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二章 王都学院編
22話 目覚め
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俺はエリスが離れるのを待ってから王城の地下にいた女性たちがどうなったのか聞いた。
「何故かあそこに居た女性たちは誰も傷付いていなかったみたい。それどころかあったはずの外傷が全部治ってて傷跡も無かったみたい」
「え、なんで?」
「わからないわよ。アランの方が心当たりあるんじゃないの?」
あの時、殺意以外に抱いた感情は助ける感情だ。その感情があったから全く被害が無かったのか…しかし外傷が治ったのは何か他の要因があるはずだ。
「恐らくあの時ねぇちゃん達を助けたいと思ったから暴走した後で傷付けなかったんだと思う」
次に魔力暴走による被害状況を聞いた
「エリス、王都はどうなった?」
「建造物への被害は、王城崩壊、 貴族邸四戸半壊うち一戸全壊、民家十戸破損。人的被害は王城常駐騎士五名魔力中毒に意識不明、民間人は軽傷者が約五十名重傷者無し」
「それでなんにん」
俺が言い終わる前にエリスが言った
「誰も死んでないわよ。あの戦闘で被害がこれだけなのは奇跡ね。ロイドさんとフェトのおかげだわ」
「本当に誰も?」
「本当。死者無し」
「よかった…」
俺が原因なのに被害が少なくて安心するのはおかしいのかなと思った。
「俺ってどうなるの?」
「どうって?」
「いや、ほら。俺が王都を危険にさらした訳だし」
「どうにもならないんじゃないかな元凶はカールだし、それを未然に防げなかったお父さんも責任はあると思う」
「それはわかるけど王都に住む人たちから何があったのか疑問の声が上がるだろ。その時になんて言うんだよ」
「アラン君無事だったか!」
国王が病室に入ってきた。
「アラン君。すまなかった!カールのしでかした事の責任の一端は私にある。本当にすまなかった」
突然の国王の謝罪に呆然とするアラン。それを横目にエリスは言った通りじゃないみたいな顔をしている
「え、えーと。とりあえず頭を上げてください」
国王はすっと頭を上げて言う
「アラン君に一切の罪は問わない。クレイ=ランベルク、カール=アイエナは極刑に処すそれが私の決断だ」
「ありがたいんですが。それで良いのですか?」
「良いのだ」
国王の顔はどこか寂しい顔をしていた。
俺は気になっていた地下にいた女性たちの居場所を聞いた。何故か外傷は完全に治っており、精神的な傷までも多少は良くなっているらしい。拷問を受けた記憶が無い人は精神的な傷は完治して、新たな生活を送るために王国からの援助が出てるらしい。
俺の質問に応えると国王は出て行こうとしたので引き留めて一つ大事な事を伝える
「人界、魔界、天界がそれぞれ隣り合って存在していることは知ってるよな?」
「もちろん。それがどうしたと言うのだ」
「俺が魔力暴走を起こしたのがきっかけで世界に歪みが生じて歪みから無へと放出され、その影響で神界が誕生したのだそうだ。そしてその神界に住む神々が二年後三つの世界のうち一つの世界に神界からのゲートが開いて侵攻が始まるらしい」
「それは本当か!」
「本当だよ。なんせ世界が俺の精神へ直接語りかけてきたんだから」
「世界が?そんなことがあり得るのか?」
「あったんだからそうなんだろうな」
「とりあえず俺は退院したら全世界に協力してもらえるように人界各国と天界に話を付けに行く。魔界はフェトに任せる」
「わかった。関わりのある国は私が手続きを行おう」
「助かる」
人界、魔界、天界の全ての国と協力しなければ対抗できない程に強大な力を持つ神界に住まう神々。そしてその神々が約二年後、三つの世界へ侵攻を始める。一つのミスで世界が滅ぶ。
「しかし帝国に協力を取り付けるのは骨が折れそうだな」
国王の懸念。帝国は王国と仲が悪いのだ。学院選抜大会にエール学院の生徒を出場させて王国の戦力を計っている事から何かしようとしている。
「なんとかします」
「そうか。頑張ってくれ」
一通り話が終わると病室を出て行った。
「ねぇ、アラン。退院したら協力を取り付けに行くってことは学院には戻って来ないの?」
「うん。元々王城に乗り込むために入学したからもう用はない」
元々学院の卒業資格を手に入れたいから入学したわけじゃない。ねぇちゃんを助け出すために利用したに過ぎないのだ。でも俺にとって初めての友達と離れるのは辛い。
「出て行くならちゃんとお別れの挨拶ぐらいみんなにして行きなさいよね」
エリスの顔には涙が浮かんでいた。
「あぁ、もちろん。真っ先に行くよ」
「私、もっと強くなるから。強くなってアランと一緒に戦う」
「うん。俺も強くなる」
言いたいことはまだあるのだろうけど今日はここまでみたいだ。
