21 / 106
脅迫状パニック!
脅迫状パニック!⑩
しおりを挟む
「えー、西園寺凛さん?AshurA…アシュラって読むの?そのアシュラのメインヴォーカル……つまり歌手ってことね?」
「はい」
楽屋の一つを使って、警察による事情聴取が行われている。
おれは白髪混じりの初老の刑事の前に座ると名前と職業を確認される。
増田と名乗った初老の刑事は、断りもなく煙草を吹かすと、灰皿に押し付けた。
「ええと……あなたが今回、落ちた照明の下にいた人?」
「はい」
おれはそう言うと、燻ってきた煙を手で払う。
「あー……なんか脅迫状貰ってた人もあなただね」
「……はい」
増田警部補は頭をガシガシとかくと、じっとりとした目でおれを見る。
「なんか恨みとか買ってないの?女とか」
「……女性関係の恨みは無いと思います」
「本当に?あなたほら、今風にいうとイケメン?だし、女とか取っ替え引っ替えとかしてないのー?」
なんだこの刑事!
名誉毀損で訴えられても仕方がない様なこと言いやがって……。
おれはムカムカする心を落ち着けると、一つ息を吐いて再度否定する。
「おれは、女性にそんな失礼なことはしません」
「ああそう。ふーん」
増田警部補はそう言うともう一本タバコに火をつけ、フーッと煙を吐く。
「じゃあなんでこんな風に狙われるの?理由なく狙われるとかある?」
「おれが知りたいです。というか、それを調べるのがあなた方の仕事なんじゃないですか?」
「だから、調べてるじゃないの、今」
煙草を持った指で眉毛をかくと、増田警部補はため息をつく。
「でもねえ、なーんの恨みもないのにここまでされるかねえ?」
「それはそうかも知れませんが、心当たりはないって言ってるんです」
おれは、極力イライラを抑えながらも、相当低い声が出てしまった。
増田警部補はなるほどねえ、とブツブツ言いながらおれのプロフィールを見ている。
「わかりました、いいでしょう。でもね、あなた、今回運が良かったから生きてるけど、次は命無いかもしれないよ?なんか思い出したらちゃんと言ってね」
そう言うと、警部補はおれを部屋の外に追いやる。
な……なんっっっだあの刑事!!
おれは盛大にムカつきながらも、自分たちの楽屋に戻る。
「凛さん!」
「凛!」
「大丈夫?顔、真っ青だよ」
おれは敦士とメンバーの顔を見て気が緩むと、悔しさからまた目に涙が滲んでくる。
「あのクソ刑事!!」
おれの態度を見て、先に事情聴取を受けていた他のメンバーが「やっぱりな」と言う顔をする。
「やっぱり、凛もデリカシーのない事言われたか」
清十郎が苦々しい顔でそう言う。
「おれが女取っ替え引っ替えして恨みを買ったとか、つぎはこ、殺される…とか……!勝手に決めつけて……」
「……!」
優の目が険しく細まる。
「は?なにそれ。デリカシーない以前に、人として失礼極まりないね」
敦士はおれの顔を見ると、強い口調で言う。
「それは流石に失礼すぎます。事務所からも抗議をしてもらいます!」
そう言って、敦士が楽屋を出て行く。
おれは畳の上に座ると、思わずため息が出る。
「次は殺される、か……」
「そんなことはおれたちがさせない!」
一哉の強い口調に、おれは思わず顔をあげる。
「一哉……」
「……だから落ち着け。あんなクソ親父の言うことなんか気にするな」
「ーーわかった」
おれはそう言うと、ペットボトルのお茶を飲む。
ふと指を見ると、この事件の最初についた傷が目に入る。
実際にはこの何日か前から脅迫状が届いていたらしいけど、この剃刀から照明まで、どんどんとことが大きくなってきている。
おれは指の傷を眺めると、不意に恐ろしさが込み上げてくる。
もし、これで次に怪我をしたのが自分じゃなくてメンバーだったら?
おれの代わりに怪我をしたり……最悪ーー。
そこまで考えて、ブルっと身体が震える。
「あー。まぁたマイナスなこと考えてる!」
翔太はそう言うと、おれの横に腰を下ろして肩を抱いた。
「おれたちは大丈夫だーって!もちろん凛も!すぐに犯人は捕まるよ」
翔太の言葉に、そこにいる全員が頷く。
「はい」
楽屋の一つを使って、警察による事情聴取が行われている。
おれは白髪混じりの初老の刑事の前に座ると名前と職業を確認される。
増田と名乗った初老の刑事は、断りもなく煙草を吹かすと、灰皿に押し付けた。
「ええと……あなたが今回、落ちた照明の下にいた人?」
「はい」
おれはそう言うと、燻ってきた煙を手で払う。
「あー……なんか脅迫状貰ってた人もあなただね」
「……はい」
増田警部補は頭をガシガシとかくと、じっとりとした目でおれを見る。
「なんか恨みとか買ってないの?女とか」
「……女性関係の恨みは無いと思います」
「本当に?あなたほら、今風にいうとイケメン?だし、女とか取っ替え引っ替えとかしてないのー?」
なんだこの刑事!
