか。ミキサーさえあれば家でも比較的簡単に作れそうだし、野菜のスムージーは今度作り方を調べて家で作るか。
「じゃあ、それでお願いします」
「はい、では少々お待ち下さい」
俺が注文すると、店員のお姉さんは手際よくスムージーを作り出した。
蒸されたさつまいもと牛乳、はちみつ、氷をミキサーに入れ、攪拌させる。材料も少なく作業自体もそれだけだが、攪拌される具材がどんどんと滑らかになっていくのが見ていて楽しかった。
攪拌が終われば、容器に移して出来上がり。俺は支払いをしてスムージーを二つ受け取り、片方をサクラコに渡す。
「美味しそうっ!」
「せっかくだし、外にベンチあったからそこで飲むか」
「あいっ!」
俺達はまだスムージーには口をつけず、ひとまずは人の多い屋内から出て陽当たりの良いベンチがある場所まで移動した。
運の良い事にちょうど空いてるベンチがあったので俺達はそこに腰をおろし、十一月末の肌寒い風を感じさせないような心地良い太陽の光を浴びながらスムージーを飲み出した。
一口飲むと、さつまいもの甘さとはちみつの甘さをほのかに感じ、しつこい甘さでは無くとても飲みやすかった。美味しい。美味しいのだが、これは……
「スムージーってか、シェイクだな……」
さつまいものスムージーは、ただの甘さ控えめさつまいもシェイクだった。
いやね、うん。美味いのよ。俺さつまいも好きだし。
「すっごく美味しいねっ!」
「そうだなぁ……まぁ、サクラコが嬉しそうならそれでいいか」
それから、俺達はさつまいもシェイクもとい、さつまいもスムージーを談笑しながら飲み切り、再び車に乗り込むのだった。
●あとがき
クロエ「スムージーとシェイクの違いって何なのかしらね」
烏骨隊長「スムージーは凍らせた果物、又は野菜等を使ったシャーベット状の飲み物である。クラッシュドアイスを使用したフローズンドリンクやフローズンカクテル、アイスクリームと牛乳で作るシェイクなどにも似ている」
クロエ「それどこから引用してきたのよ」
烏骨隊長「wikiだ」
クロエ「あんたネット使えるのね……」
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