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二章 王都学院編

11話 可能性

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院内予選の説明が終わり、放課になった。アランは、院長室に呼ばれていた、果ての村の悲劇を何故エリスとマリーが知っていたのかを教えるためだ。

院長室の前に立つ

「マリー先生。アランです」
「入ってくれ」
「失礼します」

エリスが心配そうな目で俺を見ていた。

「アラン大丈夫?」
「あぁ大丈夫だ。落ち着いた」
「そう、良かったわ」

「先生、私は寮に帰ってますね、2人はその方が話しやすいでしょうし」

そう言って寮に帰っていった。

「早速だが、本題に入ろう」


俺は、マリー先生から何故マリー先生が果ての村の悲劇を知っているのかを聞いていた。

「そして、3年前ふと耳にした会話には耳を疑ったよ

『お前が果ての村から連れてきた女、めっちゃ美人じゃねぇか、俺にくれよ』
『やらねぇよ、あれは俺の女オモチャだ』
それを聞いた時、はじめてわかったよ、果ての村を襲ったのが、当時はまだ下級騎士だったクレイ=ランベルクなんだとね」

俺は何故か冷静だった。もう知ってる事実を再確認しただけだからか。

マリー先生のが話が続く、クレイについての話だ。

「クレイ=ランベルクが下級騎士になったのは12年前、そして10年前、急に上級騎士になっている、たしかにクレイ=ランベルクは相当な強者だ、でも2年で上級騎士に昇格するのは普・通・ならあり得ない。つまり
「ねぇちゃんが連れ去られたのが関係しているってことか」
そういうことだ、クレイ=ランベルクは王国の地位の高い者となんらかの君のお姉さんが絡んだ取り引きをしたんじゃないかな、可能性としては第一王子だ。第一王子は美女を収・集・しているらしい、目的はわからない、ただ収集された女性は誰一人として帰・っ・て・き・て・い・な・い・ということだけはわかっている」


帰ってきていない。その言葉の意味は、生きているがまだ帰してもらえない何かの理由があるのか、それとも死んでいる、殺されているの二つの意味だ

当然アランは

「生きているかもしれないなら、俺はそっちの可能性を信じる」
「その通りだ」
「まず、学院選抜大会で優勝して、王城まで正式に入る、それから第一王子とねぇちゃんを探す」


「応援しているよ、私は立場上、公に君を支援したりはできないからね。君の優勝を祈っている」


俺はマリーと握手を交わして部屋を去った

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