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一章 追憶編

4話 旅立ち・無の戦争

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二人は側からみれば記憶を失っているとは思えない程元気に走り回っている。俺はいつも二人の遊んでいる様子を見て癒されている。

「あイタ!」

包丁で指の皮を切ってしまった。

「レイク大丈夫?血出てるよ」
「私絆創膏持ってくる!」
「大丈夫大丈夫。こんなの舐めとけば治るって」

ネロは「レイクのそういうところダメだと思う!」と言いながら絆創膏を取りに走っていった。ネロはしっかり物なのだ。シーニィは遊ぶ時以外は基本だらだらしている

「レイクー!持ってきたよ!」
「ありがとうネロ!」
「手出して」

言われたまま手を出してみるとネロがニコニコしながら絆創膏を巻いてくれた。

「よし!できた!これで大丈夫!」
「ありがとうネロ」
「ねぇレイク。今日でちょうど二年だね」

ネロとシーニィを森の奥にある荒屋あばらやで保護してから早二年だ。

「レイクありがとう!わたしたちを見つけてくれて」
「俺もだよ。いつも助けてもらってる」



この日から一年後、家族を探す旅に出たレイク、シーニィ、ネロは予想外の旅路を経る。最初に目指すは王都の情報屋


ーーーーーーー


悲鳴と爆発音が鳴り響く戦場を指揮する『叡智』のエアブら神の四柱。

「右翼!極大魔法に備え防御陣形!」

通信魔法で指示を数多の戦場に飛ばし、指揮を取る『叡智』のエアブ

「なぁ『運命』のモルシス。何か不気味じゃ無いか?悪魔達の動き」
「お主も気付いたか。我も今しがた気付いた」

このまま行けば神陣営の勝利は間違いない。しかし引っかかる点が一つだけある。それは

「強力な個体が居ない」

「お前も気付いたか。『創造』のヴィシュヌ」
「戦いにおいて強い者をどのように使うかは勝敗を分ける。それを使わぬということは使えぬわけがある。又は今以上に使うべき、活かせる状況があるのか…」


神の四柱が相談している頃、悪魔陣営で大きな動きがあった。


ーーーーーー

「あの四体はまだ目覚めぬのか」
「あと少しだと報告を受けておりますので、明日にはおそらく目覚めるかと」
「そうか。まぁ良い彼奴らが目覚めた時がこの戦争の終わりと我らの計画の成功を意味するのだから」
「これにて、現状報告と計画の進行報告を終わります。お忙しい中お集まりいただきありがとうございました」

参加していた者達が次々と会議室を出ていく、最後に悪魔陣営の 頭リーダーが出て行く。頭が自室に戻ろうと歩いていると、一人の魔人が興奮しきった様子で走り寄ってくる。

「頭!ついに目覚めました!最上位悪魔『破滅』の四体が!」


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