149 / 156
EX-延長戦
とある姉によるえげつない所業-前編-
しおりを挟む
ランバール少年のここ最近の関心は、もっぱらとある姉弟《きょうだい》に向けられていた。
輝く金の髪が美しい姉と、青い瞳が印象的な黒髪の弟が、編入という形でここエルミナージュ魔法学校に入学してきたのはつい数カ月前の事だった。
二人は顔の造りは似ては居ないものの、どちらも違ったタイプの美形でとにかく人目を惹く。彼らの事はランバールに限らず全校生徒が注目していた。
姉の方は明るく朗らかで、入ってきたその日に半数の生徒に名前が知れ渡るくらいに社交的だった。魔女科に所属している割には製作が苦手らしいが、飛行術にズバ抜けた才能を持っており、飛行レース部の部長が土下座して入部を頼んだとの噂がまことしやかに流れていた。
その弟である少年。どちらかと言うとランバールはこちらに強い関心があった。その関心はあまりよくない意味でだったが。姉とは反対にもの静かな少年は、ランバールから言わせてもらうとひたすらに暗かった。友達を作るつもりなど毛頭ないのか、その視線はほとんど本に向けられている。
ここからが謎で仕方ないのだが、彼は恐ろしく女子生徒に人気があった。ミステリアスなのがたまらないとか、クールでカッコいいだとか
確かに美形なのは認めるがそこまで騒ぐことだろうか? いや、気になっていた女子がその追っかけ集団に混ざっているのを見たからとかそういう理由ではない、ないのだ。
なのに好意の視線を向けられている本人は彼女たちをとことん無視している。それがまた腹が立つ。
まだまだある。彼は魔女道具作りの才能を恐ろしいほどに秘めているらしく、入学後すぐに飛び級をしてしまったのだ。数年前に風の精霊シルミアに放り込まれた自分をさっさと追い越し、今や上級生に混じって講義を受けている。
校長の直弟子になった事もムカつく。
自分より少しだけ背が高いところも輪にかけてムカつく。
あぁもう、まったくいけ好かない男だ。
だからちょっかいをかけることにした。何せ彼と姉の経歴には謎が多い。これは何かあると、ランバールは直感的に感じ取っていたのだ。
「セ・ン・パ・イ」
ザッと、廊下を通りかかったところで目の前に飛び降りてやる。一瞬驚いたような顔で足を止めた少年――オズワルドはハァとため息をついて横をすり抜けた。
「おっと、つれないなァ。ねーねーどこ行くんッスかぁ? オレも連れてって下さいよー」
その後ろを付いていきながら軽く話し掛ける。それでもオズワルドは振り向かない。ランバールは頭の後ろで手を組みながら、さてどの方面から探り出してやろうかと考える。
「もうすぐ夏の休暇じゃないッスかぁ~、センパイはお姉さんつれて実家に帰省とかしないんスか?」
彼の魔力はどこかひやりとするような清涼感のある匂いだ。加えてこの地方ではそうそう見ない青い瞳に抜けるような白い肌。水のマナに好かれているところを見ると――
「それとも帰れないほど遠方だったり? オレ南方育ちなんで雪とか見たこと無いんスよねぇ~、連れてってくれたりしません? 北の方」
カマを掛けるような言葉にようやく彼は振り向く。射抜かれてしまいそうな鋭い視線をこちらに寄越したかと思うとスゥッとその姿が掻き消えた。
「おわ、魔女道具? すっげー、さすが飛び級するだけの事はあるッスねー」
おそらくまだその辺りには居るであろう彼にわざと聞こえるよう、ランバールはニヤリと笑いながら言った。
「アンタのその悲劇きどりの面《ツラ》がムカつくんだよ、取り繕った皮を剥いでやるから覚悟しとけ」
***
背後のソファから重たいため息が響く。
机に向かって作業をしていたシャルロッテは、のけぞるようにそちらを振り返った。視線の先ではオズワルドが頭を抱えてうめき声をあげている。
「やぁぁもう、せっかくの姉弟水入らずの憩いの時間なのに、そんな空気が澱むようなため息やめてくんない?」
「憩いの時間に、なんで補習の課題やってるんだ」
至極真っ当な意見に、シャルロッテは解き掛けの問題集を宙にバサァッと投げ出した。
「しょーがないじゃないっ、全然わかんないわよこんなの~」
「……【問1】途中式違う。【問3】魔法陣にラクガキをするな。他はせめて解く努力をしろ」
「うぁーん」
へろへろと突っ伏した彼女は首だけを器用にこちらに向けると、で?と問いかけた。
「何をため息なんかついちゃってるわけ?」
「……」
床に落ちた課題を拾い上げたオズワルドは、解答欄を片手間に埋めながらぼそりと呟いた。
「……講義は楽しい。でも周りがうるさい、うざいヤツが居る」
「ははーん、周囲になじめず孤立してるわけだ」
座したまま椅子を持ち上げたシャルロッテは180度向きを変える。その言葉に眉を寄せた弟は羽ペンの動きを止めた。
「ヘイトを集めるのは分かってたけどここまでとは思わなかった、俺はアンタみたいに馬鹿を演じるとか出来ないし」
「ちょっと失礼ね、私が馬鹿なのは本当よ! 演技でやるわけないでしょっ」
どのポイントを怒っているんだ、自信満々に馬鹿宣言をしないでくれ。そう言い掛けるが、彼女がこんな苦労をするはめになった原因が自分にある事を思い出し俯く。
「なら魔導師科に入ればよかったじゃないか。あんたはそっちの方が適正あっただろうに、わざわざ俺に合わせて魔女科に入らなくても……」
「もうっ、それについては散々話し合ったでしょ。これからは二人助け合って生きて行くのよ、できるだけ近くに居たほうが良いじゃない」
「……」
まただ、また負い目が増えていく。
しばらくの沈黙の後、弟はどうしても分からないことを尋ねてみた。
「シャルロッテ」
「あら、名前呼んでくれるなんて珍しい」
「……アンタはもう『シャルロッテ』なんだろ? なら俺とはもう赤の他人だ。自由に生きて良いのに、どうして」
最後まで言い切ることが出来ずに、オズワルドの言葉尻が消えていく。
それを困ったように笑いながら見ていた姉は、立ち上がると彼の横に勢いよく腰掛けた。その頬を突っつきながら肩にもたれかかる。
「やーんオズちゃん優しーんだからぁ。心配しなくってもこれは私の意思でやってることよ。だからそんなに卑屈にならないで~、ねぇねぇ」
「やめろ、触るな、うざい」
うっとおしそうに振り払われ、シャルロッテは柔らかく微笑んだ。
「片割れに頼まれたんだもの。いつかあなたを支えてくれる人が現れて、そしてオズちゃんもその人を大切に思えるまで、お姉ちゃんは側に居るからね」
彼女の脳裏につい数ヶ月前の記憶が蘇える。
忌み子と嫌われ、腫れ物のように扱われていた少年を自分も遠巻きに見ていた。あまつさえ残酷な言葉を吐いたことさえある。
だが彼と生家を脱し接していく内に分かったのは、彼がどこにでも居るごく普通の少年だということだった。
とても繊細で傷つきやすい心を、棘のある態度で隠しているだけの少年だ。
「……なんだよそれ、意味が分からない」
困惑したかのような顔を見ていた姉は、雰囲気を変えるかのように再び突っつき始めた。
「あれだけモテるんだから彼女の一人でも作りなさいよー、そしたらちょっとは世界も変わるわよ」
うぇ、と顔を歪ませたオズワルドは姉を引き剥がしながら言った。
「あの、見てくれだけに騙されてるヤツらを? 冗談じゃない、俺の本性がどんなだかも知らないくせに」
そこでふっと瞳を陰らせた少年は、まるで自分に言い聞かせるかのように呟いた。
「人なんか好きにならない。俺にはそんな資格もない、俺がリッカにした事を知ったら逃げていくに決まってる」
本当の俺を好きになってくれるヤツなんか現れるはずないだろ。と、小さく続けられた言葉にシャルロッテは目を瞬いた。
(こりゃあ重傷ね……)
こればかりは時間が解決してくれるのを祈るしかないだろう。これ以上この場で傷口を広げる必要はない。
「まぁいいわ、ところでウザいヤツって?」
「魔導師科の緑の男」
「あぁ、あの子有名よね。風の精霊シルミアの秘蔵っ子なんだって」
シャルロッテはいつだったか校舎内ですれ違ったことを思い出す。
彼は一瞬目が合うと動きを止め、ニッとこちらに笑みを浮かべるとそのまま行ってしまったのだ。その瞳の奥にある冷酷さと言うか、観察されているかのような不快感があったのを覚えている。
