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12-ヒロイン症候群(シンドローム)
135.××、遅まきながら理解する。
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高校に上がったあたしは少しだけ変わった
とにかく目立たないように、つまり浮かない程度には人付き合いもがんばる
当たり障りのない受け答えが出来るよう色んな知識も詰め込んだ。冗談も少しは言えるようになった
それでもやっぱりどこか孤独で、友達に挟まれても世界中で一人な気がしていた
そんな折、お母さんが少しだけ優しくなった
理由はなんとなく分かる。最近お付き合いし始めた人が出来たのだ
コモリさんと言うその人は少しだけ背が低いけどとても優しくて良い人だった
週末になる度にうちに来て、お母さんも張り切って手料理を振る舞ってた
あたしに対しても常に笑顔で接してくれて「学校はどうだい?」とか「もうすぐ誕生日だろう? プレゼントは何が良いかな」なんて気さくに話しかけてくれた
お母さんもニコニコ顔で「あら、私には何もくれないの? もうすぐなのよ、そうね五ヶ月ぐらい」なんて冗談を言って、三人で笑う
それがなんだか普通の家族みたいで、コモリさんじゃなくてお父さんって呼んでみようかな、なんてあたしは密かにほくそ笑んでいた
「あれ?」
そんなある日の夕方、家に帰ったあたしは玄関の鍵が開いてることに気づいた
慌てて左右のお隣を見て、ここが間違いなく自分の家であることを確認する
お母さんはまだ仕事のはずだけど、出て行くときにかけ忘れたんだろうか。なんて思いながら慎重に開ける
赤い西日が差し込む廊下はなんだか燃えてるみたいで、少し不気味だった
警戒しながら狭い廊下を進んでいくと、居間に見慣れた後頭部が見えてホッとする。詰めていた息を吐いたあたしはその名前を呼んだ
「コモリさん、こんにちわ。鍵が開いてるからドロボーにでも入られたかと思っちゃいましたよ」
「あぁ、おかえり。この間お母さんからここの合鍵を貰ったんだ、驚かせちゃったね」
「いえ、麦茶で良いですか?」
「ありがとう」
用意したグラスを彼の前にコトンと置くとなんだかジロジロと見られているような気がした
なんとなく居心地の悪さを感じたけど、すぐにそんな視線は引っ込めてコモリさんはいつものように他愛ない会話を振ってくる
「お母さん今日は遅くなるって言ってたっけ?」
「遅番なんで八時くらいにならないと帰ってこないと思います」
あたしはいつものように愛想笑いも混ぜながら受け答えをする
……うまく笑えてるかな
そして会話の流れはよく覚えてないけど、誘導されるようにいつの間にか恋愛の話になっていた
どうしよう、そろそろ夕飯のしたくしなきゃいけなんだけど……
「いやいるでしょ絶対!」
「やだもう、彼氏なんて居ませんってば」
「本当かな~? 最近の高校生は進んでるって聞いたけど。ほら」
突然パッと手首を掴まれて揉まれるように手を触られる
必要以上に馴れ馴れしい手つきに少しだけ不快感がこみ上げた
「こういう事とかしてるんじゃないの」
「あの……?」
コモリさんはニコニコと笑いながら手を離そうとしない
なんだか嫌な予感がしたけど、お母さんの大切な人に対していきなり突き飛ばすような失礼な事はできない。やんわりと振りほどこうとした時だった
「ひっ!」
裏腿をするりと撫で上げられて息を呑む
慌てて突き放そうとしたけどその前に肩を掴まれてしまい逃げられなくなる
「抵抗しないってことは、期待してるってこと? そうだよね」
ギラギラした目と荒い息遣い。それが何なのかわからないほどあたしは子供じゃなくて、あってはいけない過ちを必死に思いとどまらせようとした
「コモリさんやめて!」
「大丈夫大丈夫、すぐに終わるから、黙っていればお母さんにはバレないからね」
「っ!!」
引き倒されて仰向けの状態で畳の上に押し倒される。のし掛かってくる重量と知らない臭いに全身が総毛立った
逃げなきゃ!
――だって抵抗したら殴られるかもしれない
絶対にやだっ
――あたしが少しだけ我慢すれば誰も傷つかないんじゃない?
だってほら、痛いのは慣れてる
まただ、弱い自分は何もできない。でも、でも……!
