包んで、重ねて ～歳の差夫婦の極甘新婚生活～

７５

「おかえりなさい」

　よのぎさんは今、巻き料理にはまっている。おせちがきれいだったからだろう。オーブンの延長で難しいことはない。肉にチーズ、魚と大葉、きのこに海苔。クルクルして味付けをしてオーブンへ。あとからタレをつけることもある。今日は後者。ポン酢が用意してあった。

「よのぎさん、なんか機嫌いい？」
「そんなことないよ」
　なんだろう。夫の勘が働く。よのぎさんはお給料日が嬉しいのか、月末だと豪華な食事になるけれど、新年になったばかりだし。

「いい肉が安く買えた？」
「今日は買い物へは行っていません」
「おじいちゃんから連絡が来た？」
「あの電話嫌いがするわけない」
　電話をしてもいつも一分程度で終了。うちの父もそうだった。電話なんて用件だけ話すものだ。

「弟さんが来たとか？」
「金の無心に？」
「そんな悪い子じゃないだろう？」
　夫なのによのぎさんの気持ちがわからない。

　寝る前まで考えた。
　商品券が当たったのでもないし、普通の女の人ならダイエットに成功したと喜ぶのだろうがよのぎさんは太りたい人だし、かと言ってそんなに体重は増えていないようだ。

　よのぎさんが喜びそうなこと、なんだろうか。