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12-ヒロイン症候群(シンドローム)
134.××、かく語りき
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安全日のはずだったのに。それがお母さんの口癖だった
あたしはいわゆる『予定外の産物』で、お父さんとお母さんが愛し合った結果ポコンと出来てしまった
お母さんは元々生理不順気味で、そんなにお腹が膨らむタイプじゃなかったらしく、気づいた時にはもう堕ろせる時期をほんの少しだけ過ぎていたそうだ
困ったお母さんはわざと転んだり、怪しい違法なお薬を飲んだりしたけど、あたしはしつこくお腹に居座り続けた
散々悩んだ挙句、ついにお母さんはお父さんに打ち明けた
「大丈夫、結婚しよう」って優しく言ってくれる人だと思っていたから
でも結果はあっさり捨てられた
「人生設計が狂う」って一言だけ言い残して、上司の娘さんと結婚したんだって
あの女、あの女、ってその結婚相手をあたしに重ねて何度もビンタしたからよく覚えてる
なんで逃げずに我慢してたかって?
あはは、今おもうとヘンな話なんだけどね、当時はその暴力すら嬉しかったんだ
だってお母さんがあたしの事を認識してる、今だけはちゃんと見てくれてるって
痛いのは嫌だったけど、でも無視されるのはもっと嫌だったの
時折お母さんは呼んでもまるで聞こえていないかのように振舞ったから
「おかあさん、お手伝いできることない? あたし何でもするよ?」
「……」
「おかあさん、あのね、綺麗なお花がね、咲いてたの、はい」
「……」
「お、かぁさん、あのね、……」
「……」
「ひぐ……ぐすっ」
「……」
「う、うわぁぁぁん……」
「あぁもううるさい! ほんとうざい!!」
「あ。……え、へへ、えへへ」
「……何わらってんのよ」
「ぐっ!」
「ホント嫌い! その媚び諂うのが気持ち悪い!! アンタのせいよ! 全部アンタのせいなんだから!! アンタさえ居なければ今頃あの人と――」
ネグレクトとか虐待だなんて言葉は浮かびもしなかった。だってお母さんはあたしをキチンと育ててくれたもの
住む家もくれた、ご飯もくれた、着る服も買ってくれた。ただちょっとあたしに関心がないだけ
きっとこれが普通なんだって思ってた
でもなんでだろ……小学校に上がって外の世界を知るぐらいになって、やっぱり少しヘンなのかな? って感じ始めた
だってみんなあたしの知らない話をしてる。誕生日ってなに? 好きなものを買ってもらえる日? そのキーホルダーのキャラなんてわかんないよ
子供ってそういうの敏感に感じ取るんだろうね、気づいた時にはクラスで浮いた存在になってて、あたしが受け答えできなくて黙り込むたびに周りでクスクス笑う声が上がった
持ち物が無くなってゴミ箱に捨てられていて、根暗菌が移ると囃し立てられ、給食はいつもちょっと少なかった
でも中学に上がってから大好きなことが出来たの それも二つも!
一つは学校の図書室。置かれている児童書を片っ端からむさぼるように読んだっけ
本を読んでいる時だけはあたしは別の人物になれる。お話の中のあたしは明るく元気で前向きで、ちょっとドジだけどどんな時でもぜったいに挫けない強さを持った笑顔の素敵な女の子
大切な仲間ができて、一緒に困難を乗り越えて、励まして励まされて――最後は必ずハッピーエンドでめでたしめでたし
あぁいいなぁ、なんて素敵なんだろう
大好きな物その二。校舎裏でこっそり飼ってた野良猫のミィ子。茶色くてふわふわでみぃみぃ鳴くからミィ子
病気で捨てられたのか片方の目が潰れて無かったんだけど、それを差し引いてもすっごく可愛くて大好き
少しだけ残した給食の牛乳とパンをあげてる内にすっかり仲良くなって、放課後は借り出した本を読みながらいつもこの子と遊んでた
「これ、なーんだ」
だけどある日、クラスの女の子が数人いつもの校舎裏であたしを待ち構えてた
その手にはギャオギャオと暴れるミィ子を吊った紐が握られていた
「いっけないんだ~、ガッコで猫なんて飼っちゃいけないんだよー?」
「うっわキショッ、片目ないじゃん!」
「ぎゃあキモい! 持っててよっ」
「やだもぉ繋いでおきなよ~」
ケラケラと笑う彼女たちを前にあたしは震えるしか出来なかった
リーダー格の女の子があたしの手にサビた鉄パイプを押し付ける
「始末しないとね?」
「……え?」
「ほら、こんな見た目だしこれから生きててもきっとツラいって。仲良しなんでしょ? アンタの手でラクにしてあげなよ」
あたしが? ミィ子を?