そんな様子にはお構いなしに、コモリさんは下着越しに股間をグリグリと押しつけてきた
「や、やめ、やめて……」
「ああ~その怯えた目! やっぱりかわいいなぁ、一目見たときからこうしようって決めてたんだよ」
ハァハァハァと荒い息づかいが首にかかる
きもちわるい きもちわるい きもちわるい!
「――っ――っっ」
ぷつん、と。喉から言葉を発する機能が失われてしまったかのように声が出なくなる
ブラウスの裾に手をかけられ下着ごとたくしあげられる。一度引っ掛かった胸がぷるんと外気にさらされた
それをいいように揉みしだかれてむしゃぶりつかれる。感情が振り切れたあたしはそれを上からぼんやりと見ていた
……どうしてこんなことになったんだっけ?
もう考えるのも疲れた
どうせ、抵抗したところで敵うわけない
壊れた蛇口みたいに目から涙が流れ出る
いつもみたいに言い聞かせなきゃ
だいじょうぶ、だいじょうぶだよ知花、
あなたが我慢すれば、それで全部、丸く収まるの
うん、そうだね
……悲しい、な
何も感じないくらい、心を閉ざしてしまおうとしたその時だった
ドサリ、と重たい音が居間に響きハッとそちらに目を向ける
扉のすぐ側で呆然とした顔をしたお母さんが立ち尽くしていた。床に落とされたビニール袋からたまねぎがコロコロとキッチンの方へ転がっていく
キュッと眉をつり上げたお母さんはすぐにこちらへ歩んできたかと思うとコモリさんを引き剥がしてくれた
「こ、これは、違――」
「出てって!!」
金切り声で叩きつけるように言われ、コモリさんはビクッとすくむ
その肩をドン!と突き飛ばしお母さんは続けた
「合鍵置いて早く! 二度と顔を見せないで!!」
震える手でポケットから合鍵を出した彼は机にそっと置く。二、三歩後ずさったかと思うと転げるように逃げていった
玄関がバタンと閉まる音が響き、夕暮れで赤く染まった畳にお母さんが崩れ落ちる
子供のように泣きじゃくる背中にあたしはしがみついて一緒に泣いた。単純に嬉しかった
お母さん、お母さん、怖かったの、助けてくれてありがとう
やっぱりお母さんだ、あたしがピンチの時はちゃんと助けてくれる――
「っぐ、」
いきなり首を掴まれて喉からヘンな声が出る
振り返ってこちらを見るお母さんの瞳孔は奇妙なほどに開いていた
「おかあ、さん」
「ねぇ、どうして私が幸せになろうとするといつも邪魔するの?」
ぐぐぐと指は締まっていき、圧し掛かるように押され始める
奇妙なことに、後からどんなに思い返そうとしてもその顔はマジックで塗りつぶされたみたいに真っ黒だった。見えている目の部分だけが恐ろしいほどに澄んでいる
怒りも哀しみもなくて、ただ純粋に疑問をぶつける子供のような瞳だった
「ねぇどうして? 答えて、教えて、ふしぎなの」
「お、おかあ、さん、やめて」
「なんで? なんでなんでなんでなんで……」
ぽたりと顔に雫が当たるのを感じて、あたしはようやく気づいた
あぁ、そうか この人はあたしが居ないほうが幸せになれる
何度も何度も言われたけど信じたくなかった言葉が、本当に真意だったのだとストンと心に落ちた
生まれてきてごめんなさい
我慢して育ててくれてたんだよね
高校生にもなったんだから、さっさと家を出て行けば良かったね
もう何もかもが遅いけど
最後まで期待してしまってごめんなさい
愛されてると、思いたかったんです
でも困ったな、このままだとお母さん、あたしを殺した罪で犯罪者になっちゃうよ
どうしよう、それは嫌だ。たとえ向こうが嫌っていたってあたしはお母さんが大好きだから
(あぁ、かみさま、もし居るのならお願いです)
意識がすぅっと遠のいていく
……
次に意識が浮上した時、部屋の中はゴウゴウと燃えていた
その意味を理解してあたしはほんの少しだけ笑いそうになる
(お母さん、全部燃やして有耶無耶にするつもりだ)
燃やしたとしても司法解剖したら全部わかっちゃうのに
まともとは言えない判断に、そこまで追いつめていたのかと哀しくなる
今頃どんな気持ちでいるだろう、きっと怯えてる……
願いが通じたのはその時だった
