《メインストーリー》掃除屋ダストンと騎士団長《完結》

おもちのかたまり

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掃除屋ダストン、作りすぎる

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仕事が一段落し、モニカは久しぶりにゆっくり食事を作る時間を持った。久々の料理。手際よく野菜を切り、スープを煮込み、肉を焼く。料理は良い。手順を守り手間をかければかけただけ、美味しいものが出来上がる。ついついあれもこれもと手を出して、気がつけば出来上がった量が多すぎる。

「……あ。」

これは…完全に、レオポルトさんの分まで作ってしまっていますね。

作るときの手が自然に二人分の量になってしまったらしい。考え事をしながら作るべきではなかったと、反省する。

仕方ありませんね。明日も食べましょう。

そう考え、鍋の火を落としたちょうどそのとき。

――コン、コン。

遠慮がちな、固いノック音が聞こえた。

…この叩き方は。

モニカは、何となく誰かを察しながら扉を開ける。やはりそこには、レオポルト・エアハルトが立っていた。

「…よ。」

レオポルトは、いつもより少し気まずそうに立っていた。

「すごいタイミングですね。」

「……?」

「ちょうど、作りすぎて困っていたところでした。」

「…は?」

「食事はお済みですか?」

レオポルトは一瞬、言葉に詰まる。

え、いや、まさか……。

「…いや、まだ。」

「なら、食べていかれませんか?」

「いいのか?!」

「はい。どうぞ。」

モニカが静かに招くと、レオポルトは少し間を置いてから、どこかホッとしたような顔で部屋に入る。

…マジか。まさか、今日のうちに"特等席"が復活するとは思わなかった。促されるまま席に着けばいつものようにテーブルに出来立ての料理が並べられる。

じっくり煮込まれた根菜と肉のスープ、香ばしく焼かれたパン、バターソテーされたキノコと鶏肉のグリル
、ハーブの効いた温野菜。

「……。」

レオポルドは食卓を眺め、薫る湯気に静かに息をついた。

「……この感じ、久しぶりだな。」

「そうですね。」

「…うまそうだ。」

「どうぞ。」

レオポルドは、パンをちぎり、スープにつけて口に運ぶ。

「……うまい。」

唸るレオパルド。モニカは、それを聞いてふっと笑ってしまった。

「?」

「いえ、いつも『うまい』しか言わないですね。」

「…味の感想はそれで十分だろ。」

「そうですね。」

食べながら、モニカは話をした。

仕事が一段落したこと。久しぶりに食事を作ったら、ついレオポルトの分まで作ってしまったこと。ちょうどそのタイミングでレオポルトが来たことに驚いたこと。レオポルドは、パンを口に運びながら少しだけ苦笑する。

「…まぁ、俺も、なんとなく"来ちまった"って感じだったがな。」

「なるほど。」

「いや、ホントになんとなく、ここに足が向かっちまったんだよ。」

「習慣ですね。」

「…そういうこと、だな。」

レオポルドは、パンをもう一口ちぎってスープに浸す。

「…あー、で、しばらくこの"特等席"は営業再開ってことで…、いいのか?」

モニカは一瞬考え、そして淡々と答えた。

「またしばらくは、作れると思います。」

レオポルドは、安堵の表情を浮かべ、「助かる。」とだけ言った。

こうして――

騎士団長レオポルド・エアハルトの"特等席"は、正式に営業再開となった。

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