――そんなこと絶対にできない!
そう言いたいのに怖くて声が出てこない。ただひたすら首を振るしかできなかった
「上手く出来たらアタシたちのグループ入れてあげる。ほらやりなよ、やってよ、……やれよッ!」
叩きつけるような命令がお母さんの怒鳴り声とダブる
無意識の内にギュッと鉄パイプを握り締め、木につながれているミィ子に振り向いた
「あ……あぁ……」
「はーい良い子、がんばれがんばれ」
ミィ子は怯えたように片方の目であたしを見てる
たすけて やめて こわいよ
そんな声が聞こえてくるような気がしたけど、
でも、
ごめん、ごめんね、
痛くないようにわざと外すから、2、3発は入っちゃうかもしれないけどちょっとの間だけ我慢して、でないとあたしが……
「ちょっ、マジでやってるし! ウケる」
「動画動画! 学校の裏サイトにうpしよ!」
「待って待ってムービーどうやるんだっけ」
震えながら振り下ろした凶器がミィ子のおなかにヒットする
「あっ」
ギャオッ!という悲鳴でハッとする。
慌ててしゃがみ隠すようにして首の縄を外してやる。ゴメンね、もうここまでやれば充分だから――
だけど傷を確かめようと伸ばした手をすり抜けてミィ子は全力で逃げ出した
そのままフェンスの下を潜り抜けて学校の外へと這い出る
あたしも追いかけようとフェンスを回り込んだ。ようやく追いつくとミィ子は生活用水を垂れ流す汚いどぶ川に飛び込んで必死に泳いでいた
後ろから追いついてきた彼女達が、拾った石をもがいているミィ子めがけて笑いながらぶつける
キャハハハと笑う声が頭に突き刺さる その内の一つがまともにミィ子のつぶれた目に当たり小さな子猫はぶくぶくと泡を出しながら沈んでいった
「あ……嘘だ、こんなの」
あたしはバカだ。アイツらに飛び掛って殴りでもすればミィ子の魂も少しは浮かばれただろうに
――でも仕返しされるかもしれない
ううん、もっと早く川に飛び込んで引き上げてあげれば
――あんな汚いヘドロの中に?
鉄パイプで殴ったりしなければ!
――だってあの場面ではしょうがなかったじゃない!!
