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一章 転移した先は
22話 眼
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「あの時のことは忘れもしない」
国王のその一声で周りの雰囲気が変わった。
「……まぁ簡単に言うとだな、そのぅ実はな、アイツにはミリーナの秘密を見られてしまったのだよ。だからアイツはそれを国民にバラされたくなかったらとミリーナとの政略結婚を目論んだんだ。それに、それがバレたらミリーナはもう生きていけなくなる。だが国王の座がアイツに渡ってしまえば国は終わってしまう。だからミリーナには逃げてほしいのだ」
国王は場の雰囲気を少し変えようと明るく話したが最初の表情でどれだけ辛かったのかが垣間見えた気がした。
「その秘密ってのはなんなんだ?」
「それは…「お父様」……なんだ?」
「ここからは私が話します」
「そうか。分かった」
「ありがとうございます。では、お話しします。その秘密とは私の眼、詰まる所、魔眼のことです」
そのあとミリーナは魔眼の歴史を語ってくれた。いや、まぁ知ってるんだけどね。
簡単に言うと魔眼は本来、魔族しか持たないとされている眼で先天的にしか取得できないとされている固有能力だ。だが、先ほどにもあるように魔族しか持つことができない魔眼を国民の誰かが持っていることが他国に知られては国の信頼がなくなる。そんな眼が、なんの因果かミリーナに出現してしまい、その眼をピッグ侯爵に見られたらしい。
「…………と言ったことがあったんです。今は魔力を上手く使って瞳の色を変えてますが、解除すると違う色の眼になります」
そう言ってミリーナの左眼の色が紅蓮色に変化した。いやちょっと待って、自分で魔眼のこと考えてたら説明終わってたんだけど。ごめん、ほんとにごめんなさい。次はちゃんと話し聞きます。
「だから私はこの眼のせいで、ピッグ侯爵から婿を取らなくてはいけなくて。それが嫌で私はお父様達に相談していたのです。その時に出た解決案が、今の本当に好きな人との駆け落ちです」
「そうだったんだな」
「ああ。だがアイツもそんなことではミリーナのことは諦めまい。何が何でも見つけ出そうとする」
「だから今のうちに二人で駆け落ちして隠居生活をしろってことか」
俺は国王からもらった地図をまじまじと見つめる。家の目印がされているのは森の奥の奥の奥。その先のもっと奥になる誰も近づかないようなところを示していた。魔物は俺がいるから大丈夫だと踏んだのだろう。
「その通りだ。ミリーナよ。お主はアストと生きろ。そして幸せになってくれ」
「お父様…………でも、そうしたらお父様に危険が及ぶかもしれないんですよね?」
「前にも言ったが儂たちの心配はせんで良い。お前が元気に育ってくれればいいんだ。頼むアスト。ミリーナを守ってやってくれないか」
「…………ちょっと待ってろ。直ぐに片付けてくる」
俺はそう言って部屋から出ようとした。
「アストさん。どこへ行くつもりで」
ミリーナの言葉に振り返り俺は笑顔を見せた。
「安心しろ。全部俺がなんとかしてやるから」
俺はそう言って今度こそ部屋を出てそのまま王宮を出た。
一つの屋敷に向かいながら。
国王のその一声で周りの雰囲気が変わった。
「……まぁ簡単に言うとだな、そのぅ実はな、アイツにはミリーナの秘密を見られてしまったのだよ。だからアイツはそれを国民にバラされたくなかったらとミリーナとの政略結婚を目論んだんだ。それに、それがバレたらミリーナはもう生きていけなくなる。だが国王の座がアイツに渡ってしまえば国は終わってしまう。だからミリーナには逃げてほしいのだ」
国王は場の雰囲気を少し変えようと明るく話したが最初の表情でどれだけ辛かったのかが垣間見えた気がした。
「その秘密ってのはなんなんだ?」
「それは…「お父様」……なんだ?」
「ここからは私が話します」
「そうか。分かった」
「ありがとうございます。では、お話しします。その秘密とは私の眼、詰まる所、魔眼のことです」
そのあとミリーナは魔眼の歴史を語ってくれた。いや、まぁ知ってるんだけどね。
簡単に言うと魔眼は本来、魔族しか持たないとされている眼で先天的にしか取得できないとされている固有能力だ。だが、先ほどにもあるように魔族しか持つことができない魔眼を国民の誰かが持っていることが他国に知られては国の信頼がなくなる。そんな眼が、なんの因果かミリーナに出現してしまい、その眼をピッグ侯爵に見られたらしい。
「…………と言ったことがあったんです。今は魔力を上手く使って瞳の色を変えてますが、解除すると違う色の眼になります」
そう言ってミリーナの左眼の色が紅蓮色に変化した。いやちょっと待って、自分で魔眼のこと考えてたら説明終わってたんだけど。ごめん、ほんとにごめんなさい。次はちゃんと話し聞きます。
「だから私はこの眼のせいで、ピッグ侯爵から婿を取らなくてはいけなくて。それが嫌で私はお父様達に相談していたのです。その時に出た解決案が、今の本当に好きな人との駆け落ちです」
「そうだったんだな」
「ああ。だがアイツもそんなことではミリーナのことは諦めまい。何が何でも見つけ出そうとする」
「だから今のうちに二人で駆け落ちして隠居生活をしろってことか」
俺は国王からもらった地図をまじまじと見つめる。家の目印がされているのは森の奥の奥の奥。その先のもっと奥になる誰も近づかないようなところを示していた。魔物は俺がいるから大丈夫だと踏んだのだろう。
「その通りだ。ミリーナよ。お主はアストと生きろ。そして幸せになってくれ」
「お父様…………でも、そうしたらお父様に危険が及ぶかもしれないんですよね?」
「前にも言ったが儂たちの心配はせんで良い。お前が元気に育ってくれればいいんだ。頼むアスト。ミリーナを守ってやってくれないか」
「…………ちょっと待ってろ。直ぐに片付けてくる」
俺はそう言って部屋から出ようとした。
「アストさん。どこへ行くつもりで」
ミリーナの言葉に振り返り俺は笑顔を見せた。
「安心しろ。全部俺がなんとかしてやるから」
俺はそう言って今度こそ部屋を出てそのまま王宮を出た。
一つの屋敷に向かいながら。
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