包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見

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 父親の法要のハガキが家に届いた。不精な兄は電話一本よこさない。

「よのぎさんも行く?」
 とハガキを見せる。

「七さんの実家?」
「なにもないところだよ」
「緊張する。でも行きます。行きたい」
「もう親もいないけどね」

 親が死んだ13年前なんて、よのぎさんはまだ10歳だ。ロリコンではない。稀に15歳くらいのモデルさんに服を着せると見てはいけないものを見たような気になる。

 成熟していても目を背けたくなるときがある。よのぎさんの気持ちいい顔を見るだけで満足してしまう。

 両親が生きていたら孫みたいな年齢だろう。実際に兄の子どもはよのぎさんの年齢より上もいる。厄介な家系図が書けそうだ。

『旦那 実家 コーデ』
 とよのぎさんが検索する。
「あ、礼服か」
 と独り言まで。


 会社に行ったら、
「奥さんにお願いされた」
 と羽切さんに箱を渡される。

 パールだった。
「よのぎさん、持ってないのか」
「買ってあげたら? 私、ブラックパールを買ったからちょうどそれの貰い手を探してたけど」
「若いからこれくらいのほうが嫌味がなくていいって思ったのかな」
「娘にあげるみたいで嬉しいけど、一応、肩書はあなたが上だし、対外的にも社長の奥さんだしね」
 羽切さんに肩をぽんと叩かれる。

「伝えておきます」
「うちもイミテーションしか持ってない」
 由愛ちゃんが言った。

「旗本さんは?」
「祖母が亡くなったときは母のを借りました。二連のを姉と分けようって話も出てましたけど、叔母が亡くなってそれをもらったので、いくつも持っていても使いませんし」
 よのぎさんの親族に女の人の影がない。おばあさんはもう亡くなっている。お母さんは行方知れず。

「それなら普段使いしてもいいけど、これから暑くなるから真珠は汗に気をつけないと」
 そういうものなのか。服飾デザイナーでも男だからそういうことには疎い。
 羽切さんのブラックパールは9ミリらしい。女の人は大変だな。葬式のときまで身につけるものに気をつけなければならない。あの人より控えめに、あの人よりは上等な物を。

 よのぎさんの一番の出費は美容院。会社の経費になるから社員になったら? と聞いても、
「働いてないのにお金だけもらえません」
 の一点張り。頑固なところはあのおじいさんそっくり。
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