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二章 王都学院編

8話 決闘

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五大魔法士とは、人界の魔法士の中で最も優秀な上位5人のことを言う。努力を惜しんだ並の天才が『すごい魔法士』とすると、努力を惜しまなかった天才の中の天才が『五大魔法士』だ。

前回の本文に設定入れるつもりだったのですが、忘れていたので、8話の前書きに入れさせて頂きました。







本文


今年のAクラスは、学院選抜大会で優勝できるメンバーだけを集めたクラス。昨年までなら1つ上のクラスで合格していた実力を持っている人が軒並み1つ下のクラスで合格になったらしい。

「先生!そこの下民は何かの手違いなのでは?た・だ・の・下・民・がアイエナ王都学院に入学できるわけないでしょうw!」

「そうだね、入学出来るわけないね」

「では手違いなのですね!」

「いいや、確かにただの下民は今まで入学してこなかった。来れなかった。金銭的な問題でね。だから今年からは特待生として金銭的な部分を学院側が負担することにした。才があるのにそれを活かせない人を救うということさ」
「恐らくこの学院の全生徒の中で1番強いのはアランだと思っている。まぁアランが本気を出せばの話だけどね

「こ、こんな下民に、この私が劣るのですか!?」
「あぁ、多分ね。私はアランが模擬試験で相手の魔法を斬っているのを見ている」

「おい、アラン!私はお前に決闘を申し込む」

決闘を申し込まれてしまった。女試験官、じゃなくてマリー先生がプライドの高い貴族様を煽ったりしちゃうから…売られたら買うってロイドに言ったし…仕方ないな、後でマリー先生には文句言ってやらねぇと

「わかった。受ける。いつ?どこ?」
「随分と余裕だな、その余裕を後悔させてやる。一時間後、決闘場でだ」
「了解だ。」




⬛︎
30分後、決闘場

「マリー先生、どうして『神童』ルドルフ=ランベルクからアランに決闘を申し込むように、仕向けたのですか?アランの内にある底がない程の魔力と闘気が感じ取れないわけではないでしょう?」

「どうしての方から答えよう。アランの村を知っているかい?」
「はい、果ての村って聞きました」
「果ての村の悲劇は?」
「知りません。悲劇って何があったんですか?」
「これから話す内容をこの国で知っている者は果ての村の住人とクレイ=ランベルクと私しか知らない。他言はしないように」
「はい、わかりました。他言しません」

マリー=ローズは話した。果ての村の悲劇のことを。何故彼女が果ての村の悲劇を知っているのか、それは


「悲劇の内容はわかりました。ですが何故マリー先生がそれを知っているのですか?マリー先生は果ての村の住人ではないですよね?」
「そうだね、私は住人じゃない。何故知っているかを説明しよう」

「ちょうど10年前ぐらいだね。果ての村の隣町に居た頃、1人の青年が私に声を掛けてきた。その青年はやつれて今にも死にそうだった。すぐに宿に連れて行ってベッドに寝かせた。起きてすぐに、どうして街を守っている騎士ではなく、私を探したのか聞いた。青年は騎士が村に来たタイミングで、少し先の未来が見えたらしい。その見えた未来が果ての村の悲劇だ。それを聞いてすぐに、果ての村に向かった。もちろん姿と気配を消してね。村に着いて1番最初に何故かアランの家に足を向けていた、あの家に行けば全てがわかると思ったからだ。家の中には、まだ8歳になったばかりのアランが居た。アランの中から8歳にしては異常すぎる密度の殺気が漏れていた。そして気が付いた、この子の親が殺されて、家族が連れ去られたのだと。その日から3年後、ふと耳にした会話には耳を疑ったよ。
『お前が果ての村から連れてきた女、めっちゃ美人じゃねぇか、俺にくれよ』
『やらねぇよ、あれは俺の女オモチャだ』
クレイ=ランベルクと誰かの会話だよ、その時初めて知った、果ての村を襲ったのがクレイ=ランベルクだとね」

「そう、だったのですね。今のアランからは感じとれませんね。」
「そうだね、全然わからない、けど王都をあれだけの力を付けて訪れたということは、連れ去られた姉を探して、クレイを殺・す・ためなんじゃないかな」
「そう、かもしれませんね」



決闘開始まであと5分
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