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二章 王都学院編

10話 学院内予選

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アランは、あの決闘の場にいた騎士の顔を思い出していた。

「あいつは、あいつだけは絶対に殺してやる。俺の手で」
「アランよ、落ち着け」

殺気で窓にヒビが入っていた

「あぁ悪い、もう寝るわ」


⬛︎
次の朝

「今日は、ルドルフが決闘を申し込んだせいで忘れていた自己紹介と学院選抜大会の院内予選について発表がある」
「まずは自己紹介からだな、誰からでもいいぞ」

「では私から、私はエリス=アイエナ、一応王族ですが、平民や下民などの身分などどうでもいいと思っております。なので気軽に声をかけてくださいね。」

まるで陽の光のような笑顔だ。でも俺はエリスの双眸に大きな不安があるように見えた。見えたのが一瞬だったため確信はなかった。

「次は俺だ、俺はアランだ。下民だ。果ての村から来た」

「次は私だ、私はテリアだ。エリス様の護衛をしている。スラム出身だ」

「じゃあ次、私、私はスズ。本が好き」


「次は俺だ、俺はルドルフ=ランベルクだ。神童とか言われていた。父さんはあの決闘場居た。クレイ=ランベルクだ。」

「「あ、」」

エリスとマリーは同時にこれから起こることを悟った。
アランが殺気を撒き散らしながら、ルドルフに問う

「おい、ランベルク家にマリアという名前の女性は居るか?」

この瞬間ルドルフは、返答を間違えれば死ぬと思った。

「し、知らない、本当だ。俺は8歳の頃からほとんどお父様に会っていないんだ。8歳からお婆様の家で育ったんだ。理由は、お父様があまり帰ってこられないからって言ってた」


「本当だな?」
「あぁ本当だ。」

「悪い、殺気を抑えるのを忘れていた。ごめんな、また今度ランベルク家がどこにあるか教えてくれ」
「わかった。放課後でいいか?」
「頼む」

「スズ、テリア、ごめん」

2人はアランの殺気に当てられて気絶していた。

「エリス、マリー先生もごめんなさい」
「い、いや私たちは大丈夫よ、ランベルク家と何があったのかはマリー先生から聞いているの」
「ん?なんでマリー先生が知ってるんだ?」
「放課後話すよ」

「休憩にしよう、各自休むように」

⬛︎

「これから学院選抜大会の院内予選について説明する。学院選抜大会のルールから説明しよう。学院選抜大会は各学院、学園が各学年の代表者1名を出場させ、その中でトーナメントを行い優勝校を決める。それが学院選抜大会だ。院内予選も各学年の出場希望選手による、トーナメントで決める」

「優勝者は、なんでも一つ願い事を叶えてもらえるぞ、流石に王族になりたい!とかはダメだけどな」

「なんか荒れそうだな」



アランの懸念は当たっていた、毎年この時期になると学院間で妨害工作が起こるのだ。アランには妨害が及ばなければ良いが…
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