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来たる四人、迎える二人、加えて一人
第8話 街の少年 ミツル
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【ミツル】
赤戸充が自分の学校に伝わる七不思議について初めて耳にしたのは中学二年生に進級して間もないころだった。昨晩まで降り続いた雨によって校舎を取り囲む桜はほとんど散ってしまった。泥に染められた桜の花びらを踏みながら下校しているときに、友人の藤田俊介から聞いたのだった。
「俺たちの学校に七不思議なんてあんの?」
「俺も聞いたの数日前とかだからなぁ。最近できたんじゃねえの?」
俊介は、俺はこんな餓鬼臭い噂信じないけど、と念を押したうえで続ける。
「なんか女子どもが騒いでんだよ。永井とか上村とかがさ~。あいつら前にもこっくりさんがどうとかで問題になってたろ? 全然懲りてないんだよ。馬鹿だよなあ、そんなのに振り回されるなんて」
そういう割には話したくて仕方がないという風に、声色は弾んでいる。ミツルはほんの少し眉を顰めながらも先を促す」
「で、どんな内容なの?」
「俺も又聞きしたからなー。確か、『透明の猫』だろ。それから、『怪人X』、『桜の下の死体』に、『騒ぐ理科室』に、『喋るチワワ』。それから~、『裏門の御札』。だな!」
興味がないと言いながらも俊介はよく暗記している。ミツルは頭の中でそれぞれの怪談について想像する。意外と独自性の強いものが多いように感じた。『騒ぐ理科室』はともかく、『喋るチワワ』に『裏門の御札』に……ええと、ほかになにがあったっけ?
ぼうと考えながら歩いていると、ミツルの頭に一つの疑問が浮かび上がった。
「あれ? 『騒ぐ理科室』と『裏門の御札』、『喋るチワワ』に『桜の下の死体』に……あとなんだっけ?」
「『怪人X』と~、ちょっと待てよ……そうだ、『透明の猫』!」
「六つじゃん」
「……へ?」
「六つしかねぇよ」
二人はどちらともなく立ち止まる。しばらく顔を見合わせ、同時に首を捻る。
「あれ、おっかしいな。なんか忘れてんのか? 待てよ、怪人Xだろ?」
俊介が両手の指を折りながら確認していく。ミツルは通学バッグを背負い直してから歩き始める。
もうこういう噂は勘弁してほしい、とミツルは思う。
去年にもこういうあらぬ噂から問題が起こっていた。『こっくりさん』という呪いごとが生徒の間で流行り、面白半分で多数の生徒が占いを始めた。最初は恋話のタネになる程度だったが、だんだんと行為がエスカレートしていき、いじめへと発展するケースもあった。
当然学校側は全校集会を開き、そのような根拠のない占いがいかに愚かしいことか説明し、今後のこっくりさんなどのまじない遊びを禁じた。学級内でも緊急ホームルームの時間がとられ、担任の先生が怒鳴り、あるいは諭し、仕舞いには泣き落としという多種多様な方法で生徒へ自律ある生活を求めた。
その時に割を食ったのが学級委員で、あなたたちがもっとしっかりしていればなどと無理難題を要求されたのだ。当時学級委員であったミツルも随分と理不尽に責められていた。
夕焼け色の教室を思い出す。机の上に置かれた、紙と鉛筆と十円玉。その傍らに立つ自分自身の姿を。影は墨のように暗く、十円玉は燃えるような色で、しかし冷たく動きを止めていた。こんなもので、なにがわかるというのだろう。なにが叶うというのだろう。
「あ~思い出せね~。ウゼ~」
俊介が両手をこめかみに当てながら呻く。ミツルは横に並びながら俊介を制する。
「もういいって、俊。そんな下らないこと」
下らないこと、という単語に俊介がピクリと反応する。それから大げさに伸びをする。
「まあ、そうだよな。こんな下らねぇことでむきになったってしょうがねえもんな。実際」
別に俺はこんな幼稚な噂話、興味ねーし。俊介はぶつくさと続ける。
ミツルはふと視線を感じ、ちらと後ろを振り返る。
今しがた曲ってきた十字路の真ん中に黒猫がいた。じっとミツルを見つめてくる。ミツルは思わず足を止める。俊介は気が付いていないようで、何事か話しながら先に歩いていった。
昔からミツルは動物が好きだった。母方の祖母の家で飼われていた柴犬を家まで持ち帰ると駄々をこねたこともあった。猫も例外ではなく、その黒猫を見つけた時も自然と近寄っていた。
黒猫はミツルが近づいても動かなかった。非常に毛並みがよい。逃げることも近づくこともせず、ただミツルの瞳をじっと見つめていた。
ミツルはその場にしゃがみ込んだ後、その猫に手を伸ばすことができなかった。その水色の目から視線を外せずにいた。ビー玉のような目にまっすぐ走る瞳孔は裂け目のようだった。
ミツルはその瞳孔の底にあるものを覗き込んでしまう。裂け目を見下ろすと、水色の海が遠のいていく。音も、感覚も遠のいていく。辺りが黒に塗りつぶされていってもちっとも怖くなかった。やがて胸の中に猫がすとんと入っていって――。
「――ミツル!」
ミツルは肩を掴まれて我に返る。
急に現実に戻された。驚いて尻もちをついてしまう。見上げると、肩をつかんだ俊介が訝しげな顔でこちらを覗き込んでいた。
「大丈夫かよ? 今結構ヤバい顔してたぜ?」
そういって俊介は半目で口元をだらしなくほころばせる。
「は? なにそのツラ?」
「アホか、お前の顔真似をしたんだよ。そんな顔で反応もなかったら心配もするだろ?」
そんな情けない顔をしていたのか。ミツルは少し恥ずかしくなる。
「大丈夫。ちょっと寝不足だったかな」
ミツルはそう言いながら立ち上がる。そして辺りをきょろきょろと見渡した後、口を開きかけた俊介に尋ねる。
「あれ、さっきの黒猫は?」
「……はあ?」
「ここにいた猫だよ。きれいな毛並みだったから飼い猫だと思うんだけど」
まあいいかとミツルは再び歩き始める。やけに喉が渇いた。帰ってすぐに麦茶が飲みたい。冷蔵庫に入った冷たい麦茶を喉に流し込む未来を想像する。
ミツルは数歩歩いてから俊介が歩いてこないのに気付き、後ろを振り返る。俊介はますます眉根に皺を寄せてこちらを見ていた。
ミツルは首をかしげて、それから少し笑った。
「なんだよ俊。今度はお前がアホ面すんのか?」
「……猫なんか見てない」
「へ?」
ミツルは半笑いのまま固まる。
「猫なんてどこにもいなかったぜ? お前、なんの話をしてるんだよ?」
ミツルは数回瞬きをしてから、俊介の足元を見つめる。確かにそこに黒猫がいたはずだ。ぼうっとしている間に逃げてしまったのだろうか。いつからいなくなったのだろう。俊介が振り向いたときにはいなかったのだろうか?
もしくは。
最初からそんな猫いなかった?
「お前、今日は夜更かしするなよ」
俊介が横に並びながらミツルの肩をポンと叩いた。
赤戸充が自分の学校に伝わる七不思議について初めて耳にしたのは中学二年生に進級して間もないころだった。昨晩まで降り続いた雨によって校舎を取り囲む桜はほとんど散ってしまった。泥に染められた桜の花びらを踏みながら下校しているときに、友人の藤田俊介から聞いたのだった。
「俺たちの学校に七不思議なんてあんの?」
「俺も聞いたの数日前とかだからなぁ。最近できたんじゃねえの?」
俊介は、俺はこんな餓鬼臭い噂信じないけど、と念を押したうえで続ける。
「なんか女子どもが騒いでんだよ。永井とか上村とかがさ~。あいつら前にもこっくりさんがどうとかで問題になってたろ? 全然懲りてないんだよ。馬鹿だよなあ、そんなのに振り回されるなんて」
そういう割には話したくて仕方がないという風に、声色は弾んでいる。ミツルはほんの少し眉を顰めながらも先を促す」
「で、どんな内容なの?」
「俺も又聞きしたからなー。確か、『透明の猫』だろ。それから、『怪人X』、『桜の下の死体』に、『騒ぐ理科室』に、『喋るチワワ』。それから~、『裏門の御札』。だな!」
興味がないと言いながらも俊介はよく暗記している。ミツルは頭の中でそれぞれの怪談について想像する。意外と独自性の強いものが多いように感じた。『騒ぐ理科室』はともかく、『喋るチワワ』に『裏門の御札』に……ええと、ほかになにがあったっけ?
ぼうと考えながら歩いていると、ミツルの頭に一つの疑問が浮かび上がった。
「あれ? 『騒ぐ理科室』と『裏門の御札』、『喋るチワワ』に『桜の下の死体』に……あとなんだっけ?」
「『怪人X』と~、ちょっと待てよ……そうだ、『透明の猫』!」
「六つじゃん」
「……へ?」
「六つしかねぇよ」
二人はどちらともなく立ち止まる。しばらく顔を見合わせ、同時に首を捻る。
「あれ、おっかしいな。なんか忘れてんのか? 待てよ、怪人Xだろ?」
俊介が両手の指を折りながら確認していく。ミツルは通学バッグを背負い直してから歩き始める。
もうこういう噂は勘弁してほしい、とミツルは思う。
去年にもこういうあらぬ噂から問題が起こっていた。『こっくりさん』という呪いごとが生徒の間で流行り、面白半分で多数の生徒が占いを始めた。最初は恋話のタネになる程度だったが、だんだんと行為がエスカレートしていき、いじめへと発展するケースもあった。
当然学校側は全校集会を開き、そのような根拠のない占いがいかに愚かしいことか説明し、今後のこっくりさんなどのまじない遊びを禁じた。学級内でも緊急ホームルームの時間がとられ、担任の先生が怒鳴り、あるいは諭し、仕舞いには泣き落としという多種多様な方法で生徒へ自律ある生活を求めた。
その時に割を食ったのが学級委員で、あなたたちがもっとしっかりしていればなどと無理難題を要求されたのだ。当時学級委員であったミツルも随分と理不尽に責められていた。
夕焼け色の教室を思い出す。机の上に置かれた、紙と鉛筆と十円玉。その傍らに立つ自分自身の姿を。影は墨のように暗く、十円玉は燃えるような色で、しかし冷たく動きを止めていた。こんなもので、なにがわかるというのだろう。なにが叶うというのだろう。
「あ~思い出せね~。ウゼ~」
俊介が両手をこめかみに当てながら呻く。ミツルは横に並びながら俊介を制する。
「もういいって、俊。そんな下らないこと」
下らないこと、という単語に俊介がピクリと反応する。それから大げさに伸びをする。
「まあ、そうだよな。こんな下らねぇことでむきになったってしょうがねえもんな。実際」
別に俺はこんな幼稚な噂話、興味ねーし。俊介はぶつくさと続ける。
ミツルはふと視線を感じ、ちらと後ろを振り返る。
今しがた曲ってきた十字路の真ん中に黒猫がいた。じっとミツルを見つめてくる。ミツルは思わず足を止める。俊介は気が付いていないようで、何事か話しながら先に歩いていった。
昔からミツルは動物が好きだった。母方の祖母の家で飼われていた柴犬を家まで持ち帰ると駄々をこねたこともあった。猫も例外ではなく、その黒猫を見つけた時も自然と近寄っていた。
黒猫はミツルが近づいても動かなかった。非常に毛並みがよい。逃げることも近づくこともせず、ただミツルの瞳をじっと見つめていた。
ミツルはその場にしゃがみ込んだ後、その猫に手を伸ばすことができなかった。その水色の目から視線を外せずにいた。ビー玉のような目にまっすぐ走る瞳孔は裂け目のようだった。
ミツルはその瞳孔の底にあるものを覗き込んでしまう。裂け目を見下ろすと、水色の海が遠のいていく。音も、感覚も遠のいていく。辺りが黒に塗りつぶされていってもちっとも怖くなかった。やがて胸の中に猫がすとんと入っていって――。
「――ミツル!」
ミツルは肩を掴まれて我に返る。
急に現実に戻された。驚いて尻もちをついてしまう。見上げると、肩をつかんだ俊介が訝しげな顔でこちらを覗き込んでいた。
「大丈夫かよ? 今結構ヤバい顔してたぜ?」
そういって俊介は半目で口元をだらしなくほころばせる。
「は? なにそのツラ?」
「アホか、お前の顔真似をしたんだよ。そんな顔で反応もなかったら心配もするだろ?」
そんな情けない顔をしていたのか。ミツルは少し恥ずかしくなる。
「大丈夫。ちょっと寝不足だったかな」
ミツルはそう言いながら立ち上がる。そして辺りをきょろきょろと見渡した後、口を開きかけた俊介に尋ねる。
「あれ、さっきの黒猫は?」
「……はあ?」
「ここにいた猫だよ。きれいな毛並みだったから飼い猫だと思うんだけど」
まあいいかとミツルは再び歩き始める。やけに喉が渇いた。帰ってすぐに麦茶が飲みたい。冷蔵庫に入った冷たい麦茶を喉に流し込む未来を想像する。
ミツルは数歩歩いてから俊介が歩いてこないのに気付き、後ろを振り返る。俊介はますます眉根に皺を寄せてこちらを見ていた。
ミツルは首をかしげて、それから少し笑った。
「なんだよ俊。今度はお前がアホ面すんのか?」
「……猫なんか見てない」
「へ?」
ミツルは半笑いのまま固まる。
「猫なんてどこにもいなかったぜ? お前、なんの話をしてるんだよ?」
ミツルは数回瞬きをしてから、俊介の足元を見つめる。確かにそこに黒猫がいたはずだ。ぼうっとしている間に逃げてしまったのだろうか。いつからいなくなったのだろう。俊介が振り向いたときにはいなかったのだろうか?
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