36 / 49
第6話「送る羽ばたき、明ける後悔」
6ー5
しおりを挟む
「手紙で知らせてくれてもよかったのに」
窓の外、通りに出て行く三人の背中を見下ろしながら、マルタはそう口にした。フランツに頼んで、レームとルウィヒを連れて席を外してもらったところだった。
「私たちが、見捨てろとでも言うと思いましたか」
母と二人残された部屋の窓際で、「そんなこと」とアンリエッタは首を振る。
「実際ね、なんとかしてもらおうって考えたりもしたの。でもちょうどその時にフランツさんに会ったりとか……仕事でも色々あって、それですっかり頭から抜けちゃってて」
いかにも呆れて、けれどもどこか承知していたふうに息をつくマルタ。
「何かあれば、いつでも頼ってもらっていいんですからね。それを忘れないで」
「うん」
素直に応じて、それから訊ねる。
「母さんは、一人でここまで?」
「いえ、ルグランさんと一緒です」
先日母の手引きによりアンリエッタの婚約者になりかけた、あのルグランである。
兄からアンリエッタの居場所を聞き出し、それで旅行の準備をしていた際に、ルグランからお供をするとの申し出があったという。
「まあですから、研究と新規開拓を兼ねた休暇ということになりますかね。あなたのこともいったんは片付いたところですし、ある意味では、丁度良い時機だったのかもしれません。お父さんにも電報を出していますから、あちらの用事が済めば来てくれるんじゃないかしら」
今は国外に出ている父は確か、夏までにはイスタに帰るという話だったか。仕事の分担上離れて暮らす場面の多い両親であるが、夫婦仲は良い方だ。父が割合母にべったりなところがあって、だから報せを受け取ったあちら側はもしかすると蒼然としている可能性もある。会社に影響は出るまいかと、苦々しさと諦観を半々にしたような気持ちでいたアンリエッタの表情をどう受け取ったのか、マルタは補足を加えてくる。
「……心配せずとも、もう結婚しろなどとは申しません。無理に連れ戻すつもりもありませんし、この地で頑張るというのなら、あなたのやりたいようになさい」
そういえばそんなこともあったかとやっと思い出したくらいで、出立前にあった懸案についてすっかり忘れていたアンリエッタは、マルタの出した話題にむしろ意外さすら感じてしまう。
そして同時に、ずいぶんと態度が軟化したな、とも。
不思議な心地で眺めていると、気付いたマルタがこちらを見やって、ついとすぐまた視線を戻した。あなたが出て行ってから、と外を見たまま話し始める。
「新しい人を呼んだんです。あなたよりも若い女の子を、二人。後から来た子は何とか馴染んでくれたけどもう一人は、すぐに辞めてしまった」
いつもぴんと張り詰めた声音を出す彼女にしてはしんみりとした調子で、マルタは続ける。
「教育とか人間関係とか、上手く助けてあげられなくてね。他の若い子に入った頃のことを聞いたら、あなたによく面倒を見てもらっていたって……何人かの例を真似してみて、それで、なんとか」
述懐する母の横顔がふとこちらを向いて、目が合う。
「部門長たちから聞きましたが、あなた、彼らにも手紙を残していたんですってね。細かい仕事の調整については助言をもらっていたから不具合はなかったけれど、新人のフォローまでは手付かずになっていたって」
「……それは、私も悪かったと思う。どうせ意味がないんだろうって意地になっちゃって、教育のことまでは書かなかったから」
首を振るマルタ。
「いつの間にか、ずいぶんと助けになってもらっていました」
本当、今さらね。そう自嘲したマルタにアンリエッタは目を伏せて、言う。
「別に、小さなことだよ。ちゃんと気遣ったらきっと、誰にでもできることだから」
原料の加工状況や機械の好不調、出荷予定の細かな時間の変化など、現場を覗いて見聞きした状況を伝達して、調整を促していたというだけだ。一様に数字に表わされる変化ではないので押さえるべき勘所こそあるにせよ、これだってあの時マルタが言ったように、あそこに長くいる者なら自ずとこなせるようになる仕事である。
「ですが、それでもです。あなたがいなくなるまでは、必要だってわからなかったことだもの」