「やたらと絡んで挑発してくる。俺たちの周囲を探ってるみたいだ」
「それまずいわね、実家の事とかバレたら色々面倒よ」
そうでなくても入学許可証を偽造して不正入学しているのだ。尻尾を掴ませるわけにはいかない。
うーんと考えていたシャルロッテは、パッと目を開けるとさも名案が浮かんだとばかりに瞳を輝かせた。
「わかったわ! ここはお姉ちゃんに一つドーンと任せなさいな!」
「……?」
オズワルドはその意図が読めなかったが、特に反対するようなことはしなかった。
自分にも被害が降りかかる事など、この時点ではまったく予想だにしていなかったのだ。
輝く金の髪が美しい姉と、青い瞳が印象的な黒髪の弟が、編入という形でここエルミナージュ魔法学校に入学してきたのはつい数カ月前の事だった。
二人は顔の造りは似ては居ないものの、どちらも違ったタイプの美形でとにかく人目を惹く。彼らの事はランバールに限らず全校生徒が注目していた。
姉の方は明るく朗らかで、入ってきたその日に半数の生徒に名前が知れ渡るくらいに社交的だった。魔女科に所属している割には製作が苦手らしいが、飛行術にズバ抜けた才能を持っており、飛行レース部の部長が土下座して入部を頼んだとの噂がまことしやかに流れていた。
その弟である少年。どちらかと言うとランバールはこちらに強い関心があった。その関心はあまりよくない意味でだったが。姉とは反対にもの静かな少年は、ランバールから言わせてもらうとひたすらに暗かった。友達を作るつもりなど毛頭ないのか、その視線はほとんど本に向けられている。
ここからが謎で仕方ないのだが、彼は恐ろしく女子生徒に人気があった。ミステリアスなのがたまらないとか、クールでカッコいいだとか
確かに美形なのは認めるがそこまで騒ぐことだろうか? いや、気になっていた女子がその追っかけ集団に混ざっているのを見たからとかそういう理由ではない、ないのだ。
なのに好意の視線を向けられている本人は彼女たちをとことん無視している。それがまた腹が立つ。
まだまだある。彼は魔女道具作りの才能を恐ろしいほどに秘めているらしく、入学後すぐに飛び級をしてしまったのだ。数年前に風の精霊シルミアに放り込まれた自分をさっさと追い越し、今や上級生に混じって講義を受けている。
校長の直弟子になった事もムカつく。
自分より少しだけ背が高いところも輪にかけてムカつく。
あぁもう、まったくいけ好かない男だ。
だからちょっかいをかけることにした。何せ彼と姉の経歴には謎が多い。これは何かあると、ランバールは直感的に感じ取っていたのだ。
「セ・ン・パ・イ」
ザッと、廊下を通りかかったところで目の前に飛び降りてやる。一瞬驚いたような顔で足を止めた少年――オズワルドはハァとため息をついて横をすり抜けた。
「おっと、つれないなァ。ねーねーどこ行くんッスかぁ? オレも連れてって下さいよー」
その後ろを付いていきながら軽く話し掛ける。それでもオズワルドは振り向かない。ランバールは頭の後ろで手を組みながら、さてどの方面から探り出してやろうかと考える。
「もうすぐ夏の休暇じゃないッスかぁ~、センパイはお姉さんつれて実家に帰省とかしないんスか?」
彼の魔力はどこかひやりとするような清涼感のある匂いだ。加えてこの地方ではそうそう見ない青い瞳に抜けるような白い肌。水のマナに好かれているところを見ると――
「それとも帰れないほど遠方だったり? オレ南方育ちなんで雪とか見たこと無いんスよねぇ~、連れてってくれたりしません? 北の方」
カマを掛けるような言葉にようやく彼は振り向く。射抜かれてしまいそうな鋭い視線をこちらに寄越したかと思うとスゥッとその姿が掻き消えた。
「おわ、魔女道具? すっげー、さすが飛び級するだけの事はあるッスねー」
おそらくまだその辺りには居るであろう彼にわざと聞こえるよう、ランバールはニヤリと笑いながら言った。
「アンタのその悲劇きどりの面《ツラ》がムカつくんだよ、取り繕った皮を剥いでやるから覚悟しとけ」
***
背後のソファから重たいため息が響く。
机に向かって作業をしていたシャルロッテは、のけぞるようにそちらを振り返った。視線の先ではオズワルドが頭を抱えてうめき声をあげている。
「やぁぁもう、せっかくの姉弟水入らずの憩いの時間なのに、そんな空気が澱むようなため息やめてくんない?」
「憩いの時間に、なんで補習の課題やってるんだ」
至極真っ当な意見に、シャルロッテは解き掛けの問題集を宙にバサァッと投げ出した。
「しょーがないじゃないっ、全然わかんないわよこんなの~」
「……【問1】途中式違う。【問3】魔法陣にラクガキをするな。他はせめて解く努力をしろ」
「うぁーん」
へろへろと突っ伏した彼女は首だけを器用にこちらに向けると、で?と問いかけた。
「何をため息なんかついちゃってるわけ?」
「……」
床に落ちた課題を拾い上げたオズワルドは、解答欄を片手間に埋めながらぼそりと呟いた。
「……講義は楽しい。でも周りがうるさい、うざいヤツが居る」
「ははーん、周囲になじめず孤立してるわけだ」
座したまま椅子を持ち上げたシャルロッテは180度向きを変える。その言葉に眉を寄せた弟は羽ペンの動きを止めた。
「ヘイトを集めるのは分かってたけどここまでとは思わなかった、俺はアンタみたいに馬鹿を演じるとか出来ないし」
「ちょっと失礼ね、私が馬鹿なのは本当よ! 演技でやるわけないでしょっ」
どのポイントを怒っているんだ、自信満々に馬鹿宣言をしないでくれ。そう言い掛けるが、彼女がこんな苦労をするはめになった原因が自分にある事を思い出し俯く。
「なら魔導師科に入ればよかったじゃないか。あんたはそっちの方が適正あっただろうに、わざわざ俺に合わせて魔女科に入らなくても……」
「もうっ、それについては散々話し合ったでしょ。これからは二人助け合って生きて行くのよ、できるだけ近くに居たほうが良いじゃない」
「……」
まただ、また負い目が増えていく。
しばらくの沈黙の後、弟はどうしても分からないことを尋ねてみた。
「シャルロッテ」
「あら、名前呼んでくれるなんて珍しい」
「……アンタはもう『シャルロッテ』なんだろ? なら俺とはもう赤の他人だ。自由に生きて良いのに、どうして」
最後まで言い切ることが出来ずに、オズワルドの言葉尻が消えていく。
それを困ったように笑いながら見ていた姉は、立ち上がると彼の横に勢いよく腰掛けた。その頬を突っつきながら肩にもたれかかる。
「やーんオズちゃん優しーんだからぁ。心配しなくってもこれは私の意思でやってることよ。だからそんなに卑屈にならないで~、ねぇねぇ」
「やめろ、触るな、うざい」
うっとおしそうに振り払われ、シャルロッテは柔らかく微笑んだ。
「片割れに頼まれたんだもの。いつかあなたを支えてくれる人が現れて、そしてオズちゃんもその人を大切に思えるまで、お姉ちゃんは側に居るからね」
彼女の脳裏につい数ヶ月前の記憶が蘇える。
忌み子と嫌われ、腫れ物のように扱われていた少年を自分も遠巻きに見ていた。あまつさえ残酷な言葉を吐いたことさえある。
だが彼と生家を脱し接していく内に分かったのは、彼がどこにでも居るごく普通の少年だということだった。
とても繊細で傷つきやすい心を、棘のある態度で隠しているだけの少年だ。
「……なんだよそれ、意味が分からない」
困惑したかのような顔を見ていた姉は、雰囲気を変えるかのように再び突っつき始めた。
「あれだけモテるんだから彼女の一人でも作りなさいよー、そしたらちょっとは世界も変わるわよ」
うぇ、と顔を歪ませたオズワルドは姉を引き剥がしながら言った。
「あの、見てくれだけに騙されてるヤツらを? 冗談じゃない、俺の本性がどんなだかも知らないくせに」
そこでふっと瞳を陰らせた少年は、まるで自分に言い聞かせるかのように呟いた。
「人なんか好きにならない。俺にはそんな資格もない、俺がリッカにした事を知ったら逃げていくに決まってる」
本当の俺を好きになってくれるヤツなんか現れるはずないだろ。と、小さく続けられた言葉にシャルロッテは目を瞬いた。
(こりゃあ重傷ね……)
こればかりは時間が解決してくれるのを祈るしかないだろう。これ以上この場で傷口を広げる必要はない。
「まぁいいわ、ところでウザいヤツって?」
「魔導師科の緑の男」
「あぁ、あの子有名よね。風の精霊シルミアの秘蔵っ子なんだって」
シャルロッテはいつだったか校舎内ですれ違ったことを思い出す。
彼は一瞬目が合うと動きを止め、ニッとこちらに笑みを浮かべるとそのまま行ってしまったのだ。その瞳の奥にある冷酷さと言うか、観察されているかのような不快感があったのを覚えている。
「やたらと絡んで挑発してくる。俺たちの周囲を探ってるみたいだ」
「それまずいわね、実家の事とかバレたら色々面倒よ」
そうでなくても入学許可証を偽造して不正入学しているのだ。尻尾を掴ませるわけにはいかない。
うーんと考えていたシャルロッテは、パッと目を開けるとさも名案が浮かんだとばかりに瞳を輝かせた。
「わかったわ! ここはお姉ちゃんに一つドーンと任せなさいな!」
「……?」
オズワルドはその意図が読めなかったが、特に反対するようなことはしなかった。
自分にも被害が降りかかる事など、この時点ではまったく予想だにしていなかったのだ。
0
あなたにおすすめの小説
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
悪役令嬢の役割は終えました(別視点)
月椿
恋愛
この作品は「悪役令嬢の役割は終えました」のヴォルフ視点のお話になります。
本編を読んでない方にはネタバレになりますので、ご注意下さい。
母親が亡くなった日、ヴォルフは一人の騎士に保護された。
そこから、ヴォルフの日常は変わっていく。
これは保護してくれた人の背に憧れて騎士となったヴォルフと、悪役令嬢の役割を終えた彼女とのお話。
死に戻りの元王妃なので婚約破棄して穏やかな生活を――って、なぜか帝国の第二王子に求愛されています!?
神崎 ルナ
恋愛
アレクシアはこの一国の王妃である。だが伴侶であるはずの王には執務を全て押し付けられ、王妃としてのパーティ参加もほとんど側妃のオリビアに任されていた。
(私って一体何なの)
朝から食事を摂っていないアレクシアが厨房へ向かおうとした昼下がり、その日の内に起きた革命に巻き込まれ、『王政を傾けた怠け者の王妃』として処刑されてしまう。
そして――
「ここにいたのか」
目の前には記憶より若い伴侶の姿。
(……もしかして巻き戻った?)
今度こそ間違えません!! 私は王妃にはなりませんからっ!!
だが二度目の生では不可思議なことばかりが起きる。
学生時代に戻ったが、そこにはまだ会うはずのないオリビアが生徒として在籍していた。
そして居るはずのない人物がもう一人。
……帝国の第二王子殿下?
彼とは外交で数回顔を会わせたくらいなのになぜか親し気に話しかけて来る。
一体何が起こっているの!?
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
お姫様は死に、魔女様は目覚めた
悠十
恋愛
とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。
しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。
そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして……
「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」
姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。
「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」
魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる