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18 領地を発展させるために
しおりを挟む秋が深まっていく――。
俺は吹き抜ける秋風を心地よく感じながら、城のテラスから森を眺めていた。
エルフの森を内包する、広大な森林。
そこは黄色や赤に色づいた木々が、美しいグラデーションを描いていた。
「ジパング領、か……」
俺は新しく決めた領地の名前を口に出し、感慨にふける。
この広大な土地が、俺の領地になるなんて。
名目上はミルが領主だけど、実質的には俺がその役目を負うことになる。
領主様――か。
人生、何が起こるか分からないもんだ。
「もきゅ!」
俺の肩の上で、モッキュが元気よく鳴いた。
その声に、心が温かくなる。
「俺が領主代行でお前は代行補佐だな、モッキュ」
「もきゅきゅー!」
よし、やるぞ。
俺は気持ちを切り替えた。
この領地を、俺の故郷のように大切にするんだ。
俺はミルの助言に従って、領地を発展させるための計画を立てた。
まず、食料自給率を上げること。
この土地は広大で肥沃だ。
錬金術を使えば、農業も簡単にできるだろう。
ゴーレムに田畑を耕させ、水路を錬成して水源を確保する。
そうすれば、冬の間も新鮮な野菜や穀物が手に入る。
さっそく、アトリエで設計図を書き始めた。
気分が赴くままに錬成していくのも楽しいけど、やっぱり長く住む場所なら、ちゃんとした設計やデザインは必須だ。
水田や畑の配置、用水路の設計、そして貯水池の場所。
自分なりの『こういう場所に住みたい』という思いを具現化すべく、案を練っては修正し、また案を練っては修正し……。
ある意味、完成前のこの『構想段階』こそが一番楽しい時間かもしれない。
すぐに設計に取り掛かることなく、俺はしばらくの間、この設計図作りに没頭した。
何日も、何日も――。
夢中になって設計図を描き続け、やがて完成した。
「よし、こんなもんかな」
うん、何度も練っただけあって、かなり完成度は高いはず。
ただ、実際に生活を続けていくうちに、また見えてくるものはあるだろう。
これも完成図ではなく、あくまでも過渡期ともいえる。
そうやって、作っては修正し、また作っては修正し……という作業を重ねていくのも、またスローライフの醍醐味なんだろう。
「とりあえず――領地発展のための工事開始だ」
俺はさっそくゴーレムたちをさらに生み出し、そのうえで命令を下した。
「お前たち、この設計図通りに動いてくれ」
五十体ほどに増えたゴーレムたちに、俺は指示を出す。
ゴーレムたちは一斉に動き出した。
ごごごごごご……!
まず畑作りだ。
ゴーレムたちが巨大な体で土を耕し、平らな土地が次々と畑へと変わっていく。
「よし、いいぞ」
ヴン!
俺は造成された畑に魔力を込めていった。
すると土の質が変わり、栄養分が豊富になり、肥沃な土に変わっていく。
これできっといい作物が取れるはずだ。
「よし、次は水源だな」
俺は移動用の自動馬車――当然、これも錬金術で作ったものだ――に載り、城の裏手にある森まで移動した。
この辺りは水脈が豊富だ。
俺は地中深くまで魔力を通し、水脈を正確に探る。
そして、水脈から水を引き上げる術式を刻む。
「【噴水】!」
ごぼごぼごぼ……!
錬金術式を発動すると、地面から水が湧き出した。
あらかじめゴーレムの一隊を使って、水路用の溝を掘っておいたので、湧きだした水はその水路にそって流れていく。
水路の一本は飲料などに使用するため貯水池に流し、別の一本は畑に流す。
豊富な水脈だから、枯れる心配もなさそうだし、目的別に複数の水路を使っても大丈夫だろう。
これで俺の生活も、もっと便利になるぞ――。
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