聞こえてくるのは哀しくなるくらいに自分主体のエゴまみれな本音
きっとあたしは、少しずつ作り上げていた理想のヒロイン像と自分を同化させていたんだろう
でも現実はどうだ。何にもできないばかりか自分の事しか考えられなかった
大切な友を保身の為にあっさりと見捨てた。いい訳めいた弁解で今も必死に自分を弁護しようとしている
きもちわるい 本当の自分はこんなにきたない人間なんだ
そしてヒロインになれなかったあたしは一番最低な選択をした
背中を向けて逃げだしたのだ。まだ動画を撮っている彼女たちを残し、一度も振り返らず全速力でその場を去る
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、こんなはずじゃなかったんです
もうあの子はいない。ふわふわな毛並みも、ゴロゴロと喉を鳴らす音も、撫でると嬉しそうにみゃあと鳴く声も
「あああああああああああああ
あああああああああああああ
あああああああああああああ」
道で転んだあたしは倒れ伏したまま泣いた
声が枯れるまで泣いたけど ミィ子は帰ってこなかった
翌日からもいじめは無くならなかった
あたしはいわゆる『予定外の産物』で、お父さんとお母さんが愛し合った結果ポコンと出来てしまった
お母さんは元々生理不順気味で、そんなにお腹が膨らむタイプじゃなかったらしく、気づいた時にはもう堕ろせる時期をほんの少しだけ過ぎていたそうだ
困ったお母さんはわざと転んだり、怪しい違法なお薬を飲んだりしたけど、あたしはしつこくお腹に居座り続けた
散々悩んだ挙句、ついにお母さんはお父さんに打ち明けた
「大丈夫、結婚しよう」って優しく言ってくれる人だと思っていたから
でも結果はあっさり捨てられた
「人生設計が狂う」って一言だけ言い残して、上司の娘さんと結婚したんだって
あの女、あの女、ってその結婚相手をあたしに重ねて何度もビンタしたからよく覚えてる
なんで逃げずに我慢してたかって?
あはは、今おもうとヘンな話なんだけどね、当時はその暴力すら嬉しかったんだ
だってお母さんがあたしの事を認識してる、今だけはちゃんと見てくれてるって
痛いのは嫌だったけど、でも無視されるのはもっと嫌だったの
時折お母さんは呼んでもまるで聞こえていないかのように振舞ったから
「おかあさん、お手伝いできることない? あたし何でもするよ?」
「……」
「おかあさん、あのね、綺麗なお花がね、咲いてたの、はい」
「……」
「お、かぁさん、あのね、……」
「……」
「ひぐ……ぐすっ」
「……」
「う、うわぁぁぁん……」
「あぁもううるさい! ほんとうざい!!」
「あ。……え、へへ、えへへ」
「……何わらってんのよ」
「ぐっ!」
「ホント嫌い! その媚び諂うのが気持ち悪い!! アンタのせいよ! 全部アンタのせいなんだから!! アンタさえ居なければ今頃あの人と――」
ネグレクトとか虐待だなんて言葉は浮かびもしなかった。だってお母さんはあたしをキチンと育ててくれたもの
住む家もくれた、ご飯もくれた、着る服も買ってくれた。ただちょっとあたしに関心がないだけ
きっとこれが普通なんだって思ってた
でもなんでだろ……小学校に上がって外の世界を知るぐらいになって、やっぱり少しヘンなのかな? って感じ始めた
だってみんなあたしの知らない話をしてる。誕生日ってなに? 好きなものを買ってもらえる日? そのキーホルダーのキャラなんてわかんないよ
子供ってそういうの敏感に感じ取るんだろうね、気づいた時にはクラスで浮いた存在になってて、あたしが受け答えできなくて黙り込むたびに周りでクスクス笑う声が上がった
持ち物が無くなってゴミ箱に捨てられていて、根暗菌が移ると囃し立てられ、給食はいつもちょっと少なかった
でも中学に上がってから大好きなことが出来たの それも二つも!
一つは学校の図書室。置かれている児童書を片っ端からむさぼるように読んだっけ
本を読んでいる時だけはあたしは別の人物になれる。お話の中のあたしは明るく元気で前向きで、ちょっとドジだけどどんな時でもぜったいに挫けない強さを持った笑顔の素敵な女の子
大切な仲間ができて、一緒に困難を乗り越えて、励まして励まされて――最後は必ずハッピーエンドでめでたしめでたし
あぁいいなぁ、なんて素敵なんだろう
大好きな物その二。校舎裏でこっそり飼ってた野良猫のミィ子。茶色くてふわふわでみぃみぃ鳴くからミィ子
病気で捨てられたのか片方の目が潰れて無かったんだけど、それを差し引いてもすっごく可愛くて大好き
少しだけ残した給食の牛乳とパンをあげてる内にすっかり仲良くなって、放課後は借り出した本を読みながらいつもこの子と遊んでた
「これ、なーんだ」
だけどある日、クラスの女の子が数人いつもの校舎裏であたしを待ち構えてた
その手にはギャオギャオと暴れるミィ子を吊った紐が握られていた
「いっけないんだ~、ガッコで猫なんて飼っちゃいけないんだよー?」
「うっわキショッ、片目ないじゃん!」
「ぎゃあキモい! 持っててよっ」
「やだもぉ繋いでおきなよ~」
ケラケラと笑う彼女たちを前にあたしは震えるしか出来なかった
リーダー格の女の子があたしの手にサビた鉄パイプを押し付ける
「始末しないとね?」
「……え?」
「ほら、こんな見た目だしこれから生きててもきっとツラいって。仲良しなんでしょ? アンタの手でラクにしてあげなよ」
あたしが? ミィ子を?
――そんなこと絶対にできない!
そう言いたいのに怖くて声が出てこない。ただひたすら首を振るしかできなかった
「上手く出来たらアタシたちのグループ入れてあげる。ほらやりなよ、やってよ、……やれよッ!」
叩きつけるような命令がお母さんの怒鳴り声とダブる
無意識の内にギュッと鉄パイプを握り締め、木につながれているミィ子に振り向いた
「あ……あぁ……」
「はーい良い子、がんばれがんばれ」
ミィ子は怯えたように片方の目であたしを見てる
たすけて やめて こわいよ
そんな声が聞こえてくるような気がしたけど、
でも、
ごめん、ごめんね、
痛くないようにわざと外すから、2、3発は入っちゃうかもしれないけどちょっとの間だけ我慢して、でないとあたしが……
「ちょっ、マジでやってるし! ウケる」
「動画動画! 学校の裏サイトにうpしよ!」
「待って待ってムービーどうやるんだっけ」
震えながら振り下ろした凶器がミィ子のおなかにヒットする
「あっ」
ギャオッ!という悲鳴でハッとする。
慌ててしゃがみ隠すようにして首の縄を外してやる。ゴメンね、もうここまでやれば充分だから――
だけど傷を確かめようと伸ばした手をすり抜けてミィ子は全力で逃げ出した
そのままフェンスの下を潜り抜けて学校の外へと這い出る
あたしも追いかけようとフェンスを回り込んだ。ようやく追いつくとミィ子は生活用水を垂れ流す汚いどぶ川に飛び込んで必死に泳いでいた
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キャハハハと笑う声が頭に突き刺さる その内の一つがまともにミィ子のつぶれた目に当たり小さな子猫はぶくぶくと泡を出しながら沈んでいった
「あ……嘘だ、こんなの」
あたしはバカだ。アイツらに飛び掛って殴りでもすればミィ子の魂も少しは浮かばれただろうに
――でも仕返しされるかもしれない
ううん、もっと早く川に飛び込んで引き上げてあげれば
――あんな汚いヘドロの中に?
鉄パイプで殴ったりしなければ!
――だってあの場面ではしょうがなかったじゃない!!
聞こえてくるのは哀しくなるくらいに自分主体のエゴまみれな本音
きっとあたしは、少しずつ作り上げていた理想のヒロイン像と自分を同化させていたんだろう
でも現実はどうだ。何にもできないばかりか自分の事しか考えられなかった
大切な友を保身の為にあっさりと見捨てた。いい訳めいた弁解で今も必死に自分を弁護しようとしている
きもちわるい 本当の自分はこんなにきたない人間なんだ
そしてヒロインになれなかったあたしは一番最低な選択をした
背中を向けて逃げだしたのだ。まだ動画を撮っている彼女たちを残し、一度も振り返らず全速力でその場を去る
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、こんなはずじゃなかったんです
もうあの子はいない。ふわふわな毛並みも、ゴロゴロと喉を鳴らす音も、撫でると嬉しそうにみゃあと鳴く声も
「あああああああああああああ
あああああああああああああ
あああああああああああああ」
道で転んだあたしは倒れ伏したまま泣いた
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