マルタは今度こそアンリエッタの方へしっかりと体を向けて、幾分か、憚るように顔を伏せてみせる。
「あの時、何にも変わらないみたいに……あなたの働きを無碍にすることを言ってしまって、ごめんなさい。今まで助けてくれて、どうもありがとう」
いつなん時も意向や苦情を伝えてきたマルタの率直さが、今は自分への謝罪と労いのために用いられている。その意外さにアンリエッタは目を瞠って、凝らした視界の中の母の顔が、ふっと微笑んだのを見た。
「ここにはね、それを伝えたくて来たんです。もちろんあなたが心配だからというのも本当ですが――とにかくそういうことですから、結婚云々をもう言うつもりはありません。少なくとも、しばらくは」
「しばらくは、ね」
ちょっと皮肉っぽく言葉尻を繰り返してみせると、マルタはごく軽く息をついた。
「大体、子供を二人も連れるようになった人の紹介なんて、そう気軽にできませんよ」
悪戯っぽく批判を受けたアンリエッタは、なんとも言い返しがたい気持ちで耳の下を掻いた。
「でも、ずっとの話じゃないよ。あの子たちの引受先が決まるまでのことだから」
「……そうなのですか?」
今度はマルタが意外そうに、目を二度瞬かせた。
「私はてっきりもう、あなたが自分で引き取るつもりでいるのかと思っていましたよ」
「いや、そんな」
向けられた眼差しに戸惑って、つい俯いたアンリエッタはきょろきょろと足下を眺めた。
「私の所、なんて――。仕事であまり一緒にいてもあげられないし、きっとここより、もっともっと良い場所が」
「あなたはそう思うのでしたら、同じように二人に言ってみなさいな」
「――っ」
「きっと怒り出して、もしかすると泣き出すんじゃないかしら」
突き放すように言われて口を噤んだアンリエッタに、「まったくあなたは」と、マルタはさらに非難を向ける。
「あんなに慕われて、一体何を言うんですか。あの子たちはさっき、あなたのことを守ろうとしたんですよ。頼るばかりじゃなくそんなふうにしてもらうのにどれだけの信頼が必要か、あなたは本当にわかっていないのですか?」
「……」
「お互いのことだから、あなたに全くその気がないのなら仕方がありません。ですが、よく考えることですね」
何も言えずにいるアンリエッタに向かって、「それに」とマルタは付け加えた。
「だいたい気楽なものではないですか。いざとなれば私のところへやれば良いんです。巣立たせるなりそのまま雇うなり、どうとでも面倒を見ます」
外の光に照らされて、マルタの横顔がよく見えている。
「そうであるなら、何の憂いもないはずでしょう?」
「……うん」
短くそれだけ答える。
マルタが、ただ窓の外を見る。
ねえ母さんと、アンリエッタはマルタに呼びかける。
「あの子が――ルウィヒがね、私の仕事を手伝いたいって言うの。役に立てるかもしれないって、そう言っていて。だけどそれが本当にあの子にとって良いことなのか、私にはわからなくて」
だから、手放しにその姿勢を称賛することができない。
よりにもよって自分の運命を捻じ曲げた者たちが植え付けた力を使って。
どこまでも大人たちの都合に翻弄されている状況が、アンリエッタにはどうしようもなく歯がゆい。
「なんですか。そんなこと」
「え?」
呆れたふうに言われたアンリエッタは、意図が飲み込めずに母のことを見つめた。はっと口許を抑えたマルタがいかにも口を滑らせたという様子を見せて、一度首を振る。
「ああ、いえ……そんなことと言うのもおかしいですね。あなたの立場からすれば確かに、由々しき事態なのかもしれません。ですが」
そこで言葉を切って、マルタは一度息を吸う。抱えた荷を下ろした時のような吐息交じりの声で、アンリエッタに言う。
「ですけどね、結局そんなのはあなたと変わらないじゃないですか。与えられたものを受け取っているだけでは満足できなくて、やれることをやろうとしたがる。抱き抱えているこちらのことなんて気にも留めないで、腕の中から飛び出して行ってしまう。そんなの、まるであなたと一緒じゃないですか。きっと小さくても……同じなんだと思いますよ」
「なら――」
なら母さんはどうするの?
訊ねようとして言葉を飲み込む。
そんなことは、今の彼女を見ればよくわかることだった。
「お母さん」
ぽつりと言う。呼びかけにマルタは何も答えずに、アンリエッタの言葉を待つ。
「何も言わずに出て行って、ごめんね」
心にしこりのまま残っていたことについて、謝罪を述べる。
別に構いませんと、横顔は眦を細くしつつそう言って。
変わらず穏やかな静寂を保ったまま、ただ彼方の景色を眺め続けた。
窓の外、通りに出て行く三人の背中を見下ろしながら、マルタはそう口にした。フランツに頼んで、レームとルウィヒを連れて席を外してもらったところだった。
「私たちが、見捨てろとでも言うと思いましたか」
母と二人残された部屋の窓際で、「そんなこと」とアンリエッタは首を振る。
「実際ね、なんとかしてもらおうって考えたりもしたの。でもちょうどその時にフランツさんに会ったりとか……仕事でも色々あって、それですっかり頭から抜けちゃってて」
いかにも呆れて、けれどもどこか承知していたふうに息をつくマルタ。
「何かあれば、いつでも頼ってもらっていいんですからね。それを忘れないで」
「うん」
素直に応じて、それから訊ねる。
「母さんは、一人でここまで?」
「いえ、ルグランさんと一緒です」
先日母の手引きによりアンリエッタの婚約者になりかけた、あのルグランである。
兄からアンリエッタの居場所を聞き出し、それで旅行の準備をしていた際に、ルグランからお供をするとの申し出があったという。
「まあですから、研究と新規開拓を兼ねた休暇ということになりますかね。あなたのこともいったんは片付いたところですし、ある意味では、丁度良い時機だったのかもしれません。お父さんにも電報を出していますから、あちらの用事が済めば来てくれるんじゃないかしら」
今は国外に出ている父は確か、夏までにはイスタに帰るという話だったか。仕事の分担上離れて暮らす場面の多い両親であるが、夫婦仲は良い方だ。父が割合母にべったりなところがあって、だから報せを受け取ったあちら側はもしかすると蒼然としている可能性もある。会社に影響は出るまいかと、苦々しさと諦観を半々にしたような気持ちでいたアンリエッタの表情をどう受け取ったのか、マルタは補足を加えてくる。
「……心配せずとも、もう結婚しろなどとは申しません。無理に連れ戻すつもりもありませんし、この地で頑張るというのなら、あなたのやりたいようになさい」
そういえばそんなこともあったかとやっと思い出したくらいで、出立前にあった懸案についてすっかり忘れていたアンリエッタは、マルタの出した話題にむしろ意外さすら感じてしまう。
そして同時に、ずいぶんと態度が軟化したな、とも。
不思議な心地で眺めていると、気付いたマルタがこちらを見やって、ついとすぐまた視線を戻した。あなたが出て行ってから、と外を見たまま話し始める。
「新しい人を呼んだんです。あなたよりも若い女の子を、二人。後から来た子は何とか馴染んでくれたけどもう一人は、すぐに辞めてしまった」
いつもぴんと張り詰めた声音を出す彼女にしてはしんみりとした調子で、マルタは続ける。
「教育とか人間関係とか、上手く助けてあげられなくてね。他の若い子に入った頃のことを聞いたら、あなたによく面倒を見てもらっていたって……何人かの例を真似してみて、それで、なんとか」
述懐する母の横顔がふとこちらを向いて、目が合う。
「部門長たちから聞きましたが、あなた、彼らにも手紙を残していたんですってね。細かい仕事の調整については助言をもらっていたから不具合はなかったけれど、新人のフォローまでは手付かずになっていたって」
「……それは、私も悪かったと思う。どうせ意味がないんだろうって意地になっちゃって、教育のことまでは書かなかったから」
首を振るマルタ。
「いつの間にか、ずいぶんと助けになってもらっていました」
本当、今さらね。そう自嘲したマルタにアンリエッタは目を伏せて、言う。
「別に、小さなことだよ。ちゃんと気遣ったらきっと、誰にでもできることだから」
原料の加工状況や機械の好不調、出荷予定の細かな時間の変化など、現場を覗いて見聞きした状況を伝達して、調整を促していたというだけだ。一様に数字に表わされる変化ではないので押さえるべき勘所こそあるにせよ、これだってあの時マルタが言ったように、あそこに長くいる者なら自ずとこなせるようになる仕事である。