焼け落ちる室内にバサリと場違いな羽ばたき音が響いた
目をうっすらとあけると金色の翼を生やした神さまがそこに居た
「これはまた……ずいぶんと悲惨な状況のようだね」
とにかく目立たないように、つまり浮かない程度には人付き合いもがんばる
当たり障りのない受け答えが出来るよう色んな知識も詰め込んだ。冗談も少しは言えるようになった
それでもやっぱりどこか孤独で、友達に挟まれても世界中で一人な気がしていた
そんな折、お母さんが少しだけ優しくなった
理由はなんとなく分かる。最近お付き合いし始めた人が出来たのだ
コモリさんと言うその人は少しだけ背が低いけどとても優しくて良い人だった
週末になる度にうちに来て、お母さんも張り切って手料理を振る舞ってた
あたしに対しても常に笑顔で接してくれて「学校はどうだい?」とか「もうすぐ誕生日だろう? プレゼントは何が良いかな」なんて気さくに話しかけてくれた
お母さんもニコニコ顔で「あら、私には何もくれないの? もうすぐなのよ、そうね五ヶ月ぐらい」なんて冗談を言って、三人で笑う
それがなんだか普通の家族みたいで、コモリさんじゃなくてお父さんって呼んでみようかな、なんてあたしは密かにほくそ笑んでいた
「あれ?」
そんなある日の夕方、家に帰ったあたしは玄関の鍵が開いてることに気づいた
慌てて左右のお隣を見て、ここが間違いなく自分の家であることを確認する
お母さんはまだ仕事のはずだけど、出て行くときにかけ忘れたんだろうか。なんて思いながら慎重に開ける
赤い西日が差し込む廊下はなんだか燃えてるみたいで、少し不気味だった
警戒しながら狭い廊下を進んでいくと、居間に見慣れた後頭部が見えてホッとする。詰めていた息を吐いたあたしはその名前を呼んだ
「コモリさん、こんにちわ。鍵が開いてるからドロボーにでも入られたかと思っちゃいましたよ」
「あぁ、おかえり。この間お母さんからここの合鍵を貰ったんだ、驚かせちゃったね」
「いえ、麦茶で良いですか?」
「ありがとう」
用意したグラスを彼の前にコトンと置くとなんだかジロジロと見られているような気がした
なんとなく居心地の悪さを感じたけど、すぐにそんな視線は引っ込めてコモリさんはいつものように他愛ない会話を振ってくる
「お母さん今日は遅くなるって言ってたっけ?」
「遅番なんで八時くらいにならないと帰ってこないと思います」
あたしはいつものように愛想笑いも混ぜながら受け答えをする
……うまく笑えてるかな
そして会話の流れはよく覚えてないけど、誘導されるようにいつの間にか恋愛の話になっていた
どうしよう、そろそろ夕飯のしたくしなきゃいけなんだけど……
「いやいるでしょ絶対!」
「やだもう、彼氏なんて居ませんってば」
「本当かな~? 最近の高校生は進んでるって聞いたけど。ほら」
突然パッと手首を掴まれて揉まれるように手を触られる
必要以上に馴れ馴れしい手つきに少しだけ不快感がこみ上げた
「こういう事とかしてるんじゃないの」
「あの……?」
コモリさんはニコニコと笑いながら手を離そうとしない
なんだか嫌な予感がしたけど、お母さんの大切な人に対していきなり突き飛ばすような失礼な事はできない。やんわりと振りほどこうとした時だった
「ひっ!」
裏腿をするりと撫で上げられて息を呑む
慌てて突き放そうとしたけどその前に肩を掴まれてしまい逃げられなくなる
「抵抗しないってことは、期待してるってこと? そうだよね」
ギラギラした目と荒い息遣い。それが何なのかわからないほどあたしは子供じゃなくて、あってはいけない過ちを必死に思いとどまらせようとした
「コモリさんやめて!」
「大丈夫大丈夫、すぐに終わるから、黙っていればお母さんにはバレないからね」
「っ!!」
引き倒されて仰向けの状態で畳の上に押し倒される。のし掛かってくる重量と知らない臭いに全身が総毛立った
逃げなきゃ!
――だって抵抗したら殴られるかもしれない
絶対にやだっ
――あたしが少しだけ我慢すれば誰も傷つかないんじゃない?
だってほら、痛いのは慣れてる
まただ、弱い自分は何もできない。でも、でも……!
