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俺の人生
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ろくでもない人生でした。自分の人生をそうしたためた小説家がいそうなものだが、俺なんてもっと悲惨。いや、高校までは普通。底辺近かったものの、クラスで上の奴と下の比率が同じくらいで、むしろ中間がいない独特な環境だった。故に友達も多くいたし、上のやつ他もこちらと関わらないとクラスが回らないから見下したりもしなかった。むしろどっちつかずの中間層の居場所がなさそうでかわいそうだった。女子は普通の三角形のヒエラルキーがあったけれど、底辺の男が多いから敢えて気持ち悪いと罵声を吐いたりもされない。そんなことをしたら俺の友達がどんなに上の女でも最悪の手口で学校に来れなくする。オタクもゲーマーもいたし、まだガラケーだったのにネットがつながってないと不安定になる人もいた。
大学に入ったら一般的な環境に馴染めず友達を作れなかった。つまらないからと大学を中退したのが間違い。就職ができず、なんとか入った会社では先輩にねちねちといじめられた。大人になってからもそんなことをする人がいるんだなと思った。塾などに教材を販売する会社で、契約が取れなければ給料はいつまでたっても10万円台。上司に嫌味を言われ、体調を壊す前に退職した。
俺の年齢は就職氷河期に該当する。そんなことを知らずに面接と入社と退職を繰り返し、この履歴書を見たらむしろ雇われないのではと自分でもようやく気づいた。
少し休もうと思い、実家へ戻った。親はこんな俺を心配そうに見守り、父もまだ働いていたので甘えさせてもらった。僕が戻ると同時くらいに妹は進学で北海道へ行っていた。
「孝はおっとりしてるから東京が合わないのよ。こっちでゆっくりしなさい」
と母は言った。
戻って来ても、こちらにいる友達も少なかった。
「仕事なんていくらでもある」
と家業を継いだ奴に言われると、カチンときたが言葉にしなかった。
運転嫌いの母親が体操教室に行くときに送り迎えをしたり、酔った父を車で迎えに行ったり、我が家では役に立っているつもりだったが、数年があっという間に経った。楽な生活は人間をだめにする。オンラインゲームを母に中断されると苛立つようになっていた。友達とも会わず、外出が減った。
流石にまずいと思い、久々の求職活動に勤しむ。29歳になっていた。29と30の差は大きいはず。
ハロワはひどく混んでいた。転職が当たり前になったのも、心の病が取り沙汰されているのも知っていた。ネットでは失業保険をいかにもらうかという動画までたくさんある。僕のようにただ仕事を探している人間は一握りなのではないかと面食らった。みんながせわしない。
そこからも逃げることは簡単だった。友達に呼び出され、たまに麻雀をするようになり、雀荘の店員からバイトをしないかと誘われていた。それでもいいかなと思っていた。きっと父は反対するだろう。きちんとした仕事をしている彼にとって俺は異端だ。大学を中退し、仕事も続けられない。これで夜勤務のバイトを始めたらきっと家を追い出されるかもしれない。バイトでも収入があるし何かが変わる可能性もある。
それを言い出せずにハロワへ通う日々。未経験、資格なしの俺なんて価値がないとばかりに公務員はパソコンの画面ばかり見ている。
「こちらなんていかがです?」
「営業ですか?」
ノルマがあるのはもうしんどい。
「面接だけでもされますか?」
の言葉に頷いていた。正社員がいいとも限らないが、保証はそれなりにあるようだった。
大学に入ったら一般的な環境に馴染めず友達を作れなかった。つまらないからと大学を中退したのが間違い。就職ができず、なんとか入った会社では先輩にねちねちといじめられた。大人になってからもそんなことをする人がいるんだなと思った。塾などに教材を販売する会社で、契約が取れなければ給料はいつまでたっても10万円台。上司に嫌味を言われ、体調を壊す前に退職した。
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