錬金チート開拓記 ~国に捨てられた俺、前世の知識と万能の錬金術で自由気ままな辺境暮らしを楽しむ~

六志麻あさ

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6 エルフの長老と一緒に城づくり

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 俺は長老のミルに自分の事情を説明した。

 王国の錬金術師だったことや、エンシェントドラゴンとの戦いで捨て駒にされたこと。

 死んだはずなのに、なぜか生き延びたこと。

 そして、この地で目覚めたこと――。

「――だから、もう誰かのために戦うのはやめたんだ」

 俺の話をミルとサーラ、周りにいるエルフたちも静かに聞いてくれていた。

「これからは静かに暮らしたい。そう、スローライフってやつを目指してるんだ」
「なるほどのう……お主、なかなか壮絶な人生を送ってきたようじゃな」

 ミルが深々とうなずいた。

「新生活のために、まずは自分の家が欲しいと思ったんだ。で、どうせなら最高の家を、と思って城を作ろうとしたんだけど……」

 俺は頭をかいた。

「建築の知識がまったくないせいで、この通り大失敗だ」

 サーラにこの森へ案内してもらった理由も話した。

 建築に詳しい者がいると聞いたからだ。

 その者に、城の作り方を学びたい、と。

「建築に詳しい者なら何人かいるが――」

 俺の言葉を聞き終えたミルは、にやりと笑った。

 やけに楽しそうな顔だ。

「せっかくだから、わらわが教えてやろう」
「えっ、長老が自ら?」

 俺は思わず聞き返した。

「お主の使う錬金術とやらは、わらわたちの魔法体系とはまったく違う。面白そうじゃ」
「ありがとう。エルフって、人間嫌いなわけじゃないんだな」

 俺が素朴な疑問を口にする。

 すると、ミルの表情に影が差した。

「……いや、大半のエルフは人間が嫌いだと思うぞ。昔――いろいろあったからの」

 その声には悲痛な色合いがにじんでいた。

 俺が知らない、長い歴史の重みのようなものを感じさせる。

 けれど、ミルはすぐに明るい表情に戻った。

「とはいえ、この森のエルフに限れば、人間に悪感情は持っておらん。わらわも含めてな」
「人間、面白い」

 隣でサーラが微笑んだ。

「そうか……なら、よかった」

 俺は安心した。

「では、善は急げじゃ」

 ミルが俺を促した。

「行こうか」
「えっ、もう?」

 せっかくエルフの森に来たんだ。

 もう少し、このきれいな景色を見て回りたかった。

「お主も早く自分の家が欲しかろう?」

 ミルにそう言われると、何も言えない。

「それは、まあ……」

 俺は気持ちを切り替え、うなずいた。

「じゃあ――お願いします」



 こうして、俺の城づくり計画が再始動した。

 俺たちは結界を抜けて、森の外に出ると、あの広大な荒野に戻ってきた。

 そこには俺が作った瓦礫の山が寂しく残っている。

「ほほほ、これはまた、豪快に崩れたものじゃのう」

 ミルは瓦礫の山を眺めて笑った。

「――さて、ナッシュよ」

 それから笑みを消して、俺に向き直る。

「お主、なぜこの城が崩れたか分かるか?」
「ええと……」

 自分なりに考える。

「柱が細すぎたとか、壁の強度が足りなかったとか……?」
「それもあろうが、根本的な問題はそこではない」

 ミルは人差し指を立てた。

「お主の錬金術は、物質を望む形に変えることに特化しすぎじゃ。お主の術によって作り上げられた資材は見た目こそ立派じゃが、つながりが弱い」
「つながり……」
「全体の構造を支えるためには、常に魔力を循環させる必要がある。それが資材の『骨』の役割をする」
「骨――」

 それは、俺が初めて聞く理論だった。

「そのためには、資材を作る際にもっと魔力の波を均一にする必要があるし、その魔力が資材の内部で循環するように構成しなければならん」
「波を均一――内部で循環……」

 俺にとって、それはまったく新しい考え方だった。

「エルフの建築は、建物全体に魔力を巡らせ、構造そのものを安定させるのじゃ」

 ミルが言った。

「錬金術でそれをどこまで再現できるか分からぬが、基本は同じはずじゃ」
「なるほど……」

 アドバイスが具体的で分かりやすい。

 錬金術というのは、イメージが大事だ。

 イメージの明確さによって生成物のクオリティに大きな差が出る。

 術によって『何を生み出すのか』『どんな形にするのか』『どんな機能にするのか』。

 そして――『どんな構造にするのか』。

 俺は彼女の助言のおかげで、錬金術で生み出す資材の構造を明確にイメージできた。

「今度は、さっきとは違うはずだ――」
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