神様の御使い?見習い子狐の料理日記

四季 葉

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私がこの地へきた理由

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 ――東京から長野県に引っ越してきて一ヶ月が過ぎようとしていた。

 この山間の小さな町に住み始めたときは、じりじりと日差しの強い、いかにも夏って感じだったのに、気がつけばもう秋の気配がする。
 二十歳を過ぎると時間が経つのが早いとは聞いてはいたが、本当にあっという間に時間は過ぎていく。
 もしかしてこの調子で私、あっという間におばあちゃんになってしまうのかもしれないと、そんなどうでもいいことを考えながら、ここに来てからの日課となっている朝の支度に取りかかる。

 まず私の布団をたたみ身支度を整えると、朝の支度に取りかかる。私が朝ごはんを食べる前に、まずは玄関を出て家の敷地の中にある祠へと向かうのだ。
 その祠には、この家を守って下さる神様にお仕えする、御使い様がいらっしゃる。まずは御使い様の祠の掃除と朝のご挨拶、それとお供えをするためだ。

 私の名前は卯月うつき 沙耶さや、二十六歳。東京で生まれずっと都会で暮していた。
 文系の大学を卒業してからは、満員電車で通勤しずっと働くだけの毎日だった。
 それでも夢だった法律事務所で、下っ端とはいえそれでも一生懸命に働いていたが…理不尽といえる不当解雇に遭い、傷心のまま逃げるようにこの地へとやってきた。

 私の両親は東京に住んではいるが、正直今は会いたくない。この地にいることは、メールでは伝えてはいるがそれ以外の会話はしたくないのだ。
 両親なりに心配はしているのはわかってはいるが、お前の努力が足りなかったとか、もっと早くこの事務所を辞めたほうが良かったんじゃないの? と言ってきたが、
 私が前にこの事務所を辞めたい! って言ったとき、辞めることは逃げているだけだっから絶対に辞めるな! とか言ってきたくせに、どの口が言うのかと…怒りと反感をおぼえてしまう。
 今は、心の整理をしたい……ただそれだけだ。だから私は、両親とは距離をとろうと決めたのだ。


 ここは、父方にあたる私の祖母が住んでいた山間にある小さな町。
 そこには亡くなった祖母が残してくれた古民家があり、私は今そこに住んでいる。
 大好きだったお祖母ちゃんの家と山里の風景。ここで暮していればいつの日にか自分を取り戻し、ちゃんと両親とも向き合える、そんな気がしたのだ。
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