そんな様子にはお構いなしに、コモリさんは下着越しに股間をグリグリと押しつけてきた
「や、やめ、やめて……」
「ああ~その怯えた目! やっぱりかわいいなぁ、一目見たときからこうしようって決めてたんだよ」
ハァハァハァと荒い息づかいが首にかかる
きもちわるい きもちわるい きもちわるい!
「――っ――っっ」
ぷつん、と。喉から言葉を発する機能が失われてしまったかのように声が出なくなる
ブラウスの裾に手をかけられ下着ごとたくしあげられる。一度引っ掛かった胸がぷるんと外気にさらされた
それをいいように揉みしだかれてむしゃぶりつかれる。感情が振り切れたあたしはそれを上からぼんやりと見ていた
……どうしてこんなことになったんだっけ?
もう考えるのも疲れた
どうせ、抵抗したところで敵うわけない
壊れた蛇口みたいに目から涙が流れ出る
いつもみたいに言い聞かせなきゃ
だいじょうぶ、だいじょうぶだよ知花、
あなたが我慢すれば、それで全部、丸く収まるの
うん、そうだね
……悲しい、な
何も感じないくらい、心を閉ざしてしまおうとしたその時だった
ドサリ、と重たい音が居間に響きハッとそちらに目を向ける
扉のすぐ側で呆然とした顔をしたお母さんが立ち尽くしていた。床に落とされたビニール袋からたまねぎがコロコロとキッチンの方へ転がっていく
キュッと眉をつり上げたお母さんはすぐにこちらへ歩んできたかと思うとコモリさんを引き剥がしてくれた
「こ、これは、違――」
「出てって!!」
金切り声で叩きつけるように言われ、コモリさんはビクッとすくむ
その肩をドン!と突き飛ばしお母さんは続けた
「合鍵置いて早く! 二度と顔を見せないで!!」
震える手でポケットから合鍵を出した彼は机にそっと置く。二、三歩後ずさったかと思うと転げるように逃げていった
玄関がバタンと閉まる音が響き、夕暮れで赤く染まった畳にお母さんが崩れ落ちる
子供のように泣きじゃくる背中にあたしはしがみついて一緒に泣いた。単純に嬉しかった
お母さん、お母さん、怖かったの、助けてくれてありがとう
やっぱりお母さんだ、あたしがピンチの時はちゃんと助けてくれる――
「っぐ、」
いきなり首を掴まれて喉からヘンな声が出る
振り返ってこちらを見るお母さんの瞳孔は奇妙なほどに開いていた
「おかあ、さん」
「ねぇ、どうして私が幸せになろうとするといつも邪魔するの?」
ぐぐぐと指は締まっていき、圧し掛かるように押され始める
奇妙なことに、後からどんなに思い返そうとしてもその顔はマジックで塗りつぶされたみたいに真っ黒だった。見えている目の部分だけが恐ろしいほどに澄んでいる
怒りも哀しみもなくて、ただ純粋に疑問をぶつける子供のような瞳だった
「ねぇどうして? 答えて、教えて、ふしぎなの」
「お、おかあ、さん、やめて」
「なんで? なんでなんでなんでなんで……」
ぽたりと顔に雫が当たるのを感じて、あたしはようやく気づいた
あぁ、そうか この人はあたしが居ないほうが幸せになれる
何度も何度も言われたけど信じたくなかった言葉が、本当に真意だったのだとストンと心に落ちた
生まれてきてごめんなさい
我慢して育ててくれてたんだよね
高校生にもなったんだから、さっさと家を出て行けば良かったね
もう何もかもが遅いけど
最後まで期待してしまってごめんなさい
愛されてると、思いたかったんです
でも困ったな、このままだとお母さん、あたしを殺した罪で犯罪者になっちゃうよ
どうしよう、それは嫌だ。たとえ向こうが嫌っていたってあたしはお母さんが大好きだから
(あぁ、かみさま、もし居るのならお願いです)
意識がすぅっと遠のいていく
……
次に意識が浮上した時、部屋の中はゴウゴウと燃えていた
その意味を理解してあたしはほんの少しだけ笑いそうになる
(お母さん、全部燃やして有耶無耶にするつもりだ)
燃やしたとしても司法解剖したら全部わかっちゃうのに
まともとは言えない判断に、そこまで追いつめていたのかと哀しくなる
今頃どんな気持ちでいるだろう、きっと怯えてる……
願いが通じたのはその時だった
焼け落ちる室内にバサリと場違いな羽ばたき音が響いた
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