包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見

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 数日間、不眠不休。
 巴さんの声掛けで、社長組以外も手伝いに来てくれた。

 納得なんてしてはいけない気がする。嫌だな。強気になりたくない。しかし、頼れる羽切さんはいないのだ。

 アクセサリーなどの小物も選ぶ。小曽根くんは僕に感覚が近すぎて、
「いいですね」
 と反論してくれない。

「由愛ちゃん、見て」
 羽切さんとか由愛ちゃんのように意見をしてくれる人が好きなわけじゃない。最良を見つけたいだけだ。

「ネックレスがデカすぎですよ。それなら9番の服のほうが合うと思います。このブレスは4番に」
 ちゃきちゃき動いてくれる女の人ばかりで勇ましい。
 全員がデザイナーでありスタイリスト。

 大丈夫、もう何度も経験したことだ。由愛ちゃんも今回は空気に飲まれない。最後まで連れていこうか悩んだ。
「旗本さん、そのリング素敵だね」
 ふと目を落とすと旗本さんの指に見たことのない形のリング。
「こっちはダブルリングです。こっちのはイヤーカフにもなります。友達の手作りなんです」
「ちょっと貸してよ」
「いいですよ」
 みんなの持ち物総出だ。自分のところでそれらも全部デザインするのが理想だ。

 そうやって大きくなったブランドも少なくない。バッグや靴までなんて無理。パンクではなく爆発してしまう。
「旗本さん、念のため友達に許可取って」
 小曽根くんはぬかりない。羽切さんがいないから誰かが誰かをカバーする。

 紫の小さめバッグ、黒のエナメルのサンダル。必要なものは提携しているプレスルームから借りてくる。若い女の子たちが集団でやっているブランドと提携したのは二年前のこと。ショーで注目されれば、当然あちらにもメリットがある。
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