名誉毀損で訴えられても仕方がない様なこと言いやがって……。
おれはムカムカする心を落ち着けると、一つ息を吐いて再度否定する。
「おれは、女性にそんな失礼なことはしません」
「ああそう。ふーん」
増田警部補はそう言うともう一本タバコに火をつけ、フーッと煙を吐く。
「じゃあなんでこんな風に狙われるの?理由なく狙われるとかある?」
「おれが知りたいです。というか、それを調べるのがあなた方の仕事なんじゃないですか?」
「だから、調べてるじゃないの、今」
煙草を持った指で眉毛をかくと、増田警部補はため息をつく。
「でもねえ、なーんの恨みもないのにここまでされるかねえ?」
「それはそうかも知れませんが、心当たりはないって言ってるんです」
おれは、極力イライラを抑えながらも、相当低い声が出てしまった。
増田警部補はなるほどねえ、とブツブツ言いながらおれのプロフィールを見ている。
「わかりました、いいでしょう。でもね、あなた、今回運が良かったから生きてるけど、次は命無いかもしれないよ?なんか思い出したらちゃんと言ってね」
そう言うと、警部補はおれを部屋の外に追いやる。
な……なんっっっだあの刑事!!
おれは盛大にムカつきながらも、自分たちの楽屋に戻る。
「凛さん!」
「凛!」
「大丈夫?顔、真っ青だよ」
おれは敦士とメンバーの顔を見て気が緩むと、悔しさからまた目に涙が滲んでくる。
「あのクソ刑事!!」
おれの態度を見て、先に事情聴取を受けていた他のメンバーが「やっぱりな」と言う顔をする。
「やっぱり、凛もデリカシーのない事言われたか」
清十郎が苦々しい顔でそう言う。
「おれが女取っ替え引っ替えして恨みを買ったとか、つぎはこ、殺される…とか……!勝手に決めつけて……」
「……!」
優の目が険しく細まる。
「は?なにそれ。デリカシーない以前に、人として失礼極まりないね」
敦士はおれの顔を見ると、強い口調で言う。
「それは流石に失礼すぎます。事務所からも抗議をしてもらいます!」
そう言って、敦士が楽屋を出て行く。
おれは畳の上に座ると、思わずため息が出る。
「次は殺される、か……」
「そんなことはおれたちがさせない!」
一哉の強い口調に、おれは思わず顔をあげる。
「一哉……」
「……だから落ち着け。あんなクソ親父の言うことなんか気にするな」
「ーーわかった」
おれはそう言うと、ペットボトルのお茶を飲む。
ふと指を見ると、この事件の最初についた傷が目に入る。
実際にはこの何日か前から脅迫状が届いていたらしいけど、この剃刀から照明まで、どんどんとことが大きくなってきている。
おれは指の傷を眺めると、不意に恐ろしさが込み上げてくる。
もし、これで次に怪我をしたのが自分じゃなくてメンバーだったら?
おれの代わりに怪我をしたり……最悪ーー。
そこまで考えて、ブルっと身体が震える。
「あー。まぁたマイナスなこと考えてる!」
翔太はそう言うと、おれの横に腰を下ろして肩を抱いた。
「おれたちは大丈夫だーって!もちろん凛も!すぐに犯人は捕まるよ」
翔太の言葉に、そこにいる全員が頷く。
33
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜
陽七 葵
BL
主人公オリヴァーの妹ノエルは五歳の時に前世の記憶を思い出す。
この世界はノエルの知り得る世界ではなかったが、ピンク髪で光魔法が使えるオリヴァーのことを、きっとこの世界の『主人公』だ。『勇者』になるべきだと主張した。
そして一番の問題はノエルがBL好きだということ。ノエルはオリヴァーと幼馴染(男)の関係を恋愛関係だと勘違い。勘違いは勘違いを生みノエルの頭の中はどんどんバラの世界に……。ノエルの餌食になった幼馴染や訳あり王子達をも巻き込みながらいざ、冒険の旅へと出発!
ノエルの絵は周囲に誤解を生むし、転生者ならではの知識……はあまり活かされないが、何故かノエルの言うことは全て現実に……。
友情から始まった恋。終始BLの危機が待ち受けているオリヴァー。はたしてその貞操は守られるのか!?
オリヴァーの冒険、そして逆ハーレムの行く末はいかに……異世界転生に巻き込まれた、コメディ&BL満載成り上がりファンタジーどうぞ宜しくお願いします。
※初めの方は冒険メインなところが多いですが、第5章辺りからBL一気にきます。最後はBLてんこ盛りです※
BLゲームの脇役に転生したはずなのに
れい
BL
腐男子である牧野ひろは、ある日コンビニ帰りの事故で命を落としてしまう。
しかし次に目を覚ますと――そこは、生前夢中になっていた学園BLゲームの世界。
転生した先は、主人公の“最初の友達”として登場する脇役キャラ・アリエス。
恋愛の当事者ではなく安全圏のはず……だったのに、なぜか攻略対象たちの視線は主人公ではなく自分に向かっていて――。
脇役であるはずの彼が、気づけば物語の中心に巻き込まれていく。
これは、予定外の転生から始まる波乱万丈な学園生活の物語。
⸻
脇役くん総受け作品。
地雷の方はご注意ください。
随時更新中。
転生したが陰から推し同士の絡みを「バレず」に見たい
むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。
ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。
しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。
今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった!
目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!?
俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!?
「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
メインキャラ達の様子がおかしい件について
白鳩 唯斗
BL
前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。
サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。
どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。
ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。
世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。
どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!
主人公が老若男女問わず好かれる話です。
登場キャラは全員闇を抱えています。
精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。
BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。
恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。
クラスのボッチくんな僕が風邪をひいたら急激なモテ期が到来した件について。
とうふ
BL
題名そのままです。
クラスでボッチ陰キャな僕が風邪をひいた。友達もいないから、誰も心配してくれない。静かな部屋で落ち込んでいたが...モテ期の到来!?いつも無視してたクラスの人が、先生が、先輩が、部屋に押しかけてきた!あの、僕風邪なんですけど。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる