【完結】モブの筈の僕がヒロインになった訳

水月

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第二章

39:平穏な日々

夜会での僕とカーディナル様の結婚発表の日から二週間、第二王子殿下は王城で謹慎させられていたそうだ。そして今日から復学されるとかで朝からカーディナル様の僕への態度がいつめより過保護になっていた。

「.....本当に学園へ行くのか?ルテウス」
「はい。第二王子殿下とは学年が違いますから利用する校舎も違いますし、僕が移動教室以外で自教室から出なければ会う事もないですし....」

心配気なカーディナル様に僕は苦笑してしまう。確かに夜会での第二王子殿下の僕への執着振りを見てると少し怖いけど、だからと言ってずっと学園に行かない訳には行かないし....。

「それにカーディナル様の影の方が僕の護衛をしてくれてるんですよね?」
「ああ.....そうなんだが....」

それでも心配なのかギュッと僕を抱き締めてくれる。結婚をして一緒に住むようになってから、カーディナル様は僕に対しての愛情を今まで以上に表に出して見せてくれるようになった。僕はそれが嬉しくて嬉しくて仕方がないんだ。

「だったら大丈夫だと思います!僕も気を付けますし、アルト君やネモローサ君達クラスメイトも居ますから!」

ふふっと笑顔でカーディナル様の背中に腕を回して正面からギュッと抱き付くと、僕の背中をポンポンと優しく触れてくれる。

「.....わかった。なら勉強を頑張りなさい」
「はいっ」

帰りはカーディナル様が学園まで馬車で迎えにいくらって言うからお城からだと大変だと思って馬車だけで良いって言ったけど、自分が早く逢いたいのだと言われたら断れないよね?


そうして朝と夕方の送り迎えはカーディナル様と一緒に学園に行ったり来たりしてたんだけど、心配していた第二王子殿下は、学園に復学しても僕に近寄る事は一切なくて、ドキドキしてた分拍子抜けしたと言うか、このまま僕に接触する事なく学園生活が送れたら良いなぁなんて考えてた。

その第二王子殿下はあの夜会以降も変わらず学園ではナーレ・コルチカム子爵令息としているみたいで、日々の噂は事欠かない。寧ろその行動が悪化しているのではないかと言うか、不名誉な噂まである。

「王族が使用できるサロンで件の子爵令息と側近達とで淫らな行為をしていたって言うのが今一番多いかな?」
「ブフォ....ッ!」
「ああもう、ルテウス大丈夫か?」

口に含んでいた紅茶を吹き出しそうになり思わず咳き込んでしまう。

「凄いよね。殿下だけならまだしも側近達も一緒にって所が....え?お前その現場見たの?って言いたくなる噂だもんね」
「....流石にそれが事実ならヤバイよ~……」

アルト君とネモローサ君は面白そうにニヤニヤしている。

「そっ、そんな噂があるの!?」

まさかそんな噂があるとは思わず、まさかの内容に顔が赤くなってしまう。

「まぁね。ルテウスは余り噂とかに興味ないもんね。第二王子殿下と子爵令息達の噂は前からあったけど最近はそんなのばっかりだよ。だから余計に信憑性が高くなるんじゃないかな?」
「兎に角さっさと婚約者候補を辞退してて良かったとしか言いようがないよね」

アルト君もネモローサ君も顔をしかめながら溜め息をつく。2人にはまだ婚約者はいない。元々第二王子殿下の婚約者になる為に切磋琢磨してきたから急遽候補を降りたと言っても直ぐに条件の良い婚約者候補が見つからないのだろう。美人だから告白とかよくされてるのは見た。でもまぁ2人共次男とは言え侯爵家なのだから引く手数多で選んでる最中なのかもしれないけど。アルト君の家族も、ネモローサ君の家族も、王族の婚約者へと息子達を望んだがそれも2人の将来を考えてこその物だったから。勿論それによって王族と縁が出来る事の利益も考えただろう。けれど一番大事なのは2人が不幸せにならない事が大事だから。

「まぁ第二王子殿下が子爵令息とイチャイチャしてる間はルテウスにちょっかいかけに来ないんだし良いんじゃない?このまま卒業してくれたら良いのに、まだ来年一年間あるんだもんねぇ....」

そう。僕達が15歳だから第二王子殿下は17歳。学園は18歳が最終学年となる為、来年一年間はまだ同じ学園生なのだ。

「でも王弟殿下がルテウスを守ってるんだし、国王陛下からも第二王子殿下にはルテウス接近禁止令が出てるなら大丈夫なんじゃないかな?」
「うん.....実は今日もカーディナル様が迎えに来てくれるんだ」
「へぇ~!良いね~新婚さんは熱い熱い!」


僕をからかうアルト君とネモローサ君。そして僕を心配して、毎日送り迎えをしてくれるカーディナル様。そんな何気なくも幸せな平穏な日々が続いていた。











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