錬金チート開拓記 ~国に捨てられた俺、前世の知識と万能の錬金術で自由気ままな辺境暮らしを楽しむ~

六志麻あさ

文字の大きさ
16 / 20

16 主なき地

しおりを挟む

 それから一週間、ミルは俺に多くの知識を与えてくれた。

 だが、俺はミルの滞在が長引くにつれ、彼女の真意がどこにあるのか気になり始めた。

 俺が疑問に思っていると、ミルは真剣な顔で俺を見つめた。

「ナッシュよ……お主がエンシェントドラゴンを倒したという話は、本当なのじゃな?」

 俺はうなずいた。

「本当だ。あれは俺が作った【超魔導爆弾】で倒した」
「そうか……」

 ミルは悲しそうな顔でうつむいた。

「お主のその力は、あまりにも危険じゃ」
「……俺は【超魔導爆弾】で誰かを傷つけるつもりはないよ」
「お主自身はそうじゃろう」

 ミルが俺を見つめる。

「だが――王国はお主のその力を欲しがるはず。もしお主が生きていると知れば、な。そして、ふたたび道具として利用しようとするじゃろう」
「っ……!」

 ミルの言葉に俺は絶句した。

「それは……」

 意図的に考えないようにしていたことだ。

 確かに、王国は俺の力をよく知っている。

 エンシェントドラゴンを撃破するほどの力を持つ兵器を開発した俺を――奴らが放っておくわけがない。

「わらわは、お主の力を心配しておる。じゃが……お主の進むべき道は、お主自身が決めることじゃ」

 ミルはそう言って、俺の背中に手を置いた。

「俺は――俺の力を平和に、穏やかに暮らすために使いたい」
「わらわに協力できることはする。ただ、王国の連中に見つからんよう心がけることだ」
「……ああ、分かった」


 城の周りには、広大な森が広がっている。

 俺は今日も、城の改修作業に没頭していた。

 ミルの助言を受けて、錬金術で新しい設備を作り出す。

 自由なスローライフの日々を、俺は心底楽しんでいた。

 だけど――その平穏な日々は、突然の来訪者によって破られた。

「おい、あれを見ろ!」
「こんな辺境に、まさか城があるなんて……!」

 声と共に、森の中から二つの人影が現れるのが見えた。

 一人は剣を背負った男で、もう一人はローブを着た女だ。

 二人とも冒険者ギルドのペンダントを下げている。

「誰だ、あいつらは……」

 俺は警戒した。

 彼らは数十メートル先からこっちに歩いてくるところだ。

 この城を見つけられたのは予想外だった。

 ――お主の存在を王国に知られるな。

 この間のミルの言葉が脳裏によみがえる。
 と、

「俺たちは冒険者ギルドの者だ。別に怪しい者じゃない」
「あなた、もしかして、この城の主?」

 二人は俺に話しかけてきた。

 彼らの顔には敵意や悪意は感じられず、好奇心が強く出ていた。

 警戒は解かずに、俺は彼らに歩み寄る。

「ああ、俺がこの城の主だ。どうした?」

 男が驚きに目を見開く。

「まさか、本当に人が住んでいるなんて……」

 男の冒険者が驚いた顔をしている。

「俺たちはこの森の調査をしていたんだ。そしたら、遠くに城が見えて……」
「そう、それで興味本位で来てみたの。まさか、本当に誰かいるとは思わなくて」

 女の冒険者も同じく驚いている。

「俺はナッシュ。ただの放浪の魔術師だ。この場所が気に入って、ここに住み着いたんだ」

 さすがに王国を追われたことを話すわけにはいかないので、当たり障りのない範囲で説明する。

「放浪の魔術師が、こんな城を……?」
「すごいわ……。あなたは、相当な魔力を持っているのね」

 二人の表情が驚きから簡単に変わる。

「少し変わった錬金術が使えるだけさ」

 俺は曖昧に誤魔化しておいた。

「ただ、誰にも邪魔されない場所が欲しかったんだ。自分の好きなように、自由に生きたくて」

 と、城を作った理由も簡単に説明しておく。

「わかるよ」

 男が微笑んだ。

「俺たちも冒険者として自由に生きている。けど、この仕事にもやっぱりしがらみがあるからな」
「案外、自由じゃないのよね」

 女もうなずく。

「この辺りには、他に誰もいないのかしら?」

 女がたずねると俺は首を振った。

「ああ。俺一人だ。少し前までは誰もいなかった」
「じゃあ、今はあんたが主だな」

 男が言った。

「えっ?」
「この土地は誰の土地でもない、『主なき地』だからな」
「主なき……地?」

 俺の問いに男がうなずいた。

「ああ。この広大な土地は、どこの国にも属していない『主なき地』と呼ばれている。ここに建物を建てれば、その土地の所有権を主張できるんだ」
「えっ、そうなの?」

 女も驚いた顔だ。

 男はうなずき、

「確かこの周辺は法でそう制定されているはず……それを知って城を建てたんじゃないのか?」
「いや、なんとなくなんだ……」

 俺は苦笑しつつも、驚きを隠せなかった。

『主なき地』。

 そして、土地の所有権。

 俺は流れで行動しただけだったけど、結果的にこの場所に安住の地を見つけることができたのかもしれない。

 俺の心に、新しい希望が芽生えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

72時間ワンオペ死した元球児、女神の『ボッタクリ』通販と『絶対破壊不能』のノートPCで異世界最強のコンビニ・スローライフを始める

月神世一
ファンタジー
「剣? 魔法? いいえ、俺の武器は『鈍器になるノートPC』と『時速160kmの剛速球』です」 ​あらすじ ブラックコンビニで72時間連続勤務の末、過労死した元甲子園優勝投手・赤木大地。 目覚めた彼を待っていたのは、コタツでソシャゲ三昧のダメ女神・ルチアナだった。 ​「手違いで死なせちゃった☆ 詫び石代わりにこれあげる」 ​渡されたのは、地球のAmazonもGoogleも使える『絶対破壊不能』のノートPC。 ただし、購入レートは定価の10倍という超ボッタクリ仕様!? ​「ふざけんな! 俺は静かに暮らしたいんだよ!」 ​ブラック労働はもうこりごり。大地は異世界の緩衝地帯「ポポロ村」で、地球の物資とコンビニ知識、そして「うなる右腕(ジャイロボール)」を武器に、悠々自適なスローライフを目指す! ​……はずが、可愛い月兎族の村長を助けたり、腹ペコのエルフ王女を餌付けしたり、気づけば村の英雄に!? ​元球児が投げる「紅蓮の魔球」が唸り、女神の「ボッタクリ通販」が世界を変える! 異世界コンビニ・コメディ、開店ガラガラ!

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

「雑草係」と追放された俺、スキル『草むしり』でドラゴンも魔王も引っこ抜く~極めた園芸スキルは、世界樹すら苗木扱いする神の力でした~

eringi
ファンタジー
「たかが雑草を抜くだけのスキルなんて、勇者パーティには不要だ!」 王立アカデミーを首席で卒業したものの、発現したスキルが『草むしり』だった少年・ノエル。 彼は幼馴染の勇者に見下され、パーティから追放されてしまう。 失意のノエルは、人里離れた「魔の森」で静かに暮らすことを決意する。 しかし彼は知らなかった。彼のスキル『草むしり』は、対象を「不要な雑草」と認識すれば、たとえドラゴンであろうと古代兵器であろうと、根こそぎ引っこ抜いて消滅させる即死チートだったのだ。 「あれ? この森の雑草、ずいぶん頑丈だな(ドラゴンを引っこ抜きながら)」 ノエルが庭の手入れをするだけで、Sランク魔物が次々と「除草」され、やがて森は伝説の聖域へと生まれ変わっていく。 その実力に惹かれ、森の精霊(美女)や、亡国の女騎士、魔王の娘までもが彼の「庭」に集まり、いつしかハーレム状態に。 一方、ノエルを追放した勇者たちは、ダンジョンの茨や毒草の処理ができずに進行不能となり、さらにはノエルが密かに「除草」していた強力な魔物たちに囲まれ、絶望の淵に立たされていた。 「ノエル! 戻ってきてくれ!」 「いや、いま家庭菜園が忙しいんで」 これは、ただ庭いじりをしているだけの少年が、無自覚に世界最強に至る物語。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~

にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。 「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。 主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。

処理中です...