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8話:黒猫がやってきた・2
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『お前、ミネルヴァだろ』
「......猫がしゃべった......」
『いや、驚くとこそこじゃねーだろ!?』
身ぶり手振りをつけながら思わずツッこんでくる黒猫にルナは不躾だとわかっていてもじっと視線を外さずに見つめてしまう。
充分驚いてます......
「猫が話し掛けてきたら誰でも驚くってば!」
『......けっ、これだから人間は軟弱なんだよなー』
いや、そう言う問題じゃないよ......
喉まで出かかった言葉を飲み込み、ルナはじっと黒猫を見る。見た目は至って普通の猫だ。だがその身に纏う魔力は普通の動物達とは明らかに異質なもので。
......私、この魔力を知ってる......魔王時代のミネルヴァを知ってて、この魔力の感じは......
「......もしかしてカリト......?」
『ようやく思い出したか。久しぶりだな、ミネルヴァ』
前世魔王ミネルヴァとして生きていた時、私にはつねに側に仕えてくれていた使い魔がいた。漆黒の大きな翼を持つ黒鳥トリノと漆黒の毛皮を持つ大きな黒猫カリト。
「どうしてカリトがここに?」
『......お前が死んでから俺も魔の国を出たんだよ。人の国をふらついてたらいつかお前が生まれ変わってくるんじゃねーかなって。でもお前全然見つからねーし、諦めかけた時にお前の......ミネルヴァの魔力を薄っすらと感じたんだよ』
「カリト......」
『で、お前を見つけたって訳だ。俺の鼻もまだまだ現役だな』
前世で私が死んだ時カリトとトリノは偶々側にいなかった。城に戻り私が弟の配下に殺されて死んだと知らされた時彼らは何を思っただろう。
私が死んで城から出た。それが全てを物語っているように思う。
『......安心しろよ、俺だからわかるぐらいの魔力だからよ』
「そっか。もう一度会えて嬉しいよカリト」
前世でさよならも言えなかった大事な使い魔。魔王であった自分にもタメ口で話してくれる大切な存在だったのだ。会えて嬉しくない訳がない。
『んじゃ、これからも宜しくなミネルヴァ』
「へ?」
『お前の使い魔である俺がようやく見つけたお前から離れる訳ないだろ?』
え?ええええええ!?
「そ、そんな勝手に無理だよっ!?」
お父様達が何て言うか。生き物は駄目だと言われる可能性だってある。
「にゃーん」
「カリト?」
急に猫みたいに鳴き始め、ルナの膝から飛び降りトコトコと芝生の上を歩きだした方向に視線を向ければそこにはお兄様がいた。
「おにいさま」
「ルナ、この猫どうしたんだい?」
大人しくなついてくる黒猫をそっと抱き上げルナに近づいてくる兄にルナはどうしようかと慌て出す。
「あ、あのね......お茶をしてたらばらのなかからでてきたの......」
「へぇ。随分人に慣れてるのか大人しいね」
首を撫でられゴロゴロと喉を鳴らす黒猫に笑みを浮かべるお兄様。言うなら今しかない。
「おにいさま......このねこさんかっちゃだめ?わたし、このねこさんがほしいの」
「......この猫を?」
普段殆ど物を欲しがらない可愛い妹が自分に欲しいと頼みこむ姿に内心喜びが溢れてくる。
ルナが、ルナが僕にお願い事をしてる!
他人が聞いたら凄く残念な顔をされる事だろう。けれど初めての妹からのお願いを当然無下に出来る筈もなく。
「じゃあ今から父上に一緒に頼みに行こう」
「はいっ!」
パアッと笑顔を向けるルナに満足し、二人は父親のいる執務室へと向かったのだった。
そうしてその日、公爵家に一匹の黒猫が家族として加わったのです。
「......猫がしゃべった......」
『いや、驚くとこそこじゃねーだろ!?』
身ぶり手振りをつけながら思わずツッこんでくる黒猫にルナは不躾だとわかっていてもじっと視線を外さずに見つめてしまう。
充分驚いてます......
「猫が話し掛けてきたら誰でも驚くってば!」
『......けっ、これだから人間は軟弱なんだよなー』
いや、そう言う問題じゃないよ......
喉まで出かかった言葉を飲み込み、ルナはじっと黒猫を見る。見た目は至って普通の猫だ。だがその身に纏う魔力は普通の動物達とは明らかに異質なもので。
......私、この魔力を知ってる......魔王時代のミネルヴァを知ってて、この魔力の感じは......
「......もしかしてカリト......?」
『ようやく思い出したか。久しぶりだな、ミネルヴァ』
前世魔王ミネルヴァとして生きていた時、私にはつねに側に仕えてくれていた使い魔がいた。漆黒の大きな翼を持つ黒鳥トリノと漆黒の毛皮を持つ大きな黒猫カリト。
「どうしてカリトがここに?」
『......お前が死んでから俺も魔の国を出たんだよ。人の国をふらついてたらいつかお前が生まれ変わってくるんじゃねーかなって。でもお前全然見つからねーし、諦めかけた時にお前の......ミネルヴァの魔力を薄っすらと感じたんだよ』
「カリト......」
『で、お前を見つけたって訳だ。俺の鼻もまだまだ現役だな』
前世で私が死んだ時カリトとトリノは偶々側にいなかった。城に戻り私が弟の配下に殺されて死んだと知らされた時彼らは何を思っただろう。
私が死んで城から出た。それが全てを物語っているように思う。
『......安心しろよ、俺だからわかるぐらいの魔力だからよ』
「そっか。もう一度会えて嬉しいよカリト」
前世でさよならも言えなかった大事な使い魔。魔王であった自分にもタメ口で話してくれる大切な存在だったのだ。会えて嬉しくない訳がない。
『んじゃ、これからも宜しくなミネルヴァ』
「へ?」
『お前の使い魔である俺がようやく見つけたお前から離れる訳ないだろ?』
え?ええええええ!?
「そ、そんな勝手に無理だよっ!?」
お父様達が何て言うか。生き物は駄目だと言われる可能性だってある。
「にゃーん」
「カリト?」
急に猫みたいに鳴き始め、ルナの膝から飛び降りトコトコと芝生の上を歩きだした方向に視線を向ければそこにはお兄様がいた。
「おにいさま」
「ルナ、この猫どうしたんだい?」
大人しくなついてくる黒猫をそっと抱き上げルナに近づいてくる兄にルナはどうしようかと慌て出す。
「あ、あのね......お茶をしてたらばらのなかからでてきたの......」
「へぇ。随分人に慣れてるのか大人しいね」
首を撫でられゴロゴロと喉を鳴らす黒猫に笑みを浮かべるお兄様。言うなら今しかない。
「おにいさま......このねこさんかっちゃだめ?わたし、このねこさんがほしいの」
「......この猫を?」
普段殆ど物を欲しがらない可愛い妹が自分に欲しいと頼みこむ姿に内心喜びが溢れてくる。
ルナが、ルナが僕にお願い事をしてる!
他人が聞いたら凄く残念な顔をされる事だろう。けれど初めての妹からのお願いを当然無下に出来る筈もなく。
「じゃあ今から父上に一緒に頼みに行こう」
「はいっ!」
パアッと笑顔を向けるルナに満足し、二人は父親のいる執務室へと向かったのだった。
そうしてその日、公爵家に一匹の黒猫が家族として加わったのです。
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