「それじゃ!早く退院しなさいよ!」
そう言ってエリスは足早に寮へと帰って行った。
「何故かあそこに居た女性たちは誰も傷付いていなかったみたい。それどころかあったはずの外傷が全部治ってて傷跡も無かったみたい」
「え、なんで?」
「わからないわよ。アランの方が心当たりあるんじゃないの?」
あの時、殺意以外に抱いた感情は助ける感情だ。その感情があったから全く被害が無かったのか…しかし外傷が治ったのは何か他の要因があるはずだ。
「恐らくあの時ねぇちゃん達を助けたいと思ったから暴走した後で傷付けなかったんだと思う」
次に魔力暴走による被害状況を聞いた
「エリス、王都はどうなった?」
「建造物への被害は、王城崩壊、 貴族邸四戸半壊うち一戸全壊、民家十戸破損。人的被害は王城常駐騎士五名魔力中毒に意識不明、民間人は軽傷者が約五十名重傷者無し」
「それでなんにん」
俺が言い終わる前にエリスが言った
「誰も死んでないわよ。あの戦闘で被害がこれだけなのは奇跡ね。ロイドさんとフェトのおかげだわ」
「本当に誰も?」
「本当。死者無し」
「よかった…」
俺が原因なのに被害が少なくて安心するのはおかしいのかなと思った。
「俺ってどうなるの?」
「どうって?」
「いや、ほら。俺が王都を危険にさらした訳だし」
「どうにもならないんじゃないかな元凶はカールだし、それを未然に防げなかったお父さんも責任はあると思う」
「それはわかるけど王都に住む人たちから何があったのか疑問の声が上がるだろ。その時になんて言うんだよ」
「アラン君無事だったか!」
国王が病室に入ってきた。
「アラン君。すまなかった!カールのしでかした事の責任の一端は私にある。本当にすまなかった」
突然の国王の謝罪に呆然とするアラン。それを横目にエリスは言った通りじゃないみたいな顔をしている
「え、えーと。とりあえず頭を上げてください」
国王はすっと頭を上げて言う
「アラン君に一切の罪は問わない。クレイ=ランベルク、カール=アイエナは極刑に処すそれが私の決断だ」
「ありがたいんですが。それで良いのですか?」
「良いのだ」
国王の顔はどこか寂しい顔をしていた。
俺は気になっていた地下にいた女性たちの居場所を聞いた。何故か外傷は完全に治っており、精神的な傷までも多少は良くなっているらしい。拷問を受けた記憶が無い人は精神的な傷は完治して、新たな生活を送るために王国からの援助が出てるらしい。
俺の質問に応えると国王は出て行こうとしたので引き留めて一つ大事な事を伝える
「人界、魔界、天界がそれぞれ隣り合って存在していることは知ってるよな?」
「もちろん。それがどうしたと言うのだ」
「俺が魔力暴走を起こしたのがきっかけで世界に歪みが生じて歪みから無へと放出され、その影響で神界が誕生したのだそうだ。そしてその神界に住む神々が二年後三つの世界のうち一つの世界に神界からのゲートが開いて侵攻が始まるらしい」
「それは本当か!」
「本当だよ。なんせ世界が俺の精神へ直接語りかけてきたんだから」
「世界が?そんなことがあり得るのか?」
「あったんだからそうなんだろうな」
「とりあえず俺は退院したら全世界に協力してもらえるように人界各国と天界に話を付けに行く。魔界はフェトに任せる」
「わかった。関わりのある国は私が手続きを行おう」
「助かる」
人界、魔界、天界の全ての国と協力しなければ対抗できない程に強大な力を持つ神界に住まう神々。そしてその神々が約二年後、三つの世界へ侵攻を始める。一つのミスで世界が滅ぶ。
「しかし帝国に協力を取り付けるのは骨が折れそうだな」
国王の懸念。帝国は王国と仲が悪いのだ。学院選抜大会にエール学院の生徒を出場させて王国の戦力を計っている事から何かしようとしている。
「なんとかします」
「そうか。頑張ってくれ」
一通り話が終わると病室を出て行った。
「ねぇ、アラン。退院したら協力を取り付けに行くってことは学院には戻って来ないの?」
「うん。元々王城に乗り込むために入学したからもう用はない」
元々学院の卒業資格を手に入れたいから入学したわけじゃない。ねぇちゃんを助け出すために利用したに過ぎないのだ。でも俺にとって初めての友達と離れるのは辛い。
「出て行くならちゃんとお別れの挨拶ぐらいみんなにして行きなさいよね」
エリスの顔には涙が浮かんでいた。
「あぁ、もちろん。真っ先に行くよ」
「私、もっと強くなるから。強くなってアランと一緒に戦う」
「うん。俺も強くなる」
言いたいことはまだあるのだろうけど今日はここまでみたいだ。
「それじゃ!早く退院しなさいよ!」
そう言ってエリスは足早に寮へと帰って行った。
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