錬金チート開拓記 ~国に捨てられた俺、前世の知識と万能の錬金術で自由気ままな辺境暮らしを楽しむ~

六志麻あさ

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19 町づくりを始めよう

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 畑には、前世の記憶を頼りに錬金術で生み出した種を撒く。

 稲や麦、大豆などだ。

 この世界にもともと存在する植物に、前世の植物の概念を付与して錬成したのだ。

 俺の魔力で肥沃になった土地なら、きっと美味い米や麦が収穫できるはずだ。

「今から楽しみだな」
「もきゅー!」

 モッキュも楽しそうに畑の上を駆け回っていた。

 その姿を見て、俺は思わず微笑んだ。

 こうして領地に一つ一つ手を入れていくのは、なんだか巨大な箱庭を作っている気分だ。

 楽しい。

 そしてやり甲斐がある――。

 俺はさらに、外部との交流も視野に入れることにした。

「このまま一人で暮らすのもいいけど……」

 時々、誰かと話したくなる時がある。

 もちろん、モッキュが側に居るし、ミルもいる。

 けれど、他にも――人間の話し相手だって欲しいんだよな。

 それに、この領地を本当に発展させるなら、俺一人の力では限界がある。

「交流の拠点として、街を作るか……?」

 そんな壮大な計画が浮かんだ。

 街を作って、人々を呼び込み、この領地を本当の意味での故郷にする。

 それは簡単なことじゃない。

 けれど、やってみる価値はあるんじゃないだろうか。
 と、

「おお、ナッシュ、やっているのう!」

 ちょうどミルがたずねてきた。

「お主の領地の様子を見に来たのじゃ。畑に用水路と、少し見ない間に随分と様変わりしたのう」

 そう、彼女はしばらく森に戻っていたのだ。

 ここにも時々来てくれるけど、ずっと滞在というわけにはいかないからな。

「ミルのおかげだよ。ミルが教えてくれた『魔力の流れ』を意識したから、丈夫な建造物を作ることができるようになったんだ」

 俺は素直に感謝を伝えた。

「ふむ、その謙虚さはお主の美徳じゃな。だが、わらわの教えを吸収し、実践したのはまぎれもなくナッシュ、お主の実力じゃ。そこは誇ればいい」
「はは……」

 照れる俺。

「実は領地をもっと開拓していきたいんだ。町を作ったりしたいな、って……」
「ほう? 町づくりか」

 ミルが興味を惹かれたようにたずねた。

「俺とモッキュだけじゃ、ちょっとこの領地は広すぎるしな。ミルだって常駐するわけじゃないからさ」
「ふむ……ここに人を呼び込みたい、と?」
「ゆくゆくはそう考えてる。けど、そのためにはまず大勢の人間が住めるだけの設備を整えていきたいんだ」

 俺は語った。

「人を集めるには、やっぱり商業や農業が発展することかな……」

 漠然とした考えを語る。

「そうじゃな。お主が錬金術で土壌改良を施したから、農業が発展する余地は十分にあろう。後は商業か」

 と、ミル。

「人間の世界のことに関しては、お主の方が詳しいのは承知しているが……例えば、特産品などがあると商業都市として発展しやすいのではないか?」
「ああ、俺もその辺りを考えていたんだけど……何かいい特産品はないかな?」
「もっきゅ!」

 モッキュが鳴いた。

「ん? お前も考えてくれるのか?」

 俺はモッキュを撫でる。

「もきゅもきゅ~」

 嬉しそうだ。

 ん、この顔――。

 俺はハッと気づいた。

「そうだ、露天風呂だ!」

 風呂に浸かって気持ちよさそうなモッキュの顔を連想し、そこから思いついた。

「ここを温泉地として発展させよう!」
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