「ですが、それでもです。あなたがいなくなるまでは、必要だってわからなかったことだもの」
マルタは今度こそアンリエッタの方へしっかりと体を向けて、幾分か、憚るように顔を伏せてみせる。
「あの時、何にも変わらないみたいに……あなたの働きを無碍にすることを言ってしまって、ごめんなさい。今まで助けてくれて、どうもありがとう」
いつなん時も意向や苦情を伝えてきたマルタの率直さが、今は自分への謝罪と労いのために用いられている。その意外さにアンリエッタは目を瞠って、凝らした視界の中の母の顔が、ふっと微笑んだのを見た。
「ここにはね、それを伝えたくて来たんです。もちろんあなたが心配だからというのも本当ですが――とにかくそういうことですから、結婚云々をもう言うつもりはありません。少なくとも、しばらくは」
「しばらくは、ね」
ちょっと皮肉っぽく言葉尻を繰り返してみせると、マルタはごく軽く息をついた。
「大体、子供を二人も連れるようになった人の紹介なんて、そう気軽にできませんよ」
悪戯っぽく批判を受けたアンリエッタは、なんとも言い返しがたい気持ちで耳の下を掻いた。
「でも、ずっとの話じゃないよ。あの子たちの引受先が決まるまでのことだから」
「……そうなのですか?」
今度はマルタが意外そうに、目を二度瞬かせた。
「私はてっきりもう、あなたが自分で引き取るつもりでいるのかと思っていましたよ」
「いや、そんな」
向けられた眼差しに戸惑って、つい俯いたアンリエッタはきょろきょろと足下を眺めた。
「私の所、なんて――。仕事であまり一緒にいてもあげられないし、きっとここより、もっともっと良い場所が」
「あなたはそう思うのでしたら、同じように二人に言ってみなさいな」
「――っ」
「きっと怒り出して、もしかすると泣き出すんじゃないかしら」
突き放すように言われて口を噤んだアンリエッタに、「まったくあなたは」と、マルタはさらに非難を向ける。
「あんなに慕われて、一体何を言うんですか。あの子たちはさっき、あなたのことを守ろうとしたんですよ。頼るばかりじゃなくそんなふうにしてもらうのにどれだけの信頼が必要か、あなたは本当にわかっていないのですか?」
「……」
「お互いのことだから、あなたに全くその気がないのなら仕方がありません。ですが、よく考えることですね」
何も言えずにいるアンリエッタに向かって、「それに」とマルタは付け加えた。
「だいたい気楽なものではないですか。いざとなれば私のところへやれば良いんです。巣立たせるなりそのまま雇うなり、どうとでも面倒を見ます」
外の光に照らされて、マルタの横顔がよく見えている。
「そうであるなら、何の憂いもないはずでしょう?」
「……うん」
短くそれだけ答える。
マルタが、ただ窓の外を見る。
ねえ母さんと、アンリエッタはマルタに呼びかける。
「あの子が――ルウィヒがね、私の仕事を手伝いたいって言うの。役に立てるかもしれないって、そう言っていて。だけどそれが本当にあの子にとって良いことなのか、私にはわからなくて」
だから、手放しにその姿勢を称賛することができない。
よりにもよって自分の運命を捻じ曲げた者たちが植え付けた力を使って。
どこまでも大人たちの都合に翻弄されている状況が、アンリエッタにはどうしようもなく歯がゆい。
「なんですか。そんなこと」
「え?」
呆れたふうに言われたアンリエッタは、意図が飲み込めずに母のことを見つめた。はっと口許を抑えたマルタがいかにも口を滑らせたという様子を見せて、一度首を振る。
「ああ、いえ……そんなことと言うのもおかしいですね。あなたの立場からすれば確かに、由々しき事態なのかもしれません。ですが」
そこで言葉を切って、マルタは一度息を吸う。抱えた荷を下ろした時のような吐息交じりの声で、アンリエッタに言う。
「ですけどね、結局そんなのはあなたと変わらないじゃないですか。与えられたものを受け取っているだけでは満足できなくて、やれることをやろうとしたがる。抱き抱えているこちらのことなんて気にも留めないで、腕の中から飛び出して行ってしまう。そんなの、まるであなたと一緒じゃないですか。きっと小さくても……同じなんだと思いますよ」
「なら――」
なら母さんはどうするの?
訊ねようとして言葉を飲み込む。
そんなことは、今の彼女を見ればよくわかることだった。
「お母さん」
ぽつりと言う。呼びかけにマルタは何も答えずに、アンリエッタの言葉を待つ。
「何も言わずに出て行って、ごめんね」
心にしこりのまま残っていたことについて、謝罪を述べる。
別に構いませんと、横顔は眦を細くしつつそう言って。
変わらず穏やかな静寂を保ったまま、ただ彼方の景色を眺め続けた。
0
あなたにおすすめの小説
誰からも食べられずに捨てられたおからクッキーは異世界転生して肥満令嬢を幸福へ導く!
ariya
ファンタジー
誰にも食べられずゴミ箱に捨てられた「おからクッキー」は、異世界で150kgの絶望令嬢・ロザリンドと出会う。
転生チートを武器に、88kgの減量を導く!
婚約破棄され「豚令嬢」と罵られたロザリンドは、
クッキーの叱咤と分裂で空腹を乗り越え、
薔薇のように美しく咲き変わる。
舞踏会での王太子へのスカッとする一撃、
父との涙の再会、
そして最後の別れ――
「僕を食べてくれて、ありがとう」
捨てられた一枚が紡いだ、奇跡のダイエット革命!
※カクヨム・小説家になろうでも同時掲載中
※表紙イラストはAIに作成していただきました。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
寵愛の花嫁は毒を愛でる~いじわる義母の陰謀を華麗にスルーして、最愛の公爵様と幸せになります~
紅葉山参
恋愛
アエナは貧しい子爵家から、国の英雄と名高いルーカス公爵の元へと嫁いだ。彼との政略結婚は、彼の底なしの優しさと、情熱的な寵愛によって、アエナにとってかけがえのない幸福となった。しかし、その幸福を妬み、毎日のように粘着質ないじめを繰り返す者が一人、それは夫の継母であるユーカ夫人である。
「たかが子爵の娘が、公爵家の奥様面など」 ユーカ様はそう言って、私に次から次へと理不尽な嫌がらせを仕掛けてくる。大切な食器を隠したり、ルーカス様に嘘の告げ口をしたり、社交界で恥をかかせようとしたり。
だが、私は決して挫けない。愛する公爵様との穏やかな日々を守るため、そして何より、彼が大切な家族と信じているユーカ様を悲しませないためにも、私はこの毒を静かに受け流すことに決めたのだ。
誰も気づかないほど巧妙に、いじめを優雅にスルーするアエナ。公爵であるあなたに心配をかけまいと、彼女は今日も微笑みを絶やさない。しかし、毒は徐々に、確実に、その濃度を増していく。ついに義母は、アエナの命に関わるような、取り返しのつかない大罪に手を染めてしまう。
愛と策略、そして運命の結末。この溺愛系ヒロインが、華麗なるスルー術で、最愛の公爵様との未来を掴み取る、痛快でロマンティックな物語の幕開けです。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
転生『悪役』公爵令嬢はやり直し人生で楽隠居を目指す
RINFAM
ファンタジー
なんの罰ゲームだ、これ!!!!
あああああ!!!
本当ならあと数年で年金ライフが送れたはずなのに!!
そのために国民年金の他に利率のいい個人年金も掛け、さらに少ない給料の中からちまちまと老後の生活費を貯めてきたと言うのに!!!!
一銭も貰えないまま人生終わるだなんて、あんまりです神様仏様あああ!!
かくなる上はこのやり直し転生人生で、前世以上に楽して暮らせる隠居生活を手に入れなければ。
年金受給前に死んでしまった『心は常に18歳』な享年62歳の初老女『成瀬裕子』はある日突然死しファンタジー世界で公爵令嬢に転生!!しかし、数年後に待っていた年金生活を夢見ていた彼女は、やり直し人生で再び若いままでの楽隠居生活を目指すことに。
4コマ漫画版もあります。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる